黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日はあべ静江さんの誕生日なので

クラウン GW-3007~8

ビッグ・ヒット歌謡ベスト36 妹・ふたりの急行列車

発売: 1974年5月

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ジャケット(裏)

 

A1 妹 (かぐや姫)Ⓒ

A2 恋は邪魔もの (沢田研二)Ⓓ 🅳

A3 ふたりの急行列車 (チェリッシュ)Ⓒ 🅱

A4 なみだの操 (殿さまキングス)Ⓐ 🅹

A5 バラのかげり (南沙織)Ⓔ 🅲

A6 激しい恋 (西城秀樹)Ⓒ 🅲

A7 恋の風車 (チェリッシュ)Ⓕ 🅵

A8 三色すみれ (桜田淳子)Ⓐ

A9 くちなしの花 (渡哲也)Ⓑ 🅺

B1 もう一度 (小坂明子)Ⓑ 🅱

B2 星に願いを (アグネス・チャン)Ⓕ 🅱

B3 逃避行 (麻生よう子)Ⓑ

B4 学園天国 (フィンガー5)Ⓓ 🅲

B5 告白 (野口五郎)Ⓑ

B6 しのび恋 (八代亜紀)Ⓐ 🅴

B7 赤ちょうちん (かぐや姫)Ⓒ 🅲

B8 ときめき (麻丘めぐみ)Ⓓ 🅲

B9 恋人たちの港 (天地真理)Ⓕ 🅱

C1 さらば友よ (森進一)Ⓑ 🅳

C2 薔薇の鎖 (西城秀樹)Ⓐ 🅲

C3 闇夜の国から (井上陽水)Ⓔ 🅱

C4 透きとおった悲しみ (あべ静江)

C5 夜空 (五木ひろし)Ⓖ 🅵

C6 銀の指環 (チューリップ)Ⓓ

C7 花のようにひそやかに (小柳ルミ子)Ⓕ 🅱

C8 ひとり酒 (ぴんから兄弟)Ⓒ 🅱

C9 姫鏡台 (ガロ)Ⓓ 🅲

D1 花とみつばち (郷ひろみ)Ⓓ 🅲

D2 白い部屋 (麻丘めぐみ)Ⓑ

D3 恋のダイヤル6700 (フィンガー5)Ⓒ 🅳

D4 突然の愛 (あべ静江) 🅲

D5 あなた (小坂明子)Ⓒ 🅵

D6 なみだ恋 (八代亜紀)Ⓐ 🅷

D7 心もよう (井上陽水)Ⓓ 🅴→6/21

D8 別れの鐘の音 (五木ひろし)Ⓐ 🅳

D9 こころの叫び (野口五郎)Ⓒ 🅱

 

演奏: まぶち・ゆうじろう’74オールスターズⒶ

いとう敏郎と’68オールスターズⒷⒸ

ありたしんたろうとニュービートⒹⒺ

江草啓介と’74オールスターズⒻ

サム・テイラーと彼のオーケストラⒼ

編曲: 福山峯夫ⒶⒷ、小杉仁三ⒸⒼ、青木望Ⓓ、さいとう・とおるⒺ、新井英治Ⓕ

定価: 3,000円

 

クラウンの2枚組、というだけで結構萎える…わけにいかない、テイク的に今までのエントリで語ったものは「心もよう」(やたら速いありたヴァージョン)一曲しかないので、新鮮な気持ちで臨まなければ。73年暮れまで2400円で出していたGW-8000番台の2枚組シリーズだが、色々厳しくなってきたせいか、74年2月新譜から3000円のGW-3000番台シリーズに鞍替え。このペースを79年初頭まで維持した。単純計算して5年間で100セット程出したことになるのだが、完全ディスコグラフィーを編むのは至難の技で、「総目録」に記載されずに廃盤になったブツがいくつもあるし、当然曲のダブりもありまくる。いずれにせよ、この制作ポリシーで100セット出したというのは驚異的だし、全ジャケットを並べたら壮観だろう。この盤はまだクリーンな方で、今回は裏を載せたが、曲名が表記されている部分以外は表の写真を反転させたのみ(これはクラウン歌無盤あるあるである)。表を載せなかったのは何故かというと、せっかくの潔白な女の子の顔に白い擦り傷のようなものがついてしまっているからである。顔以外だったら構わず載せちゃうんですけどね(汗)。

いつもの面子勢揃いであるものの、当時の制作スタンスの中では完全に別格扱いだったサム・テイラーを1曲だけ引っ張ってきているのが異例のこと。ちょっとかわいそうって気もするけど、出典となったアルバム『神田川・空いっぱいの幸せ』(GW-7058)のクレジットによると、(オケも含めて?)73年10月にニューヨークのベル・スタジオで録られたもので、さすがに格が違いすぎる。現地のミュージシャンがどの程度関与しているかまでは読めなかったのだが。あとは相変わらず、安定のクラウンサウンドではあるけれど、「激しい恋」のイントロの妙なサウンドは何なのだ。電子楽器を使ってる感じはしないし、恐らくスライド・ホイッスルを複数本使って速回し再生しているという感じが濃厚であるが(ちなみにオリジナルでは、ボブ・ディランいうところの「ポリス・カー」がふんだんに使われている)。あとは、笛が出てきそうな「三色すみれ」に笛が出てこなかったり、もうちょっとがんばって欲しかったという印象。この時期の曲は、メロトロンやらスキャットやら、「こころの叫び」東宝盤やら、衝撃的なヴァージョンがやたらあるから、そっちをとってしまうんですよね。「ふたりの急行列車」も、田中明子ヴァージョンに軍配をあげたい気分。もっとも、そっちの方が録音は後ですけど。

ちなみに「くちなしの花」は、79年出た『盛り場ヒット曲集ベスト36』に入っているクラウン・オーケストラ盤と、驚くべきことに別ヴァージョン。そういうこともあるんですね…他の盤では初出がまぶち盤ありた盤だったテイクを、平然とクラウン・オーケストラ名義でリサイクルしてたりするのに(来月真相解明予定)。でもまぁ、この曲は実は「古巣リベンジ」だったりするんですよね。86年のクラウン盤に「熱き心に」が入っていたら、聴いてみたいものです。あればですけど。