ポリドール MR-8111~2
胸いっぱいの悲しみ ヒット歌謡ベスト28
発売: 1973年8月
A1 恋する夏の日 (天地真理)Ⓐ 🅵
A2 草原の輝き (アグネス・チャン)Ⓐ 🅸
A3 ひとりっ子甘えっ子 (浅田美代子)Ⓒ 🅵
A4 夕顔の雨 (森昌子)Ⓔ 🅵
A5 君が美しすぎて (野口五郎)Ⓐ 🅲
A6 夜間飛行 (ちあきなおみ)Ⓓ 🅲
A7 傷つく世代 (南沙織)Ⓔ 🅷
B1 胸いっぱいの悲しみ (沢田研二)Ⓐ 🅶
B2 恋にゆれて (小柳ルミ子)Ⓑ 🅵
B3 女のゆめ (宮史郎とぴんからトリオ)Ⓒ 🅲
B4 恋の十字路 (欧陽菲菲)Ⓔ 🅳
B5 かがやける愛の日に (尾崎紀世彦)Ⓑ 🅱
B6 東京ブルース (愛田健二)Ⓓ
B7 若葉のささやき (天地真理)Ⓔ 🅵
C1 裸のビーナス (郷ひろみ)Ⓐ 🅷
C2 危険なふたり (沢田研二)Ⓐ 🅶
C3 遠い灯り (三善英史)Ⓓ 🅱
C4 霧の出船 (五木ひろし)Ⓔ 🅴
C5 赤とんぼの唄 (あのねのね)Ⓑ 🅲
C6 赤い風船 (浅田美代子)Ⓒ 🅵
C7 女のねがい (宮史郎とぴんからトリオ)Ⓓ 🅳
D1 君の誕生日 (ガロ)Ⓑ 🅵
D2 オレンジの雨 (野口五郎)Ⓐ 🅲
D3 裏町酒場 (愛田健二)Ⓒ
D4 少年記 (三善英史)Ⓔ 🅲
D5 夢の中へ (井上陽水)Ⓑ 🅲
D6 学生街の喫茶店 (ガロ)Ⓒ 🅳
D7 妖精の詩 (アグネス・チャン)Ⓔ 🅴
演奏: 原田寛治(ドラムス)とオールスターズⒶⒷ
秋本薫(テナー・サックス)とオールスターズⒸⒹ
伊部晴美(ギター)とオールスターズⒺ
編曲: 川上義彦ⒶⒸ、山屋清Ⓑ、伊部晴美ⒹⒺ
定価: 2,000円
いよいよ後半戦に突入の黄昏みゅうぢっく。まだまだどえらいものを隠し持ってますので、慎重に見守っていてくださいね(無闇に価値を高めないでね、ってこと)。ポリドール名物、3大メインディッシュ揃い踏みの恒例の2枚組でスタート。73年夏のヒット曲が勢揃いですが、クラウンのパターン化された2枚組シリーズに比べると、その時々で大胆と思われる試みを慎重に行なっているというイメージが強く、それゆえに74年以降もしぶとく生き残れたのかなと思います。何せ、一流プレイヤーが揃ってるし、それこそがポリドールカラーですからね。69年からずっと、そのポリシーが一貫している。
やはり、ここでも攻めに攻めてるのは原田寛治のドラム。一体マイクを何本使ったのかと憶測させる、それぞれの音が立ちまくった録音とミキシングで、いかなる曲をも寛治色に染め上げる。ここまで激しいアプローチがとられた「草原の輝き」はまずあり得ないし、今作ではあの山屋清氏をアレンジャーとして迎えているのも聴きどころ。南国ムードの中に鉄の蝶を紛れ込ませたような「恋にゆれて」も凄いが、最もぶっ壊れているのは「赤とんぼの唄」。オリジナルがあんな曲だからとは言え、ここまで破壊し尽くさなくてもいいのでは…ザ・フーの「くもの巣と謎」に肉薄する狂気。「危険なふたり」や「夢の中へ」も、自社曲であることを気にせず、暴走度はオリジナルの1.5倍程。自らのフィーチャリング曲以外でも容赦無く自己主張しているが、決してフロント二人のメンツを潰すことはしていない。「ひとりっ子甘えっ子」をここまで野生味たっぷりに料理しているヴァージョンはないだろうし、鍵盤類の慎重なバックアップも汚れ知らずだ。メロトロンまでは導入していないものの、そのカラフルな音色は今作に華を与えている。この賑やかな音の群れの中、一人「大人」に徹している伊部御大のプレイも、もちろん聴き逃せないし。ジャケットは聴き手を選びそうだが、安心して没入できるポップな2枚組。