黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1973年、今日の1位は「わたしの彼は左きき」(2週目)

マイパック DR-0016 

歌謡ヒット・パレード 

発売: 1974年?

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ジャケット



A1 草原の輝き (アグネス・チャン) 🅷

A2 裸のビーナス (郷ひろみ) 🅶

A3 個人授業 (フィンガー5)

A4 学生街の喫茶店 (ガロ) 🅰→5/24

A5 ちぎれた愛 (西城秀樹)

A6 若葉のささやき (天地真理) 🅱→5/24

B1 わたしの彼は左きき (麻丘めぐみ) 🅵

B2 赤い風船 (浅田美代子) 🅴

B3 女のみち (宮史郎とぴんからトリオ) 🅵

B4 危険なふたり (沢田研二) 🅲→5/24

B5 わたしの青い鳥 (桜田淳子) 🅱

B6 心の旅 (チューリップ) 🅱

演奏: TBSニュー・サウンド・オーケストラ

編曲: 無記名

定価: 890円

 

ダイエー・マイパックの歌無歌謡盤(というかレーベル全体)の中では希少な「ほぼリアルタイム選曲」盤。それはいいとして、音源の出処が怪しい。うち3曲、5月24日に紹介したマキシム盤『若葉のささやき・春のおとずれ』と完全にヴァージョンが一致しており、ということはテナー奏者は高野譲治氏確定なのだが、例によって煙に巻くクレジットである。ローヤルとしてレコード業界でのキャリアをそれなりに積んでるはずだから、権利関係に関してそこまで有耶無耶な音源を作るはずはないのだけど、最早迷宮入りだろうな…他の9曲もサウンド的質感に大差がないので(「わたしの彼は左ききだけはかなりせこい響きに思えるのだけど)、マキシムに近いところで制作されたと見て間違いないだろう。まぁ、そんな盤であろうが、一般客に訴える売り方をすると売れるんですよ、不思議と。せこいけど如何わしさがない、そんなサウンドにかえって愛しさを感じてしまいますが、傑出したポイントを見つけるのも難しいですね。「左きき」の空回りな感じに比べると、「赤い風船」が結構ガチなのも不思議。ベースも控えめに暴れているし。「心の旅」は幾分軽い演奏だが、最後の方足並みが危うくなりつつも敬礼して終わる感じがかえって妙。名曲を厳選した分、当時の混沌とした空気が伝わりやすい1枚。