黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は平山みきさんの誕生日なので

アトランティック L-6049A

華麗なるテナー・ベストヒット20 瀬戸の花嫁・ふたりは若かった

発売: 1972年4月

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ジャケット



A1 ふたりは若かった (尾崎紀世彦)Ⓐ 🅶

A2 瀬戸の花嫁 (小柳ルミ子)Ⓐ 🅹

A3 恋の追跡 (欧陽菲菲)Ⓑ 🅵

A4 あの鐘を鳴らすのはあなた (和田アキ子)Ⓑ 🅲

A5 ちいさな恋 (天地真理)Ⓑ 🅳

A6 フレンズ (平山三紀) 🅱

A7 かもめ町みなと町 (五木ひろし)Ⓒ 🅳

A8 さすらいの天使 (いしだあゆみ)Ⓒ 🅱

A9 北国行きで (朱里エイコ)Ⓐ 🅲

A10 京都から博多まで (藤圭子)Ⓐ 🅱

B1 さようならの紅いバラ (ペドロ&カプリシャス)Ⓐ 🅲

B2 今日からひとり (渚ゆう子)Ⓑ 🅵

B3 男がつぶやく子守唄 (白川奈美)Ⓐ

B4 美しき五月のパリ (加藤登紀子)Ⓐ

B5 ハチのムサシは死んだのさ (平田隆夫とセルスターズ)Ⓑ 🅳

B6 ともだち (南沙織)Ⓒ 🅳

B7 幸福への招待 (堺正章)Ⓒ

B8 涙 (井上順)Ⓑ 🅲

B9 友達よ泣くんじゃない (森田健作)Ⓑ 🅱

B10 別れの朝 (ペドロ&カプリシャス)Ⓒ 🅳

 

演奏: 三笠輝彦 (テナー・サックス)/ブリリアント・ポップス77

編曲: 小谷充Ⓐ、青木望Ⓑ、穂口雄右

定価: 1,800円

 

ワーナーの「華麗なる~」シリーズの中でも、若干「大人向け」路線の盤のバンド名義にクレジットされていたのがブリリアント・ポップス’77」。恐らく制作者布陣の都合で振り分けが行われていたのではと思われるが、盤によってはビートニックス名義の曲とヴァージョンがごっちゃになってしまってたり。その辺りをぜひ大野良治さんに直撃して伺いたいと夢想している間に、彼も帰らぬ人になってしまい…いずれにせよ、このシリーズをコンプリートするまでにはまだまだ道は長いし、残された好き者同志でこのシリーズの偉業を語り継いでいかねばと思うばかり。

テナー・サックスをフィーチャーした盤としては3枚目に当たるもので、下世話さを控えめにしつつ派手さも抑えて、ちょっと背伸びした感じのイージー・リスニング作になっている。「恋の追跡」なんて普通ならめちゃ疾走しそうな曲も、それなりに自制した感触だし、瀬戸の花嫁「ちいさな恋」も、ここまで落ち着いた感触のものは他に類を見ないが、そんな中アレンジャーとしては超新参者だった穂口雄右が、ここぞとばかり個性を全開。彼が手掛けた5曲中4曲が筒美京平作品というのも果敢で凄いが、その大胆さをあらゆる方向にぶつけまくり聴き応え充分だ。「別れの朝」も洗練されたバックのサウンドに我が道を行きまくる咆哮が溶け込み、一味違う出来。繊細なミキシングはこの段階で早くも健在だが、8トラック録音だったのか…今思えば誠に信じがたいけど、当時の一般意識的には最先鋭だったのかもしれません。ただ、2年も経てば16トラックと言い出すわけだから、当時の録音技術の進化ってほんと凄かったんだな…

それにしても、歌無歌謡のアルバムの帯にここまで沢山の謳い文句を載せたのもワーナー位のもので、当時の洋楽のレコードの帯と比較しても3倍くらいあるなと(笑)。ただ、ジャケのバランスが崩れてしまう感はありますね(クライマックスの曲が入ってると勘違いする人も…いないか)。やっぱ当時、はっぴいえんどの教訓に従い、破って捨ててた人は多かったのだろうか…