東宝 AX-4012
最新歌謡ヒット
発売: 1974年4月
A1 学園天国 (フィンガー5) 🅱
A2 恋は邪魔もの (沢田研二) 🅱
A3 花のようにひそやかに (小柳ルミ子)
A4 薔薇の鎖 (西城秀樹)
A5 しあわせの一番星 (浅田美代子) 🅱
A6 星に願いを (アグネス・チャン)
A7 気になる17才 (あいざき進也)
A8 別れの鐘の音 (五木ひろし)
B2 バラのかげり (南沙織) 🅱
B3 恋の風車 (チェリッシュ) 🅱
B4 恋人たちの港 (天地真理)
B5 春風のいたずら (山口百恵)
B6 こころの叫び (野口五郎)
B7 しのび恋 (八代亜紀)
B8 姫鏡台 (ガロ)
演奏: 岡山和義 (ドラムス)、ジミー・スコット (ギター)、市原宏祐 (サックス)/ミラクル・サウンズ・オーケストラ
編曲: 福井利雄
備考: RM方式4チャンネル・レコード
定価: 1,800円
2日連続ミラクル・サウンズ。2年の時を経て、油の乗りまくったヒット・マシーンに変貌した彼らの爆発ぶりが記録された1枚。とにかく、1曲目「学園天国」が圧巻。「歌のない歌謡曲にはまってよかった」と感じずにいられなくなるのは、こういうレコードに針を落とした時ですよ。出だしから集まったミュージシャン達がギターに答え大合唱。4chの四隅から歓喜の声が押し寄せてくる!(脳内デコードしてます…汗)。これでギアが入って、本編の演奏もノリノリ。ドラムソロの間も嬉しそうに大騒ぎしている。たとえやっつけ仕事だろうが、この位楽しくやらなきゃ意味ないですとも。この辺のグルーヴ感に溢れる曲の合間合間に「花のようにひそやかに」や「しあわせの一番星」などが、チルアウト効果をもたらす。ミラクル・サウンズ名物のリリカルな鍵ハモも、これらの曲に効果的に登場。あいざき進也のデビュー曲「気になる17才」は実は隠れキンクス歌謡だったんですねと、「花とみつばち」と同じアルバムに配されて改めて気づくなど。
この調子で緩急交えながら終盤に向けて突き進んだところで、突然変異的なものが突如そこに待ち受けている。「こころの叫び」だ。他社の演奏にはより本質的にエピタフ度を露呈させたヴァージョンもあることはあるが、ここで聴けるものはそんな生易しいものではない。1コーラス演奏し終わった後、突如始まるドラムソロ。ジミー竹内もよくやる、曲本体とあまり関係ないアブストラクトなプレイであるが、この曲にそれを絡められると、必然的にムーンチャイルド色がおびき出され、恐ろしいことになってしまう。恐るべし、歌のないプログレ歌謡。ドラムの録音も4チャンネル効果をフルに使い、四方に飛ばしまくっている。続く「しのび恋」が、場末の酒場ムードを装ったチルアウト感満点。ラストはオンタイムで聴いた時「いいんですかここまでやって」という違和感に見舞われまくったガロの「姫鏡台」。その反省を兼ね、この曲が入った歌無レコードは重点的に集めることにしたのだが(汗)、ここでの演奏は単に手堅く終わってる感じ。最後に持ってきた効果はありありだが。