黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー特例日: 今日はフレディ・マーキュリーを偲んで

国文社 SKS-111

ロック・ビート

発売: 1976年?

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ジャケット(裏)

A1 ロックン・ロール・ラブ・レター (ベイ・シティ・ローラーズ) 🅱

A2 恋はドッキリ (スージー・クアトロ)

A3 誘惑のロックン・ロール (クイーン)

A4 ジャンピン・ジャック・フラッシュ (ザ・ローリング・ストーンズ)

A5 ブラック・マジック・ウーマン (サンタナ)

A6 ロックン・ロール・ミュージック (チャック・ベリー)

B1 ビー・バップ・ア・ルーラ (ジーン・ヴィンセント)

B2 ダイアナ (ポール・アンカ)

B3 のっぽのサリー (リトル・リチャード)

B4 監獄ロック (エルヴィス・プレスリー)

B5 ダイナマイト (クリフ・リチャード)

B6 火の玉ロック (ジェリー・リー・ルイス)

 

演奏: ニュー・サン・ポップス・オーケストラ

編曲: T.Akano、Y.Koyama

定価(参考市価): 2,200円

 

あらゆる手を尽くして歌謡曲関連のテーマを日々にあてがい、それに関連する曲が収められている歌無歌謡アルバムを紹介している(但し火曜日を除く)「黄昏みゅうぢっく」ですが、多少苦し紛れのテーマでさえ関連付けを行えなかった日が2日あり、そのうちの一つが9月5日でした。奇しくも、もう片方が今日…即ち、フレディ・マーキュリーの誕生日と命日だったというまさかの奇遇。歌謡関連だと、「丘灯至夫先生を偲ぶ」位しかネタがないんですよ。さすがに、手持ちの盤でそれにふさわしいのがないので。そんなわけで、2度目の「歌謡フリー番外編」。前回同様、希少なクイーン曲を含むインスト盤を取り上げます。

「ニュームードミュージック」を標榜する国文社の第2回発売分の中でも異色の、ロックに焦点を絞ったアルバム。8日前に取り上げたばかりの第1回シリーズの1枚『ムード・イン・ドラム』の線上に位置するものだけど、あくまでも当時の技量が許容できる範囲内で、何とかムード音楽の枠に押し込んだ69年のサウンドと比較するわけにはいかない。演奏する側、そしてアレンジャーの対応能力が劇的に進化しているし、録音技術も然り。よってかなり力が入った音作りが行われているけれど、外枠はあくまでも「ニュームードミュージック」だ。よって、相当不思議な味わいが体験できる。

前半はBCRの曲で始まるけれど、位置づけとしてはモダンなロック・サイドというべきもので、クイーンの「誘惑のロックン・ロール」( “Now I’m Here” )も原曲に比べると相当緩いながら、演奏そのものは引き締まっており、特に女性コーラスで色彩感を加えているのがいい。続く「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」も原曲と比較すると70年代的な味わいを加味しているけれど、安らぎの音楽からは程遠い。「ブラック・マジック・ウーマン」は本作の中でも最もまともな解釈と言える。

おかしなことになるのはこの後からで、「ロックン・ロール・ミュージック」がこの位置にあるのはやはりビーチ・ボーイズを意識したからか?ディスコ・サウンドを経由したタイトなリズムアレンジとシンセによるメロディが、これでいいのか感を醸し出しまくる。Bメロの5小節目のコードが変えられているのがとてもおかしいし、出だしのストリングスがアグネスの「星に願いを」みたいでもっとおかしい。

この調子で、B面のロック・スタンダード集に突入していくのだが、『ムード・イン・ドラム』と曲を重ねていないのはちゃんと計算した故だろうか。7年もブランクがあるのにね。「ビー・バップ・ア・ルーラ」は多少ジョン・レノン盤を意識したアレンジ。かと思うと「ダイアナ」「ダイナマイト」はシンセ入りで70年代中期のノリだ。「火の玉ロック」は再編集するとボブ・シーガーの「忘れじのロックン・ロール」に化けそう(えっ)。この頃はロックンロール・リバイバルがヤンキー・カルチャーの象徴みたいに受け取られていた感があり、その辺の認識を浄化するかというのも、この盤の企画意図にあったのかもしれない。でもやっぱ、この緩いサウンドでキッスやエアロスミスの曲も聴きたかったというのが正直なところ。今日はエリック・カーの命日でもありますので。

ジャケットは2日連続で裏掲載になりましたが、こちらはただ単に表を載せるのがリスキーすぎるからということで(汗)。