黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は本郷直樹さんの誕生日なので

RCA JRS-7176

全国歌謡ヒット速報 ベスト14

発売: 1972年1月

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ジャケット

 

A1 知らない町で (藤圭子)Ⓐ

A2 幸せ行きの汽車が出る (野村真樹)Ⓑ

A3 火の女 (森進一)Ⓒ 🅱

A4 雨の日のブルース (渚ゆう子)Ⓓ 🅳

A5 港の別れ唄 (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓒ 🅲

A6 さよならをもう一度 (尾崎紀世彦)Ⓓ 🅷

A7 涙の誓い (和田アキ子)Ⓓ 🅱

B1 雨の御堂筋 (欧陽菲菲)Ⓑ 🅳

B2 雨のバラード (湯原昌幸)Ⓑ 🅲

B3 お祭りの夜 (小柳ルミ子)Ⓒ 🅴

B4 おもいでの長崎 (いしだあゆみ)Ⓒ 🅳

B5 燃える恋人 (本郷直樹) 🅱

B6 長崎から船に乗って (五木ひろし)Ⓒ 🅴

B7 潮風のメロディー (南沙織)Ⓒ 🅳

 

演奏: 中西義宣とビッグ・サウンズ

編曲: 曽根幸明Ⓐ、佐藤健治Ⓑ、金子鋭仁Ⓒ、高見弘Ⓓ

定価: 1,800円

 

本郷直樹さんと言えば、今年人知れず亡くなった70年代スターの一人であり、歌謡史に於いては「某巨大芸能プロダクションの名前の由来となった歌手」として記憶されている人である。どうやらその話は半分ネタであるというのが真相のようだが…8月に亡くなった時、追悼エントリを書こうとも思ったけど、既にこの誕生日エントリをスケジューリングしていたし、あまりにくどくなりすぎるかなと自粛したのだが、改めてご冥福をお祈りしますということで。

70年代初頭のアルバムチャートを牛耳りまくっていたRCAが送り出した歌無歌謡アルバムということで、ストロングな内容を期待したけど、自社推しの最初の2曲がどうしても弱いというか、ほんの2年で激動した歌謡界の慌ただしさを思い知らされる。新人男性歌手を張り切って台頭させまくっていたけど、結局はこの年に最終兵器・西城秀樹を送り込んだことにより、影が薄くなってしまったし、大稼ぎ頭の藤圭子とクール・ファイブも、スキャンダラスな空気の中で徐々に力を弱めてしまった印象だ。そんなRCAの5曲を軸に、「カウント・ベイシー・スタイル」で料理したヒット曲集だけど、やはり普通のコンボ・スタイルの歌無歌謡から大幅に逸脱したという印象はない。「雨の日のブルース」のように、ダイナミックに聴かせる一幕もあるにはあるが、同じ筒美作品の「潮風のメロディー」ではこけまくり残念。フルートが清楚な味を出してはいるのだけど、名門ジャズ・バンドらしからぬ洗練感のなさに困ってしまう。シンシアの曲は、歌無歌謡における一つの物差しと化していたような(特にこの曲や「哀愁のページ」、「早春の港」はその傾向が強い)。件の某巨大芸能プロダクションの名前の由来とされている曲「燃える恋人」も一パンチ足りなく、やはりワーナー・ビートニックスのヤバいテイクが恋しくなってしまうけれど、お返しのように「お祭りの夜」で気合い入ったところを聴かせてくれるのが救いだ。

このバンドにはもう1枚、比較的入手しやすい盤がRCAに残されているが、あまり触手が伸びないなぁ。