黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は子門真人さんの誕生日なので

キング SKM-1385~6 

総集!! ヒット歌謡ベスト24

発売: 1976年

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ジャケット

A1 およげ! たいやきくん (子門真人) 🅱

A2 ビューティフル・サンデー (ダニエル・ブーン)Ⓑ 🅲

A3 木綿のハンカチーフ (太田裕美)Ⓐ 🅴

A4 未来 (岩崎宏美)Ⓐ 🅲

A5 オー・マリヤーナ (田中星児)Ⓑ 🅲

A6 ウインクでさよなら (沢田研二)Ⓑ 🅲

B1 なごり雪 (イルカ)Ⓐ 🅳

B2 翳りゆく部屋 (荒井由実)Ⓑ 🅳

B3 陽ざしの中で (布施明)Ⓑ 🅲

B4 わかって下さい (因幡晃)Ⓑ 🅴

B5 水中花 (井上忠夫)Ⓒ

B6 山口さんちのツトム君 (斎藤こず恵、他)Ⓐ 

C1 横須賀ストーリー (山口百恵)Ⓐ 🅳→8/9

C2 きらめき (野口五郎)Ⓑ 🅳

C3 夏にご用心 (桜田淳子)Ⓑ 🅴

C4 赤いハイヒール (太田裕美)Ⓑ 🅴

C5 あなたがいたから僕がいた (郷ひろみ)Ⓐ 🅰→8/9

C6 私のベイビー・ボーイ (クリケッツ)Ⓐ

D1 弟よ (内藤やす子)Ⓒ 🅵

D2 水仙 (八代亜紀)Ⓒ 🅳

D3 北の宿から (都はるみ)Ⓐ 🅴→8/9

D4 大阪ラプソディー (海原千里・万里)Ⓐ

D5 涙ぐらし (角川博)Ⓐ 🅱

D6 北酒場 (五木ひろし)Ⓐ 🅳

演奏: キングオーケストラ

編曲: 坂下晃司Ⓐ、栗田俊夫Ⓑ、竹村次郎Ⓒ

定価: 2,000円

 

今週からは火曜日もひたすら歌無歌謡で突き進みます、ということで、76年のヒット歌謡を集大成したキングの2枚組。まずジャケットがいいね…どこなのかなと「BLUFF GARDEN」で検索してみるも、76年の面影が拾えるわけでなく、恐らく横浜のあたりなのは確実と思われるけれど(内ジャケには「レストラン・◯リータ」という表示が確認できる。恐らく◯の中は「ロ」と思われるけど、70年代にはそこまで眉を潜めさせる語ではなかったんだろうな…)、こういうジャケはもっとあってよかったと思います。自前写真なら、写真家の名前くらいクレジットできたのでは?

当時のキングでは寺さんの「歌のないエレキ歌謡曲」シリーズが主軸になっていたけれど、それより若干ライトな立ち位置の盤も相変わらず作られていたようで、その出来具合に興味津々である。でもまぁ、平均以上でも以下でもないという印象で、無味乾燥なものが好きな人には気軽に付き合えるかなという感じ。ただ、曲を厳選している分、フルコーラス演奏なのは買い。どの曲も、サックスかギターがリードをとるという黄金律アレンジだ。トップのおよげ!たいやきくんも、あまりの肩の力の抜け具合についつい「サニー・アフタヌーン」色が現出。イントロで一瞬聴こえる謎のノイズは一体なんなのだろう…左側のチャンネル特有の音はオルガンとタンバリン、コンガだけだが、それらと関係あるのかないのか。「ビューティフル・サンデー」は一味違うイントロを加えて、幾分カラーを変えている。Bメロでズシンとくるタムの音が気持良い。木綿のハンカチーフもかなりの軽量化だが、左側でさえずるフルート3本が素敵すぎ、バファ◯ンのように聴覚に効いてくる。最初の方の「帰って」~「下さい」の音がずれてるのはかなり気になるけど…時に残念賞ものを生み出す「未来」はノリ的には盛り上がりに欠けるが、そこまでこけていない。B面のニューミュージック系の曲は、守りに入りすぎていて面白くないが、まさかの「水中花」はスチール・ギターをフィーチャーして、70年代前半の山下洋治のレコードっぽい印象。「山口さんちのツトム君」の面白サウンドで1枚目は効果的に締められる。

C面のアイドル展開も可もなし不可もなしかな…「夏にご用心」はテンポが落ちすぎて切なくなるアレンジだけど、2コーラス目のフルートはかなり恥じらいの色が見える音色だ。「赤いハイヒール」も律儀にフルコーラス演奏で、こちらもAメロのフルートの音が相当な恥じらい気味。他社のレコードでは聴けない音色で、誰の演奏なのだろうか…「私のベイビー・ボーイ」はめちゃレアな自社推し選曲。フィンガー5をブレイク前に逃したキングの意地が炸裂したキッズグループ、クリケッツのデビュー曲だ。当時は「名称問題」なんて無縁なピースフル時代でしたね(笑)。ちなみに、この時期にキングからデビューしていた別のキッズグループに、宗内(の母体)の親戚がいました。各自お探り下さい(汗)。D面は演歌中心で、やはり「弟よ」のイントロに期待してしまうが、フルートでした(汗)。これもスチールをフィーチャーして、ソリーナまで入る演奏だが、一体誰なのだろう、この顔のない奏者は。意外と柴田晴代さんだったりして。「花水仙も同様のサウンド「大阪ラプソディー」の歌無盤は意外に貴重である。地味な印象ながら意外とカラフルで、こういう盤が一番安心して聴けるのかも。