黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は平尾昌晃さんの誕生日なので

クラウン GW-5287

別れの鐘の音/テナー・ヒット歌謡ベスト16

発売: 1974年3月

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ジャケット

 

A1 薔薇の鎖 (西城秀樹)  🅲→11/28

A2 あなた (小坂明子) 🅸

A3 別れの鐘の音 (五木ひろし)  🅳→11/28

A4 花のようにひそやかに (小柳ルミ子) 🅲 

A5 しのび恋 (八代亜紀) 🅴→11/28

A6 なみだの操 (殿さまキングス) 🅹→11/28

A7 モナリザの秘密 (郷ひろみ) 🅲

A8 恋の風車 (チェリッシュ) 🅷

B1 若草の誓い (藍美代子)

B2 星に願いを (アグネス・チャン) 🅲 

B3 学園天国 (フィンガー5) 🅳

B4 姫鏡台 (ガロ) 🅳 

B5 恋人たちの港 (天地真理) 🅲 

B6 突然の愛 (あべ静江) 🅳 

B7 魅せられた夜 (沢田研二) 🅶

B8 三色すみれ (桜田淳子) 🅰→11/28

 

演奏: まぶち・ゆうじろう’74オールスターズ

編曲: 福山峯夫

定価: 1,800円

 

本来、藍美代子さんの誕生日(ブライアン・ウィルソンの誕生日でもある)に紹介するはずだった盤でしたが、寺内御大の訃報により半年先送りになってしまいました。平尾作品4曲という豪華な内容だし、これでよかったかも。もっとも、内5曲が2枚組に流用され、先に紹介となってしまいましたが。

伝統あるまぶち・ゆうじろうのサックスシリーズもいよいよ大詰め、74年にもなるとかなりライトなタッチで、ムーディな要素も控え目に。オーケストレーションにも力を入れて、洋楽的ラブ・サウンドのニュアンスさえ出てきたのが、かえって王道クラウンサウンドも遠くなりにけりという印象。「あなた」を聴くと、稲垣次郎ヴァージョンのメロトロンが愛しくなる気持ちも控えめに、居心地のいい空間内に響き渡るまぶち節が堪能できますが、ラストで転調後いきなりの咆哮。おとなしくしてはいられない気持が炸裂したのでしょうか。「薔薇の鎖」モナリザの秘密」も、若々しさより慎重さを重んじての演奏だし、「星に願いを」「三色すみれ」のようなラブリーな曲では居心地悪そう。全体的にアレンジがよりはじけていれば、もっとよかったかも。意外なようだけど「姫鏡台」がバランスよくまとまった出来になっている。何せこの時期、クラウンにはサム・テイラーがいい録音を残してるので、それに比べると萎縮した感じがあるのはしょうがないか。

「若草の誓い」、期待されたほどヒットしなかったけど、B面1曲目に抜擢したクラウンの鋭さを讃えたい。この人の曲では「くもりのち晴れ」が何と言っても最強です。あと、純エリ子時代の「恋のチュチュチュ」も。