黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は黒沢明さん (ロス・プリモス)の誕生日なので

クラウン GW-5061

朝のくちづけ 魅惑のスチール・ギター・ムード

発売: 1968年12月

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ジャケット(裏)



A1 忘れるものか (石原裕次郎)

A2 知りすぎたのね (ロス・インディオス)

A3 霧にむせぶ夜 (黒木憲)

A4 夕月 (黛ジュン)

A5 朝のくちづけ (伊東ゆかり)

A6 あの人に逢ったら (西田佐知子)

A7 さようならは五つのひらがな (黒沢明ロス・プリモス)

B1 恋の季節 (ピンキーとキラーズ)

B2 今は幸せかい (佐川満男)

B3 恋の銀座 (黒沢明ロス・プリモス)

B4 愛の香り (布施明)

B5 友達の恋人 (西郷輝彦)

B6 星は濡れている (瀬川瑛子)

B7 誰もいない処で (小川知子)

 

演奏: 山下洋治と’68オールスターズ

編曲: 小杉仁三

定価: 1,500円

 

まだ出てない大手メーカーもあるというのに、早くもここに3枚目の登場となる山下洋治のスチール・ギター。別に贔屓してるわけじゃないですからね…3回共、クラウンのヒット・アーティスト絡みなので、スケジュール的に自然にそうなっちゃったわけですよ。68年終盤を飾ったヒット曲がずらりで、前回の『釧路の夜』よりさらにドメスティック寄りの感触。ほんの2ヶ月で、「天使の誘惑」から「夕月」に急転というのだけでも象徴的ではないですか。演歌系のメロディも違和感なくはまるこの音、聴感に程よく加湿効果を与えてくれるのです。

聴きものは…と考え込んでしまったが、B面に西郷輝彦さんの名曲「友達の恋人」が入ってるではないですか。オリジナルのロベルト・カルロス盤は、宗内の母体が編纂したアイドル・ポップのルーツに迫る楽曲集『ポップスときめき交差点!~アイドル進化論~』で聴ける通り、むしろ西郷盤よりGS色が強い。ここではサイケなイントロの再現はないものの、隠れがちなラテン色を炙り出したようなアレンジで、なかなかの出来。続く「星は濡れている」は元々瀬川瑛子(当時は「映子」)2枚目のシングルのB面曲だったが、発売1年後にプッシュ曲となり自社の歌無歌謡レコードに取り上げられるまでに至ったというドラマを孕む。さらに70年のブレイク作「長崎の夜はむらさき」の次作として改めてA面で出され、遂にオリコン92位に顔を出すに至ったのだから、なかなかしぶとい曲だったのである。いや、歌にドラマありですね。

このアルバム、別に表ジャケが載せられないほどヤバいのでというわけでもないけど、裏の方が好きなので裏を載せておきます。