黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日はジェリー・ゴフィンの誕生日なので

アトランティック L-6082A

華麗なるドラム・ベストヒット20 恋にゆれて・夕顔の雨

発売: 1973年5月

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ジャケット

A1 危険なふたり (沢田研二) 🅵→7/31

A2 恋にゆれて (小柳ルミ子) 🅳→7/31

A3 妖精の詩 (アグネス・チャン) 🅵

A4 夕顔の雨 (森昌子) 🅳→7/31

A5 恋の十字路 (欧陽菲菲) 🅴

A6 森を駆ける恋人たち (麻丘めぐみ) 🅰→4/1

A7 霧の出船 (五木ひろし) 🅵

A8 しのび逢い (尾崎紀世彦) 🅳

A9 ロコモーション (ゴールデン・ハーフ) 🅰→2/9

A10 劇場 (ちあきなおみ) 🅵

B1 傷つく世代 (南沙織) 🅵→7/31

B2 少年記 (三善英史) 🅳

B3 若葉のささやき (天地真理) 🅰→4/1

B4 愛への出発 (郷ひろみ) 🅵

B5 若草の髪かざり (チェリッシュ) 🅳→12/19

B6 ひなげしの花 (アグネス・チャン) 🅲

B7 春のおとずれ (小柳ルミ子) 🅴→12/19

B8 愛の挽歌 (つなき&みどり) 🅰→12/19

B9 中学三年生 (森昌子) 🅳→12/19

B10 早春の港 (南沙織) 🅴

 

演奏: 市原明彦(ドラムス)、ワーナー・ビートニックス

編曲: 原田良一

定価: 1,800円

 

中1日でワーナー・ビートニックス…しかも「ロコモーション」の共作者でその当時(62年)のキャロルの旦那、ジェリー・ゴフィンの誕生日ですよ。他にいいネタなかったんだもの…で、その「ロコモーション」、ドラム盤では珍しく、ツゥイン・ギターズのテイクを使い回ししてる。ドラムの演奏的にはそれほど派手ではないけれど、弾けてはいるのでまぁよしとしたんでしょうか。SQ~RMと、2種類の形式を渡り歩いた4チャンネルミックスを諦め、久々に通常のステレオミックスに戻ってのリリースで、こちらは安定の島雄一氏によるミックスとなっているが、ツゥインのヴァージョンと大差は認められない。他の曲は後に「ヒット・バラエティー」やトリオの2枚組に使い回しされたものもあるが、この盤が初出。但し「愛への出発」は演奏トラックは一昨日紹介のツゥイン・ギターズと同一で、ギターのみディストーションを軽くかましたロック的な演奏に差し替えている。こういう微妙に大胆な違いもあるので油断できませんね。

次作「十五夜の君・ひとりっ子甘えっ子」にも使いまわされた「危険なふたり」はやはり、トップの方が強烈な存在感を発揮できる演奏。この抜けのいいスネアの音は、歌無歌謡のレコードでは珍しい。不思議なアレンジの「夕顔の雨」、ハードなR&Bタッチで迫る「恋の十字路」ブレイクビーツにいけそうなハードなギターから一気に落とす「霧の出船」など、相変わらず快調に飛ばしまくり、そこまで大胆にいじってないながら緩い展開に陥らない「劇場」なんかもいいアクセントになっている。「早春の港」はワーナーに残された3ヴァージョン全てに独特の魅力があって、決して容赦しないという姿勢を見せてくれたが、この路線もそろそろ行き詰まりかという兆しも少々あるかな…