黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は中村雅俊さんの誕生日なので

ポリドール MR-8249~50 

最新ヒット歌謡ベスト28 山口さんちのツトム君

発売: 1976年7月

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ジャケット

A1 きらめき (野口五郎)Ⓐ 🅴

A2 盆帰り (中村雅俊)

A3 赤いハイヒール (太田裕美)Ⓒ 🅵

A4 夏にご用心 (桜田淳子)Ⓐ 🅴

A5 ふたりづれ (八代亜紀)Ⓑ 🅳

A6 青春に恥じないように (南沙織)Ⓒ 🅱

A7 山口さんちのツトム君 (斎藤こず恵、他)Ⓑ 🅱

B1 ウインクでさよなら (沢田研二)Ⓐ 🅳

B2 わかって下さい (因幡晃)Ⓒ 🅵

B3 北酒場 (五木ひろし)Ⓑ 🅵

B4 未来 (岩崎宏美)Ⓐ 🅳

B5 つくり花 (森進一)Ⓒ 🅳

B6 女友達 (野口五郎)Ⓑ 🅱

B7 裏切者の旅 (ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)Ⓐ 🅱

C1 ビューティフル・サンデー (ダニエル・ブーン)Ⓐ 🅳

C2 恋人試験 (松本ちえこ)Ⓑ 🅲

C3 北の宿から (都はるみ)Ⓒ 🅹

C4 春うらら (田山雅充)Ⓐ 🅱

C5 水仙 (八代亜紀)Ⓑ 🅴

C6 愛に走って (山口百恵)Ⓒ 🅴

C7 弟よ (内藤やす子)Ⓑ 🅵

D1 およげ! たいやきくん (子門真人)Ⓐ 🅲

D2 十九の夢 (西川峰子)Ⓒ

D3 愛の始発 (五木ひろし)Ⓑ 🅳

D4 泣かないわ (桜田淳子)Ⓐ 🅳

D5 おもいで岬 (新沼謙治)Ⓒ

D6 今日は雨 (南こうせつ)Ⓑ

D7 翳りゆく部屋 (荒井由実)Ⓐ 🅴

 

演奏: 原田寛治 (ドラムス) オールスターズⒶ

伊部晴美 (ギター) オールスターズⒷ

秋本薫 (テナー・サックス) オールスターズⒸ

編曲: 伊部晴美

定価: 2,500円

 

いよいよ最終コーナーへと突入する黄昏みゅうぢっく。人混みに出られないあなたに優しく寄り添います…なんて状況から早く脱出したいのだけど、今はしょうがないです。あと2ヶ月、お付き合いください。

先月15日のエントリで、70年代のポリドールの歌無盤の「手にするのに勇気が要りすぎる」度を力説したけど(本来昨年12月2日にアップするはずだったこのエントリの冒頭部分をそのまま移植した結果)、そんな中でも特に悪名高いのがこの盤。何せ、このジャケットにこのタイトル!「山口さんちのツトム君」が入っていることを必要以上にアピールしておきながら、これはないでしょう。ほんと、ファミリー層に優しくない。ちなみにこの曲の川橋啓史盤は各社からリリースされているが、ポリドール盤はコロムビア盤に大きく差をつけられてしまった。それもまた、負け惜しみの一因だったのかも。フィリップスの斉藤こず恵盤の圧勝に終わったのは言うまでもないけど。この頃はおよげ!たいやきくんのヒットの影響でキッズ・ポップの波が再び来ていて、こちらもポリドール盤をチャート84位に送り込んだ「はじめての僕デス」の宮本浩次が、まさか後年大化けしてしまうとは、当時予想できるはずもない(何せ、オリコンの初シングルチャートインから初アルバムチャート1位獲得まで44年という、まさかの記録を一昨年樹立しましたもんね)。ポリドール絡みでもう一人、70年の第一次キッズ・ポップの波に乗って「老人と子供のポルカ」をヒットさせたひまわりキディーズの一人が、こっそり演歌歌手・英実加(13歳)として「母の雨」で再デビューしたのもこの年のこと。言うまでもない、後の藤田恵美さんです。

 

めちゃ話が逸れてしまったけど、音楽的にはいつものポリドールの3種盛りで、特に大冒険したとかそんなニュアンスは皆無。問題のタイトル曲も、伊部御大の安定したギターテクニックで親しみやすい出来に抑えているし。原田寛治のドラムも、時として走り過ぎる傾向に入りはするけど、全体的にはサウンド全体を暴走させるには至らず、70年代初期盤の過激さとはほど遠い。「恋人試験」「弟よ」を笛に頼らず、手持ちの技で手堅くこなしているのが物足りなくはある。子供が聴いて面白がるようなギミック満載とか、そんな方向に行ってないのはかえっていいが、それでこのジャケはないでしょう、という話に逆戻りするのだ…全く罪な奴ですね…帯の位置これでごめんなさい、顔が隠れるのはほんとよくないですよね…(瀧汗