黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1973年、今日の1位は「神田川」(2週目)

ミノルフォン KC-74

若草の季節・恋の風車/’74最新ヒット歌謡

発売: 1974年2月

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ジャケット

 

A1 若草の季節 (森昌子)Ⓐ

A2 神田川 (かぐや姫) 🅵→8/30

A3 ひとかけらの純情 (南沙織)Ⓒ 🅳

A4 一枚の楽譜 (ガロ)Ⓐ 🅴

A5 モナリザの秘密 (郷ひろみ)Ⓒ 🅱

A6 冬の旅 (森進一)Ⓑ 🅳

A7 禁じられた遊び (山口百恵)Ⓒ 🅱

B1 恋の風車 (チェリッシュ)Ⓐ 🅴

B2 夜空 (五木ひろし)Ⓑ 🅴

B3 愛の十字架 (西城秀樹)Ⓒ 🅳

B4 恋は真珠いろ (浅田美代子)Ⓒ 🅱

B5 小さな恋の物語 (アグネス・チャン)Ⓑ 🅲

B6 魅せられた夜 (沢田研二)Ⓐ 🅴

B7 五番街のマリーへ (ペドロ&カプリシャス)Ⓐ 🅱

 

演奏: ブルーナイト・オールスターズ

編曲: 小谷充Ⓐ、京建輔Ⓑ、矢野立美

備考: RM方式4チャンネル・レコード

定価: 1,500円

 

昨日に引き続き、74年のブルーナイト・オールスターズのアルバム、こちらは1枚ものを紹介。1年のスパンはあれど、さほどカラーは変わってなく、原曲に近いサウンドと謳いつつもノリを若干軽くした安心の演奏が楽しめる。自社推し故、森昌子の扱いは慎重で、カラフルなサウンドを調合させながら親しみやすくポップにまとめている、オープニングに相応しい「若草の季節」。続く神田川は唯一別のアルバムに流用されたものを紹介済みで、こともあろうに『フォークの旅』だ。そっちで聴く分には全く違和感を感じなかったけれど、元来スタンス的にミノルフォンだったのか…。オリジナルに近づけた分、場末くささは確かに希薄だが。エレピがさわやかに先導する「ひとかけらの純情」を筆頭に、11日に紹介した『ゴールデン歌謡スキャット』と重なる曲が7曲も。あちらの強烈な解釈と比較すると、どの曲も確かにおとなしすぎるけど、声なしで歌謡曲の魅力を楽しむのもやはり乙なものだ。これらの中で、唯一この盤のやつの方の圧勝と思わされるのが「恋は真珠いろ」浅田美代子の曲の歌無盤には強力なものが多いけど、これは間違いなくベスト3に入る出来。小粋なバッキングに乗せて、右のチャンネルでたっぷりエコーを伴ったソプラノリコーダーがさえずる。浅田美代子の歌唱を最も忠実に楽器演奏で再現したとしたら、これになるんだろうな…低音部の不安定さといい、ガチプレイヤーの演奏では醸し出せないちょっと間抜けな可愛さ。4チャンネルを意識したおかしな定位になってるけど、マルチテープが残ってたら是非リミックスしたい(無理だろうな…)。ラストを飾る五番街のマリー」「へ」が欠けた曲目表記が減点ではあるが、さわやかさに彩られた力作だ。