クラウン GW-20023~4
プリーズ・ミスター・ポストマン 最新ポピュラー・ヒット・スペシャル32
発売: 1975年6月
A1 愛のテーマ (ラヴ・アンリミテッド・オーケストラ)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
A2 イエスタデイ・ワンス・モア (カーペンターズ)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス 🅲
A3 明日に架ける橋 (サイモン&ガーファンクル)Ⓑ フローラル・ポップス 🅱
A4 プリーズ・ミスター・ポストマン (カーペンターズ) Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス 🅱
A5 トップ・オブ・ザ・ワールド (カーペンターズ)Ⓑ ありたしんたろうとニュービート 🅱
A6 雨にぬれても (B.J.トーマス)Ⓒ 東京フィル・ポップス・オーケストラ 🅳
A7 ラスト・ワルツ (エンゲルベルト・フンパーディンク)Ⓒ フローラル・ポップス
A8 カリフォルニアの青い空 (アルバート・ハモンド)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
B1 シバの女王 (レーモン・ルフェーヴル)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス 🅱
B2 恋はみずいろ (ポール・モーリア)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
B3 エーゲ海の真珠 (ポール・モーリア)Ⓒ 森ミドリとフローラル・ポップス
B4 やさしく歌って (ロバータ・フラック)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス 🅱
B5 僕はロックンローラー (ミッシェル・ポルナレフ)Ⓓ 江草啓介と’74オールスターズ
B6 灰色の瞳 (ウニャ・ラモス)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
B7 天使のささやき (スリー・ディグリーズ)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
B8 愛よ永遠に (ワルド・デ・ロス・リオス)Ⓔ クレモナ・ストリングス
C1 コンドルは飛んで行く (サイモン&ガーファンクル)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス 🅳
C2 小さな願い (ディオンヌ・ワーウィック)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
C3 シュガー・ベイビー・ラブ (ルベッツ)Ⓑ ありたしんたろうとニュービート
C4 エンターテイナー (マーヴィン・ハムリッシュ)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
C5 ある愛の詩 (フランシス・レイ)Ⓒ フローラル・ポップス 🅱
C6 悲しき天使 (メリー・ホプキン)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
C7 恋のアランフェス (リシャール・アントニー)Ⓒ
C8 涙のトッカータ (ポール・モーリア)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
D1 白い恋人たち (フランシス・レイ)Ⓕ ストリングス’69
D2 アローン・アゲイン (ギルバート・オサリヴァン)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
D3 ジャンバラヤ (カーペンターズ)Ⓖ ありたしんたろうとニュービート 🅲
D4 愛の休日 (ミッシェル・ポルナレフ)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
D5 マミー・ブルー (ポップ・トップス)Ⓒ 🅱
D6 オー・シャンゼリゼ (ダニエル・ヴィダル)Ⓒ
D7 エマニエル夫人 (ピエール・バシュレ)Ⓐ 田中明子とフローラル・ポップス
D8 ゴッドファーザー・愛のテーマ (ニーノ・ロータ)Ⓔ フローラル・ポップス 🅳
演奏: 各曲の項を参照
編曲: 神山純Ⓐ、青木望Ⓑ、春見俊介Ⓒ、新井英治Ⓓ、伊藤辰雄Ⓔ、小杉仁三Ⓕ、さいとう・とおるⒼ
定価: 2,500円
またも偉大なる洋楽アーティストの訃報に、更新スケジュールをちょい変更…既に3ヴァージョン、収録アルバムを取り上げており、洋楽では断トツトップタイとなっていた「雨にぬれても」に4ヴァージョン目が加わることになりました。ご冥福をお祈りすると同時に、バート・バカラック先生の更なる御長寿を祈りたいものです。
歌無歌謡の帝王クラウンも、さすがにラブ・サウンド・ブームを見逃すことはせず、70年代初頭を飾ったポピュラー・ヒット陣を集大成したインスト・ベスト盤を届けてくれましたが、テイスト的にはいつものクラウンの「アレ」です。実に半数の曲にフィーチャーされている田中明子さんは、前年8月にアルバムデビューしたばかりの20歳のオルガニスト。そのアルバムからも5曲が流用されており(奇遇にも4日後、レビューを控えています)、明朗なお嬢さんらしい素直なプレイが印象的。イントロから思わず気分が高揚してしまう「愛のテーマ」でも躍動感溢れるベース、エレガントな女性スキャット(まさか御本人ではないでしょう!?)等に支えられ、堅実に主旋律を弾いています。タイトル曲も大胆にテンポアップしつつ滑稽な音色でメロディを奏で、呼び込み君テイストが濃厚(爆)。1曲だけ森ミドリをフィーチャーした「エーゲ海の真珠」は流石に貫禄充分。リード奏者のクレジットがないフローラル・ポップス名義の「明日に架ける橋」はピアノが先導しつつ、地味なシンセやまさかのメロトロンストリングスなど鍵盤がてんこ盛りで、田中さん隠れてないでしょうかね。アレンジャー青木望氏ということで納得。
お馴染みのありたしんたろうとニュービートも3曲に登場。ラブサウンドらしいメロウな感じを湛えつつ、ちゃんとドラムが炸裂しています。パヤパヤコーラスが爽快な「トップ・オブ・ザ・ワールド」など、確かに歌無歌謡とは異質。「雨にぬれても」はフルオーケストラで軽快に、手堅く演奏されています。Disc 2に演奏者クレジットが明確にされてない曲が3曲ありますが(この辺、いかにも編集盤らしいがさつな仕事)、音の質感とアレンジャーから判断して、これらも東京フィル・ポップス・オーケストラの演奏と思われます。「マミー・ブルー」のコーラスには思わず頬が緩みまくり。テイチク盤のヘロヘロ振りとは好対照だけど、これもまた歌無歌謡スピリットが投影された「洋楽」の好例。「オー・シャンゼリゼ」は予想通りの演奏ですが、当時この曲を英国産だと判ってた方は恐らく一人もいなかったはず。当時の流行洋楽を通して、色々なものが見えてくるアルバムです。