黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は真木ひでとさんの誕生日なので

ポリドール SMR-3047

七色のしあわせ 魅惑のアルト・サックス・ムード

発売: 1969年7月

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ジャケット



A1 七色のしあわせ (ピンキーとキラーズ) 🅴

A2 風 (はしだのりひことシューベルツ) 🅻

A3 グッド・ナイト・ベイビー (ザ・キング・トーンズ) 🅲

A4 時には母のない子のように (カルメン・マキ) 🅺

A5 美しき愛の掟 (ザ・タイガース)

A6 白いブランコ (ビリー・バンバン) 🅸

A7 愛の奇跡 (ヒデとロザンナ) 🅳 

B1 夜明けのスキャット (由紀さおり) 🅸

B2 家へ帰ろう (ザ・キング・トーンズ) 🅱

B3 僕は燃えてる (オックス)

B4 涙の季節 (ピンキーとキラーズ) 🅳

B5 坊や大きくならないで (マイケルズ) 🅲

B6 不思議な太陽 (黛ジュン) 🅲

B7 帰り道は遠かった (チコとビーグルス)

 

演奏: 黛はじめ(アルト・サックス)とスイング・オーケストラ

編曲: 川上義彦

定価: 1,700円

 

18日紹介したミノルフォン盤と比較すると、こちらはアルト・サックスの持つしなやかな一面をポップに演出し好コントラストを編み出したアルバムで、「涙の季節」が共通しているのを除くと音楽的傾向もまるで真逆。というかGSの曲が2曲しか選ばれていないのに(最後の曲をジェノバの曲と捉えれば3曲か)、やたらGS度数が高い錯覚を与えるのだ。GSがもたらした躍動感が当時のポップス歌謡に与えた影響を感じることができる。他の歌無アルバムの解説では「おかしなグループサウンズ」とディスってたポリドール邦楽部も、ここまで染まる場合もあるわけで。

通常の歌無歌謡盤と比較すると、かなりスインギーな印象で、ブラスセクションが一丸となってゴージャスな雰囲気を作り出す。あまり目立ちはしないけど、ドラムの定位置には確かに原田寛治がいるし。リードの震えも生々しい響きには芯の強さも感じられる。問題の「美しき愛の掟」はオリジナルに比べると軽すぎるけど、この枠組みにしっかりハマってるし。一連のポリドールものに比べると、場末のダンスホール的ノリは異色ではあるが、ジャケットのさりげない色彩感覚に似合う響きと言い表せそうな気がする。ジャケット内側上部に敷き詰められたマッチ棒のような模様もシュールで、なかなか効果的だ。