黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は高倉健さんの誕生日なので

ユピテル YLT-107

大正琴の真髄 演歌・演歌・演歌

発売: 1974年

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ジャケット

A1 なみだの操 (殿さまキングス) 🅸

A2 くちなしの花 (渡哲也) 🅹

A3 みれん (五木ひろし) 🅴

A4 襟裳岬 (森進一) 🅺

A5 唐獅子牡丹 (高倉健) 🅱

A6 怨み節 (梶芽衣子) 🅲

A7 あなたにあげる (西川峰子) 🅳

A8 おんなの運命 (殿さまキングス) 🅴

B1 命預けます (藤圭子) 🅵

B2 うそ (中条きよし) 🅶

B3 命かれても (森進一) 🅳

B4 夫婦鏡 (殿さまキングス) 🅴

B5 なみだ恋 (八代亜紀) 🅶

B6 恋ひとすじ (森進一) 🅴

B7 愛ひとすじ (八代亜紀) 🅳

B8 女のみち (宮史郎とぴんからトリオ) 🅷

 

演奏: 吉岡錦正 (大正琴)/ブルー・サウンズ・オーケストラ

編曲: 池多孝春

定価: 1,500円

 

初期ユピテル市販盤の例のノリで、大入袋をジャケット全面に大フィーチャーしての演歌インスト集。編曲・池多孝春のクレジットで襟裳岬収録となれば、もしかしたらもしかしてと思い喜び勇んで購入したが、そこまでエキサイトするほどのものじゃなかった…大正琴ファンとしても、全体のサウンドの中にバランスよく溶け込んだその響きはかえって落ち着きすぎ、というイメージ。まぁ、おなじみの曲が揃っているので、「真髄」はいやというほど味わえる。現に、ほとんど全ての曲が、過去3ヴァージョン以上ここに登場しているし。

「なみだの操」は例の如く、コロムビア盤のメロトロンを幻聴するのだが(汗)、ここではその代わりにアコーディオンが使われており、余計飲み屋的イメージを補強している。「みれん」で多少モダン感のあるアレンジに導かれ、「襟裳岬」に到達するのだが…おなじみのユピテルヴァージョンとは全く趣の違うアレンジであり、同じアレンジャーといえども着せる服を大胆に変えることも…いや、それができるのがプロってことか。ここではストリングス(本物)を導入して、若干フォーク色を強めたサウンド。そこに大正琴が加わることで、異次元感を演出している。ラスト近くのギターにはカントリー色も。まぁ、大正琴とメロトロンが同時に鳴っているところを想像すると、当然震えるのだけど(汗)。その後「唐獅子牡丹」がヘヴィに迫り来る。「怨み節」もソリッドなブルースに、しっかり大正琴がはまっている。8月5日紹介のACE盤「演歌の心」に収録されているヴァージョンと比較すると、こちらの「夫婦鏡」はしっかり16分音符勝負を乗り越えており、やっぱあの盤の演奏は吉岡ファミリーではなかったのかと再認識させられる。「恋ひとすじ」「愛ひとすじ」を並べる遊び心も、いかにもユピテルらしい。ラスト、「女のみち」では一部フルートが苦しそうな音を出してる…やっぱ、メロトロンを使った方がよかったんじゃないですか、といけない結論に導いてごめんなさい(汗)。

と書いたところで再度、4月9日紹介した『ヒット速報』(ポストアルバム)に収録されている「みれん」と「おんなの運命」(両方共、ヴァージョン🅰)を聴いて検証してみたら、なんと!ミックスのバランスを相当変えているにもかかわらず(メインメロ以外にも大正琴への差替えが行われているところがあれば、メインメロに他の楽器を残している部分もあるなど)、基本的に同じ演奏であることが確認された。なら「襟裳岬」も…しかし肝心のこの曲は完全別テイクなのだ。やはり、メロトロンの呪縛はそう簡単に解けなかったというわけか…(汗)