黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は大信田礼子さんの誕生日なので

クラウン GW-5255

ビッグ・ヒット歌謡ベスト18 恋にゆれて

発売: 1973年6月

f:id:knowledgetheporcupine:20210914052145j:plain

ジャケット



A1 愛のくらし-同棲時代- (大信田礼子) 🅲

A2 恋にゆれて (小柳ルミ子)Ⓑ 🅴

A3 妖精の詩 (アグネス・チャン)Ⓓ 🅳

A4 芽衣子のふて節 (梶芽衣子)Ⓐ

A5 避暑地の恋 (チェリッシュ)Ⓒ 🅳

A6 天使も夢みる (桜田淳子)Ⓓ 🅱

A7 なみだ恋 (八代亜紀)Ⓐ 🅵

A8 恋の十字路 (欧陽菲菲)Ⓒ 🅲

A9 傷つく世代 (南沙織)Ⓐ 🅶

B1 夕顔の雨 (森昌子)Ⓒ 🅴

B2 少年記 (三善英史)Ⓐ 🅱

B3 オレンジの雨 (野口五郎)Ⓓ 🅱

B4 学生街の喫茶店 (ガロ)Ⓔ 🅱→6/18

B5 君の誕生日 (ガロ)Ⓐ 🅴

B6 赤とんぼの唄 (あのねのね)Ⓑ 🅱

B7 若葉のささやき (天地真理)Ⓓ 🅴

B8 森を駆ける恋人たち (麻丘めぐみ)Ⓐ 🅵

B9 ちょっとだけよ…タブー (ペレス・プラード楽団)Ⓕ

演奏: まぶち・ゆうじろう’68オールスターズⒶ

山下洋治とハワイアン・オールスターズⒷⒸ

いとう敏郎と’68オールスターズⒹ

ありたしんたろうとニュービートⒺ

宮間利之とニューハードⒻ

編曲: 福山峯夫ⒶⒹ、小杉仁三Ⓑ、山下洋治Ⓒ、水上卓也Ⓔ、P.メルトⒻ

定価: 1,500円

 

一見して「ワーナー・ビートニックスのアルバムか?」と思わずにいられないレイアウトの、クラウンにしてはファンシー感のあるジャケット。いつもの黄金メンツ+αで送る、クラウン73年春のヒットパレード。若干ハワイアン色強めだが、5曲とも同時発売された、こちらも『恋にゆれて』をタイトルにしたアルバム(GW-5256)から抜粋したもの。こちらのアルバムは、ジャケットのみ所持している…例によって、ジャンクヤードから救済したら、別のレコードが入ってたというやつだ(笑…ちなみに8月8日紹介のブツではない)。岡崎友紀「さよならなんて言わないで」なんてレア曲が入ってるんだけどなぁ…

いろんな演奏が均一したまな板に乗せられ、多彩な感触ながら違和感なくまとめられているという、いつものスタイル。「恋にゆれて」は実にハワイアン・スタイルにぴったりというか、トロピカルな音色がバランスよく敷き詰められて気持ちいい演奏だ。「妖精の詩」はもっとファンシーな音が入ってもよかったと思うけど、決して落胆するような出来ではない。「避暑地の恋」では、ハワイアンムードの中にフルートの囁きがいい感じで収まっているが、リコーダーと絡んだらどうなってたかを想像するのも楽しい…続く「天使も夢みる」共々、名盤『さわやかなヒット・メロディー』の演奏が印象的すぎるから、ついついそう思わざるを得ないんですよね。

「オレンジの雨」まで聴き進んで、何か物足りないなぁという思いも拭えなかったが、ここまでありたしんたろうとニュービートが出てきてないんですよね…で「学生街の喫茶店は、3度目の登場となる「君と」抜きヴァージョンでした。そろそろ軋轢が見え始めたという感じか…続く2曲にニュービートの名演があるので、余計惜しいな。ハワイアンな「赤とんぼの唄」も、意外にキンクス「ローラ」風味があったりするので、面白くなくはないけれど。さて、ラスト、唐突にニューハードの「タブー」だけど、これはサービス以外の何でもない選曲。恐らく、別途制作されていたガチなラテン演奏アルバムから流用されたと思われるが、そこまでさせるドリフ人気って凄かったんですよね。アレンジャーのP.メルトとは、ペア・スズラン「あげてよかった」などを手掛けたペペ・メルトだろうか。せこい仕事はしない人って気がする、確かに。