ミノルフォン KC-6001~2
最新ヒット歌謡
発売: 1979年12月
A1 セクシャル・バイオレットNo.1 (桑名正博) 🅱
A2 SEPTEMBER (竹内まりや) 🅱
A3 微笑の法則 (柳ジョージ&レイニーウッド)
A4 勇気があれば (西城秀樹) 🅱
A6 ビューティフル・ネーム (ゴダイゴ) 🅱
A7 夢去りし街角 (アリス) 🅱
A8 魅せられて (ジュディ・オング) 🅴
B1 関白宣言 (さだまさし) 🅱
B2 虹とスニーカーの頃 (チューリップ)
B3 しなやかに歌って (山口百恵) 🅲
B4 いとしのエリー (サザンオールスターズ) 🅴
B5 風を感じて (浜田省吾)
B6 夜明け (松山千春) 🅱
B7 窓 (松山千春) 🅱
C2 よせばいいのに (敏いとうとハッピー&ブルー) 🅲
C3 他人船 (三船和子) 🅱
C4 新宿みなと町 (森進一) 🅱
C5 みちづれ (牧村三枝子) 🅳
C6 男の哀歌 (千昌夫) 🅱
C7 舟唄 (八代亜紀) 🅲
C8 夢追い酒 (渥美二郎) 🅶
D1 おもいで酒 (小林幸子) 🅴
D2 おまえとふたり (五木ひろし) 🅱
D3 大阪で生まれた女 (BORO)
D4 花街の母 (金田たつえ) 🅵
D5 おやじの海 (村木賢吉) 🅲
D6 万華鏡 (岩崎宏美)
D7 人生峠 (村田英雄)
演奏: ブルーナイト・オールスターズ&ストリングス
編曲: 無記名
定価: 2,500円
ラスボス幸子さんの誕生日ということで、少なくなってきた手持ちの駒からとっておきのものを引っ張り出して語ろうとしたら、まさかのとんでもない事態が発覚…詳しくは然るべき日が来たら語るとして、幸いもう1枚だけ「おもいで酒」が収録されている盤があったので(と言っても、買ったのはついこないだ)、まいっかということで急遽代打に引っ張り出してみました。いろいろ考えてやってるんですよ、節操無いと見せかけておいて。
それまで2000円で出していた2枚組シリーズじゃそろそろ厳しいかなということで、500円値上げして新スタートしたKC-6000番台の第1作だけど、どうやらこの盤でブルーナイト・オールスターズ名義は打ち止めとなったようだ。ビートルズより若干長続きしただけでも偉いではないか(汗)。ここで上村一夫(本物)をジャケットに起用して本気を出した甲斐は、別途スタートしたカラオケシリーズで実を結んだ一方で、翌年出た歌無盤の演奏クレジットは「ミノルフォンオーケストラ」になっている。ま、あまり大差ないっちゃないのですが。
これはこれでかなり謎を含んだ盤である。まずは今年、まさかのB’zでリバイバルヒットという事態を招いた「セクシャル・バイオレットNo.1」と、こちらもまさか世界中からラブコールを浴びてしまっている竹内まりやの「SEPTEMBER」という話題曲でスタート。この2曲は演奏としては無難で、気軽でいいなという感想しかないが、問題は続く「微笑の法則」。自社推しとかそういう次元ではない、完全にオリジナルのオケにギターとかサックスを被せたのみじゃないですか。セパレーションも前後の曲のそれと程遠く、ラストの方に行くとバックコーラスに紛れてジョーちゃんの煽りシャウトがもろ入っているのだ!ブルーナイト・オールスターズの演奏にしていいのか?
恐らく、2チャンネルにトラックダウン済みのオケをそのまま使って歌無ヴァージョンの元にしたという可能性が強く、9月19日登場した「教えてください、神様」も実はオリジナルのオケの流用だった。ただ、そちらに関してはそこまでバランスも悪くなく、オリジナルのマルチに演奏を入れたのだろうか。色々と謎が深まりますな。本盤では、2枚目のほぼ演歌集(それにしても「万華鏡」がそっちに組み入れられているのが、オリジナルの「怪奇現象」の話よりも不思議)に自社曲が5曲入っていて、まさか65年の初出時のオケを使うわけがない「他人船」以外の4曲はオリジナルのオケ流用(「大阪で生まれた女」は、当然ショーケン版。ここから「花街の母」に落とすのがなんとも言えない)である。それらのバランスもそんなに悪くないんだけど、以前の盤に収録されていた「北国の春」のヴァージョンはオリジナルのオケにまた別のフルートの演奏が被せられていて、めちゃ薄い音になっていた。ますます謎が深まる…
ただ単に「風を感じて」の歌無版が入っているという理由で買って、浜省の誕生日である28日に一旦スケジューリングまでしたアルバムだけど、まさかこんな沼が待っているとは思わなかった。ちなみにその曲や「いとしのエリー」は、やはり無難な出来としか言えない演奏。ただでさえ妙なアレンジの原曲のオケをさらにファニーに盛り付けている「男の哀歌」の方がずっと面白いし、オリジナルのローファイさをうまい具合に再現している「おやじの海」の主旋律を奏でるのが鍵ハモというのもニクい(あと、リズム楽器が一切使われていない!)。あと「おまえとふたり」は当然、作曲者でもある好夫ギター満載です。オリジナルのオケですからね。ただ、2番のメロを奏でるギターは違う人っぽい。
ついでながら「風を感じて」のカヴァーとしては、81年に残された女子大フォーク同好会コンピに収録されている東京聖徳短大のヴァージョンの方がずっと素敵ですよ。こういう盤を探し求めてリサイクルの沼に足を突っ込んだら、待っていたのは歌無歌謡地獄だった…ああ、ハニートラップには御用心。これでブルーナイトとお別れとは、あっさりしすぎ(語るのは最後じゃないが)。