黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は狩人・加藤久仁彦さんの誕生日なので

ミノルフォン KC-137

‘78最新ヒット歌謡

発売: 1978年3月

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ジャケット



A1 サムライ (沢田研二) 🅱

A2 乙女座 宮 (山口百恵)

A3 追いかけてヨコハマ (桜田淳子) 🅱

A4 わな (キャンディーズ) 🅱

A5 UFO (ピンク・レディー) 🅳

A6 ひとり歩き (小柳ルミ子)

A7 父娘草 (森昌子)

B1 二十才前 (岩崎宏美)

B2 ブーツを脱いで朝食を (西城秀樹)

B3 恋人たちの100の偽り (太田裕美)

B4 教えて下さい、神様 (天馬ルミ子)

B5 若き旅人 (狩人)

B6 わかれうた (中島みゆき) 🅱

B7 春の予感 (南沙織)

演奏: ブルーナイト・オールスターズ&ストリングス

編曲: 無記名

定価: 1,800円

 

ミノルフォンの「リリカル女子イラストジャケシリーズ」はやっぱ集め甲斐ありますが、この辺になると、林静一画であると断定し辛いタッチになってきてますな…79年の盤になると、完全に彼の画風じゃなくなっているし。このジャケも、果たして帯をずらすべきか、いっそ取っちゃうか、迷いつつ本来の位置で画像を撮りました。まさに「歌にキスしてる」って雰囲気が出てますね。

歌謡界が静かに激震していた78年初頭のヒット曲集。個人的にも、中学生に上がる寸前の曲達ということで思い入れが激しいです。この純情ジャケに1曲目からジュリーの「サムライ」は不釣り合い…炎上なんて言葉がなかったのが幸いしたけど、子供心にもあの衣装は衝撃的でしたね。曲の方は既にアルバム『思いきり気障な人生』に入っていたので、素早く馴染んだし、めちゃ愛唱してましたよ(汗)。ここではほぼオリジナルの尺に等しい演奏なので、5分超えです。この頃から常軌を逸した長さの曲が多くなってくる。

「乙女座 宮」はいよいよ百恵の本音が炸裂したか、という意味深な歌詞で話題になった、個人的にも大好きな曲。右チャンネルで炸裂するギターが心をくすぐります。ここからしばらくは乙女プログラム。それに相応しく爽やかな演奏が繰り広げられます。秀樹の「ブーツを脱いで朝食を」は、小道具の使い方で「サムライ」に匹敵する波紋を与えましたね。ここでも歯切れの良い右側のギターが、左側の幻惑的ギターと対をなし、妖しいムードに火を付けています。

そして、待ってました自社推し枠、天馬ルミ子さんの「教えてください神様」です。とにかく長身でドツボな子でしたね。歌もできすぎ。この辺りからかな、新人アイドルの年齢がリアルタイムで生きる自分のそれに近づいてきて、甘酸っぱい気分になり始めたの。自社期待の新人だけあり、女性コーラスまで動員して力が入りすぎの歌無ヴァージョンに仕上がっています。でも、オリコンでは83位止まり…続く「若き旅人」が同じ都倉俊一作品ってのも驚愕ですが、軍歌っぽいというか「キラートマト」テイストがある曲だなと(笑)。狩人は当時彦根でライブ見てます。生きてる間は兄弟仲保って欲しい…

本盤のヤマは続く「わかれうた」。ボトムの強い前奏だけでも引き込まれるのに、主旋律がリコーダー(ソプラノ)。中島みゆきの曲にこの音色がはまってるのは驚きですが、強いバックのサウンドとの温度差もいいし、時々指がもつれ気味になるのも萌える。願わくば、もっとブレスを強調してくれれば(汗)。

やっぱ1枚ものでこの位の曲数の方が付き合いやすい、と思わされるけど、どうしてもお得な方を選んでしまうんですよね。アレンジャー無記名が惜しすぎ…