ユニオン UPS-5218-J
七色のしあわせ/シンギング・サウンド
発売: 1969年7月
A1 七色のしあわせ (ピンキーとキラーズ) 🅳
A2 みんな夢の中 (高田恭子) 🅳
A3 港町ブルース (森進一) 🅶
A4 お気に召すまま (じゅん&ネネ) 🅲
A5 気まぐれブルース (青江三奈) 🅱
B1 涙の中を歩いてる (いしだあゆみ) 🅳
B2 星のみずうみ (布施明)
B3 君は心の妻だから (鶴岡雅義と東京ロマンチカ) 🅶
B4 恋のなごり (小川知子) 🅱
B5 涙の糸 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅲
B6 時には母のない子のように (カルメン・マキ) 🅵
演奏: ユニオン・シンギング・オーケストラ
編曲: 無記名
定価: 1,700円
悲しい出来事に動揺しつつ、無事5ヶ月目に突入しました。世間の風にはおかないましに、ひたすら歌無歌謡愛を綴ります。
今日紹介するのは、歌謡界が最も可憐に光り輝いていた季節のひとつ、1969年夏のムードを体現する『シンギング・サウンド』の1枚。前作(4月16日紹介)のビリー・ヴォーン直系ブラス・サウンドは影を潜め、ここでの主役はエレガントなストリングスとフルート。前作の顔アップ・ジャケットはむしろこっちの方にお似合いかも。元からガーリーな冒頭2曲は置いといて、「港町ブルース」がここまでファンシーに料理されるとは。イントロから3声フルートが爽やかに盛り上げ、メインメロを奏でるヴァイブに愛らしく寄りかかる。いかなる日本の港町の光景にも傘を持った乙女はめちゃはまりますよね。後半で控えめに登場するのはやはりあの人、エディ・プロコフスキーでしょう(ユニオンのレコードの場合は、この名前で語らないとね)。「夜明けのスキャット」はBメロ7小節目のコードを簡素化してるけどそんなに気にならない。重厚なストリングスの魔術が効いてるせいか。「涙の中を歩いてる」は躍動感よりおしゃれ感が強調されていて、フルート隊のお茶目な表情が目に浮かぶ。同様の解釈を「君は心の妻だから」(前作にも入っていたが、当然別テイク)に対しても行っちゃってるからたまらない。うちにある全歌無歌謡レコード上のフルートをフィーチャーした曲の中で、最も「艶っぽい」演奏が聴けるのは確実にこのヴァージョンだと思うし、それに刺激されてのエディのギターがやる気満々すぎる。情事後の刹那感のように響く「涙の糸」でのフルートとギターの距離感も見事。
編曲クレジットはないが、一部の曲の音的質感が同じユニオンから6月出た花房てるみの「愛されたくて」(US-619-J)に非常に近く、同曲の詞曲編を手掛けた河屋薫氏は前作にも関わっているので、ここでのアレンジも彼の主導と考えていいだろう。ラストの「時には母のない子のように」は特にその色が強いが、フルートの魔法が効きすぎて、同曲の歌無ヴァージョンでは最高峰と感じさせる出来。