黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1975年、今日の1位は「昭和枯れすゝき」

Camel C-71

昭和演歌 

発売: 1977年?

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ジャケット



A1 北の宿から (都はるみ)

A2 くちなしの花 (渡哲也) 🅲

A3 君こそわが命 (水原弘) 🅱

A4 命かれても (森進一)

A5 年上の女 (森進一)

A6 港町ブルース (森進一)

A7 夜霧よ今夜も有難う (石原裕次郎)

A8 別れの一本杉 (春日八郎)

B1 二人でお酒を (梓みちよ)

B2 長崎は今日も雨だった (内山田洋とクール・ファイブ) 🅲

B3 昭和枯れすゝき (さくらと一郎)

B4 千曲川 (五木ひろし)

B5 なみだ恋 (八代亜紀) 🅱

B6 唐獅子牡丹 (高倉健)

B7 なみだの操 (殿さまキングス) 🅱

 

演奏: スターライト・オーケストラ

編曲: 無記名

定価: 1,800円

 

昭和50年代の時点で『昭和演歌』。こう来たか、というズバリなネーミング。エルムらしい、ゴージャスさを窓から投げ捨てたようなジャケットが憎めない。昭和30年産の「別れの一本杉」を筆頭に、昭和50年代初頭までの演歌クラシックスを集め上げたお手軽な一枚。カラオケパブというより、畳6畳ほどの狭い飲み屋でインティメイトに飲み交わすというイメージが漂ってくるのだが、エルムものにしては音質・演奏ともに結構良質で、「北の宿から」では明らかに好夫ギターが先導するのに加え、左チャンネルからも好夫と思しき別のギターが手招きしてくる。「命かれても」のように明らかに録音年代が古い曲も違和感なく溶け込んでおり、マスタリング技師が「演歌の心」を熟知した人だったに違いない(まさか)。主旋律のオクターブが低く、深いもやもやに包まれたような「なみだ恋」と、淡々としたストリングスが欧州のモノクロ映画に任侠を持ち込んだような感触を抱かせる「唐獅子牡丹」を除くと、個々の曲の演奏がどうとか説明するほどのものではないけど、場末感に浸るには持ってこいの1枚。しかし、ほんと一緒に歌っちゃったらおしまいです…「なみだの操」なんて、当時は歌詞の意味も解らぬまま脳裏に焼きついちゃったしな…(汗