MICRO VS-A238
カラオケレコード全集5 青春のうた
発売: 1978年?
A2 迷い道 (渡辺真知子) 🅲
A3 初恋草紙 (山口百恵) 🅱
A4 もう一度逢いたい (八代亜紀) 🅳
A6 甘ったれ (森進一) 🅱
A7 タイムトラベル (原田真二) 🅱
A8 涙の誓い (アリス) 🅱
B2 UFO (ピンク・レディー) 🅴
B3 サウスポー (ピンク・レディー) 🅳
B4 イミテイション・ゴールド (山口百恵) 🅱
B5 危険なふたり (沢田研二) 🅷
B7 夜空 (五木ひろし) 🅳
B8 昭和枯れすゝき (さくらと一郎) 🅵
演奏: アート・ポップス・オーケストラ
編曲: 無記名
定価: 未記載
得体の知れないマイナーレーベル、MICROレコード。その実体は、60年代から「音の出る書籍」事業に力を入れていた「現代芸術社」だった。70年代後半には鳴りを潜めていたと思いきや、どういう風の吹き回しかカラオケレコード制作に参戦、盤のプレスはビクターに委嘱していたが、音源ルートが不透明すぎ。エルムのような他のマイナーレーベルと、繋がりがあるようでないようで…掘り下げるに従ってより吃驚な事実も明るみになったが、その説明は恐らく忘れられた頃に、ということで。
ジャンクコーナーでは他に童謡や小林旭のカラオケ盤も発見したのだが、買うに至らず。カラオケ盤全般に対して消極的態度しかとれないのがその主な理由だが、これは買いましたとも…だって、ジャケットのお姉さんが…あまりでかい声では言えないけれど、いいでしょ、おへそ位見せたって(…結局隠す…瀧汗)。極端なエロチシズムを見せつけられるより、こんなさりげなさの方に「表紙」としての魅力を感じますね。Hing Nyuなんて言わないの!そこの人!(自滅)
「青春のうた」というタイトルで、77~78年のヤングポップスのど真ん中を狙った選曲と見せかけておいて、途中で極端な凹凸に食い込む。「勝手にしやがれ」はマイナーレーベル感のあるせこい演奏ながら、割と突っ走っており、カラオケとしてはまぁまぁ使える。しかし、この指一本で弾いているようなシンセのガイドメロディーは滑稽で、深く参考にするとずっこけそう。「出て行ってくれ」のとこで指が滑り気味だし。一部管楽器だと、この手のズレにはかえって萌えるのだが(汗)。「迷い道」はミックス・演奏ともにシャープだ(ガイドメロディーを除く)。このシャープさが「謎」の素となるのである…。かと思うと「もう一度逢いたい」で思いっきり場末ワールドに。ガイドメロディーもせこいギターに代わっている。
さて、唐突に「瀬戸の花嫁」へ。この選曲も不可解ながら、どっか既聴感が。72年当時に録音されて、既に音盤化されている音源を流用しているのだが、そのアルバムを語る時まで結論は保留ということで。もう一つ、古めの曲が「危険なふたり」なのだが、こちらは5月24日取り上げたマキシム盤『若葉のささやき・春のおとずれ』と全くバックトラックが同一で、メロディーを奏でるギターのみ別演奏だ。オブリガートのギターの危なっかしさが特徴的なのですぐ解ったが、そのテイク自体ダイエー盤の一つにも流用されたし、ここで聴けるギターも、テクニック的にはマキシム盤に多少劣るものの(間奏明けのやる気のなさに絶句…いや、マキシム盤も聞き直してみれば相当危なっかしいぞ)、演奏の音量はカラオケのガイドメロディーにしては大きいし、制作された時代そのものが73年当時のような気もするのだが。一体どうなっているのだろうか、マルチテープそのものの駆け引きが。
実は、78年の最新曲いくつかに関しても、同じようなケースがあり、余計ミステリーが高まる結果になっている。「UFO」や「かもめが翔んだ日」の中に、サウンドを特徴付ける特異な要素が含まれているのだけど、このアルバムのテイクでそれを強烈に印象付けられた後、別の歌無歌謡アルバム(ちゃんとした演奏でメロディーが奏でられている)を聴いてそれらに出くわし、吃驚しましたもの。果たしてどのアルバムなのかは、今後の更新で明らかになります…
オケそのものは74年制作と思われるものの、被せられたせこいシンセ音にカラオケ需要の跡を感じる「夜空」を聴きながら、おいしいジャケットのおかげでここまでミステリー探索できるなんてと我ながら呆れているこのアルバムの幕引きが「昭和枯れすゝき」なんて。場末感溢れるバンド演奏にスチールギターが呻き(しかも通常の歌無歌謡並の音量)、さくら・一郎いずれのパートのカラオケとしても使い辛いが、この危ない歌謡ドラマのエンドロールに相応しい役割を果たしている。これもまた、青春なのかも。