黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その37: クリスマスも近いので

東芝 TP-7084

ダンシング・クリスマス

発売: 1965年   

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ジャケット

 

A1 ジングル・ベルⒶ

A2 もろびとこぞりて

A3 サンタクロースがやってくるⒶ

A4 ウィンター・ワンダーランドⒷ

A5 神の御子は今宵しもⒸ

A6 ああベツレヘムよ

A7 アヴェ・マリア

A8 聖しこの夜Ⓐ

B1 赤鼻のトナカイⒷ

B2 サンタクロースが町に来るⒷ

B3 樅の木Ⓒ

B4 ママがサンタにキッスしたⒸ

B5 牧人ひつじを

B6 ブルー・クリスマスⒷ

B7 アンニー・ローリーⒷ

B8 蛍の光

 

演奏: 道志郎 (ハモンド・オルガン)、三保敬太郎 (エレクトーン)とリズム・セクション

編曲: 道志郎Ⓐ、三保敬太郎Ⓑ、小野崎孝輔

定価: 1,500円

 

毎年、この時期になるとクリスマス・ソングなしでは生きられないのです。そりゃ、身の回りで起こっていることに直面すると苛立つ時もあるけど、そんなハイプとか、信仰的側面を別にしても、どことなくうきうきしてなきゃ気が済まないし、そうさせてくれるだけの効果がある。この時期、iTunesには手元にある400曲以上のクリスマスソングが流し込まれます。フィル・スペクターを筆頭とする古典的ポップ・ソング風解釈から、近年のリリースだとザ・ペンフレンド・クラブ、トイ・マジック・オーケストラのクリスマス・アルバムまで、どれを聴いても愛しくなるし(唯一、アル・ヤンコビックの「地上最後のクリスマス」だけは、アル大好きなくせして解せないのだけど)。当然、ジャンクヤードからも沢山クリスマス関連盤をサルベージしました…と思いきや、歌もの含めて全部で5枚しかなかった。というわけで、今週はそこに属する貴重な1枚を取り上げます。

65年のホリデー・シーズンにリリースされた、オルガンをメインにしたスインギーな演奏アルバム。元々は25cm盤として先行リリースされていたものに4曲を追加した「決定盤」。2大巨頭が和気藹々と繰り広げる和みのセッションが、ステレオ感もたっぷりに部屋を包み込む。「三人の会」で唯一、まだここに名前が出てきていなかった三保敬太郎氏は攻めの姿勢も程々に、コンパクトなトーンで魅了してくるし、後にエレクトーンの伝道師的存在に躍り出る道志郎氏は、ここでは重量感をたたえたハモンドを奏でる。二つの音が一体化した時のシンフォニックな響きは格別だ。やはり、家に一台こんなオルガンがあれば、気軽に神聖な雰囲気が味わえたんだろうなと妄想。当時のハイカラなお宅には、当たり前のようにあったんでしょうね。こういうレコードをかけてる時こそが、実に無心になれるひととき。毎日がクリスマスだったら、て思います…(母体の)仕事上ハイプには苦しみますけど…