黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その24: 日本のメロディー

クラウン GW-5269

叱られて・花嫁人形 幼き日のメロディー・ベスト20

発売: 1973年9月

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ジャケット



A1 叱られて 🅳

A2 あの町この町 🅱

A3 夕やけこやけ 🅳

A4 ふるさと 🅱

A5 花嫁人形 🅱

A6 浜千鳥 🅱

A7 赤とんぼ 🅳

A8 ゆりかごの歌 🅲

A9 どじょっこふなっこ

A10 花かげ

B1 浜辺の歌 🅱

B2 七つの子 🅳

B3 おぼろ月夜

B4 待ちぼうけ 🅲

B5 どこかで春が

B6 冬景色

B7 花 (滝廉太郎) 🅲

B8 マリリス

B9 船頭さん

B10 絵日傘

 

演奏: 重松岩雄 (エレクトーン)/クラウン・オーケストラ

編曲: 岩河三郎、越部信義(☆)

定価: 2,500円

 

「日本のメロディー」シリーズがくると、本当素直にならずにいられません。不純なきっかけで童謡レコード集めが始まったけど(5月11日参照)、自分の音楽好きのルーツとは違う、根本的なものを発見した気になって、まじで泣けたりして。幼い頃、もっと真剣に触れておけばよかったんだな。この気持ちは、来るべき世代に受け継いでいかねばなりません。もっとも、自分が子孫を残してないのが一番悲しいのですが…

前年に森ミドリのビクトロン独奏盤を出していたクラウンですが、こちらはフルオーケストラを交えて、よりスタンダードな解釈で迫るエレクトーン名曲集。あくまでもトリッキーな展開は抑えて、じっくり聴かせる。コロムビア盤の斬新な解釈を聴いたあとだと、余計にじんとくるものがありますが、中には超高速ヴァージョンと化した「どじょっこふなっこ」(アレンジャーの関係か、サザエさんテイストもあり)とか、2コーラス目を完全に短調で演奏したり、他の名曲を挟み込んだりと意表をつくアレンジをしている「花」などのユニークなものもあって楽しいし、「あの町この町」のフルートに忍ぶ、歌無歌謡では聴けない瑞々しさとか、そこまで自己主張してない琴とか、個々の演奏にも注目ポイントがあり。色々と気づかされることもありますね。「花かげ」が「港町シャンソン」と合体して「しらけ鳥音頭」になったのか、とか(爆)。「アマリリスの本来の譜割りはこうだったのか、とか。どうしても最初の音が小節の頭だと思いがちになるのですよね、「メロディー・フェア」みたいに。

決してアドリブでハモろうとする場合思いつかないような鮮やかな和声構築に、思わずはっとさせられる部分もあって、やはり創作する側としてはこういうアルバムにもっと学ばねばと思わされます。今更ですが、童謡カヴァーアルバムは作りたいですね(宗内の母体談)。