黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は藤正樹さんの誕生日なので

ミノルフォン KB-3~4 

最新ヒット歌謡・BEST30

発売: 1973年12月

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ジャケット+盤

A1 記念樹 (森昌子)Ⓒ 🅲

A2 空いっぱいの幸せ (天地真理)Ⓒ 🅲

A3 海鳥の鳴く日に (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓐ 🅲

A4 他人の関係 (金井克子)Ⓐ 🅲→11/5

A5 胸いっぱいの悲しみ (沢田研二)Ⓐ 🅸

A6 裸のビーナス (郷ひろみ)Ⓑ 🅹→11/5

A7 色づく街 (南沙織)Ⓐ 🅵

B1 小さな恋の物語 (アグネス・チャン)Ⓒ 🅲→10/29

B2 ロマンス (ガロ)Ⓐ 🅲

B3 くちべに怨歌 (森進一)Ⓐ 🅵→11/5

B4 ひとりっ子甘えっ子 (浅田美代子)Ⓑ 🅷

B5 天使の初恋 (桜田淳子)Ⓑ 🅱→11/5

B6 ふるさと (五木ひろし)Ⓐ 🅶→11/5

B7 恋する夏の日 (天地真理)Ⓐ 🅷→11/5

B8 女のゆめ (宮史郎とぴんからトリオ)Ⓐ 🅴→11/5

C1 恋の雪別れ (小柳ルミ子)Ⓒ 🅴

C2 冬の旅 (森進一)Ⓒ 🅳→10/29

C3 ミカンが実る頃 (藍美代子)Ⓐ

C4 忍ぶ雨 (藤正樹) 🅳

C5 草原の輝き (アグネス・チャン)Ⓐ 🅻→11/5

C6 恋は燃えている (欧陽菲菲)Ⓑ 🅴

C7 出船 (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓐ 🅵→11/5

D1 夜空 (五木ひろし)Ⓒ 🅴→10/29

D2 愛よ、飛べ (布施明)Ⓒ

D3 青い果実 (山口百恵)Ⓑ

D4 十五夜の君 (小柳ルミ子)Ⓐ 🅶

D5 白樺日記 (森昌子)Ⓐ 🅵

D6 恋にゆれて (小柳ルミ子)Ⓒ 🅷→11/5

D7 街の灯り (堺正章)Ⓑ 🅲

D8 燃えつきそう (山本リンダ)Ⓑ 🅶→11/5

 

演奏: ブルーナイト・オールスターズ

編曲: 小谷充Ⓐ、矢野立美Ⓑ、京建輔Ⓒ

定価: 1,800円

 

日本の元祖パープル・ワンの誕生日に、どうはぐらかしていいか迷ってしまうブルーナイト・オールスターズの2枚組シリーズ3作目。過去紹介した「73・あき」盤と続く「73・ふゆ」盤(KC-67)からの選曲に、こちらも紹介済みの74年の第1弾「若草の季節・恋の風車」からの先行収録も3曲あり、トリオの例の2枚組(4/1)やクリスタル・サウンズの「歌謡ワイドワイドスペシャル」(7/16)と共通した選曲が多くて色々美味しそうな2枚であるが、やっぱこのジャケットが築く壁があまりにも高すぎる…必死に盤で隠してはみたけど(左側がぼやけているのは元からですので)、のちの小梅ちゃんシリーズと違い、比較的に目立つタイトル表示まで全部隠してしまった…もう全く。当時の徳間さん、相当の重圧を受けたのではなかろうか。それでも、シリーズをその後6年間、律儀に続けてくださったのは偉い。

まずは「記念樹」。自社曲とはいえ、クリスタル盤があまりにも鮮やかな出来で、それを凌ぐのは無理かという心配で聴き始める。確かに、オケの仕上がりはせこくはあるが、主旋律を奏でるフルートは乙女度満点の音を出している。クリスタル盤がどう鮮やかなのかは、然るべき時がきたら語りますが、こちらも本家の意地で完敗には至っていません。「空いっぱいの幸せ」はソリッドなサウンドで別世界を見せてくれているが、これはクリスタルの勝ち。「胸いっぱいの悲しみ」は強烈にレズリーをかけたピアノ(?)の音がリードをとるが、何度か迷いが見えたらしく、こけ気味の演奏に陥ってしまうのが残念。音そのものに溺れてしまったのでしょうか。「色づく街」はハーモニカ、フルート、チェンバロが慌ただしく絡み、ファンシーな出来だ。B面では、8ヴァージョン目にして遂にリコーダーが登場する「ひとりっ子甘えっ子」。イントロの低いドの音が割れていて、めちゃ萌えてしまう(汗)。アルトで吹けば良かったのに。Bメロはフルートとハモっていていい感じだ。トリオ盤でメロトロンが爆発する最後のフレーズを簡素化してしまっているのが誠に残念だけど。この先の2曲は「あき」からの流用だが、3曲連続リコーダーが登場でまさにパラダイスな展開。

2枚目にはいきなり「ミカンが実る頃」という胸熱な選曲。このブルーナイトヴァージョン、またもリコーダーの登場で超ラブリーな仕上がり。2コーラス目でリードをとるけれど、「ふるさと」のあの感じをソプラノでもうまく出していて、録音もばっちりで理想的な仕上がり。何と言っても「みかん畑の~」のところに入る「ポポポー」というオブリガートが良い。正しい笛の使い方。この曲を、平尾昌晃さんを追悼するため、オリジナルのシングルの歌詞カードを抱えて某所に歌いに行って、いざ譜読みしたら、最後の2小節の歌メロが違ってたんですよね。「わたしの城下町」でもあった、歌いながらふさわしい形に変わったっていうケースでしょう。「恋は燃えている」では木琴が弾けまくりで、やはり「木の音」っていいですよね。全体的に乙女な音色が際立つアルバムにこんな色仕掛けをしちゃ…いけないですよ…