黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1971年、今日の1位は「雨の御堂筋」(3週目)

マキシム MM-1504

最新ヒット歌謡18 別れの朝

発売: 1971年

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ジャケット

 

A1 別れの朝 (ペドロ&カプリシャス) 🅶

A2 かもめ町 みなと町 (五木ひろし) 🅴

A3 誰も知らない (伊東ゆかり) 🅵

A4 夜明けの夢 (和田アキ子) 🅲

A5 ポーリュシカ・ポーレ (仲雅美) 🅲

A6 悪魔がにくい (平田隆夫とセルスターズ) 🅴

A7 望郷子守唄 (高倉健) 🅱

A8 雨の御堂筋 (欧陽菲菲) 🅲

A9 終着駅 (奥村チヨ) 🅴

B1 雪あかりの町 (小柳ルミ子) 🅳

B2 長崎慕情 (渚ゆう子) 🅱

B3 潮風のメロディー (南沙織) 🅲

B4 ハチのムサシは死んだのさ (平田隆夫とセルスターズ) 🅴

B5 雨のエアポート (欧陽菲菲) 🅵

B6 遠くはなれて子守唄 (白川奈美) 🅱

B7 愛の架け橋 (ヒデとロザンナ)

B8 わたしの城下町 (小柳ルミ子) 🅷

B9 愛する人はひとり (尾崎紀世彦) 🅳

 

演奏: 堀口博雄とエマンストリングス/前川元 (アルト・サックス)、荒尾正伸 (トランペット)、野口武義 (ギター)

編曲: 竜崎孝路

定価: 1,500円

 

マキシムというレーベルは謎が多い。ローヤル傘下に新規発足してこれが3枚目の歌無歌謡アルバムで、当時新進気鋭アレンジャーだった竜崎孝路を起用して気合の入ったサウンドを作っているのだけど、ミュージシャンクレジット周りがどうも釈然としないのだ。本来「エマノン・ストリングス」であるはずの主役グループ名がちゃんとクレジットされていないし、全編フィーチャーというわけでもない。おまけに、その2作後に出た『幸福泥棒』(6/12参照)ではその名称がちゃんとクレジットされているのに、最近判明した事実なのだがその収録曲のうち10曲が、ポリドールから別名義(フィーチャーされたトランペッターの名義さえ違っている!)でリリースされた同タイトルのアルバムに丸ごと流用されていたのだ!その盤に原盤の供給元のクレジット(ローヤルではない)があることが、余計事態をややこしくしているのだが、メジャーマイナーの壁越えて、こういうことが平気であり得るのだから、当時の音楽業界って怖い。

まぁとにかく、所々ではっとさせるサウンドが聴かれるので油断できない1枚。なかなか引き締まった録音もされているし、随所に登場する電気アコーディオンの音が他ではあまり聴けない斬新なものだ。特に「夜明けの夢」で効果的な音色を響かせまくっている。他社にずっこけヴァージョンも点在する「潮風のメロディー」も爽快にこなしているし、「ハチのムサシ」でいきなり前面に出てくるコーラスはあまりプロっぽくなく、故にいいアクセントだ。前出の『幸福泥棒』ほどの冴えはまだ見られないが、持っていて損はしないアルバム。第1弾リリースの『ニューロックとストリングスの競演』が益々気になる…