黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1975年、今日の1位は「ロマンス」

ビクター SJV-806

ロマンス/最新ヒット歌謡

発売: 1975年11月

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ジャケット



A1 ロマンス (岩崎宏美) 🅵

A2 縁切り港 (西川峰子)

A3 時の過ぎゆくままに (沢田研二) 🅳

A4 白いくつ下は似合わない (アグネス・チャン) 🅳

A5 ふたりの旅路 (五木ひろし) 🅳

A6 貴方につくします (八代亜紀) 🅱

B1 女の純情 (殿さまキングス)

B2 あなたを待って三年三月 (森昌子) 🅲

B3 ささやかな欲望 (山口百恵) 🅲

B4 中の島ブルース (内山田洋とクール・ファイブ) 🅲

B5 となりの町のお嬢さん (吉田拓郎) 🅲

B6 花車 (小柳ルミ子) 🅱

 

 

演奏: 木村好夫 (ギター)/ビクター・オーケストラ

編曲: 佐香裕之

定価: 1,800円

 

あっという間に5ヶ月目に突入、まだまだ容赦無く続く黄昏みゅうぢっく。「ロマンス」といえば、73年3位を記録したガロ盤、2年後岩崎宏美の大ブレイク作となった2ndシングルと、どちらも名曲中の名曲で、両方とも演った歌無歌謡アーティストもかなりいると思われますが、後者の本家本元ビクターも早速乗りました。1週間前に紹介したシリーズ次作『ゆれてる私』でも引き続き取り上げられていますが、ヴァージョン使い回ししてないのがさすが。あっちの方は次の曲「センチメンタル」がヒット中ということもあって、余裕綽々の出来になってますが、こちらはアレンジ的にまだまだ手慣れてない感じで、Cメロなんかずっこけ寸前(宏美曲あるあるなのかな?)。何よりオリジナルのキーから逸脱してるのに違和感があるが、好夫ギターの響きが冴えてるのもそのおかげかもしれないわけで、複雑な印象が拭えない。エンディングのアドリブがここぞとばかりに自己主張しまくりだけど、その余韻がど演歌で断ち切られる。こちらは本領発揮そのもの、トレードマークの好夫フレージングが堪能できますよ。バスクラリネットが色を添えるところは貴重。以降、ポップス系はシャープなサウンドで手堅く、演歌系は粘っこい余韻残しまくりという、黄金パターン。このギターが入ると、レコード会社独自のカラーとかもうどうでもよくなるんですよ。それにしても、「となりの街のお嬢さん」はここでもある程度レゲエ色を咀嚼したアレンジができていると思うけど、愛しさという点ではそれが全然できていない『フォーク・ムード2』のヴァージョンに戻らずにいられないのですよ…歌詞の世界の完璧な音像化だわ…(4/5参照)