黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は井上順さんの誕生日なので

クラウン GW-5205

魅惑のヒット歌謡ベスト18 火の女・おもいでの長崎

発売: 1971年10月

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ジャケット

A1 さよならをもう一度 (尾崎紀世彦)Ⓐ 🅺

A2 おもいでの長崎 (いしだあゆみ)Ⓐ 🅵

A3 火の女 (森進一)Ⓑ 🅲

A4 お祭りの夜 (小柳ルミ子)Ⓑ 🅶

A5 17才 (南沙織)Ⓒ 🅲→8/16

A6 川の流れのように (奥村チヨ)Ⓒ 🅱→8/16

A7 ごめんね (小林旭)Ⓐ

A8 いつもなら (朝丘雪路)Ⓐ 🅴

A9 昨日・今日・明日 (井上順) 🅱

B1 雨の日のブルース (渚ゆう子)Ⓐ 🅵

B2 長崎から船に乗って (五木ひろし)Ⓐ 🅶

B3 さすらいのギター (小山ルミ)Ⓑ 🅴

B4 お嫁に行くなら (安倍律子)Ⓑ

B5 よこはま・たそがれ (五木ひろし)Ⓒ 🅻

B6 港の別れ唄 (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓐ 🅳

B7 愛の巡礼 (藤圭子)Ⓐ 🅲

B8 涙の誓い (和田アキ子)Ⓑ 🅲

B9 青空は知らない (堺正章)Ⓑ 🅴

 

演奏: まぶち・ゆうじろう’68オールスターズⒶ

いとう敏郎と’68オールスターズⒷ

ありたしんたろうとニュービートⒸ

編曲: 福山峯夫

定価: 1,500円

 

グッモー…と、順さんのツイート風に書き出しましたが…ここでのアーティスト名表記には気を遣っているつもりですけど、順さんの当時のレコード上での表記はあくまでも「井上順之」なんですよね。尊重したい気持ちもありますが、現在のポピュラリティを考えるとむしろしっくりこない。「錦野旦」や「安倍里葎子」(今はまた変えちゃってますが)になるとそうでもないんですが…グループ名の場合は「南こうせつかぐや姫」が同じような感じだし。「世良公則&ツイスト」の場合は、4枚目のシングルで「ツイスト」名義になるまでは、そう表記されるのに慣れちゃってたから、なるべくオリジナルに従いたいところ。いずれにせよ、当時のメディア慣習に影響されるのは仕方ないです。

そういうの関係なしに、根本的間違いを犯してしまった表記が一件あって、今年になってからは厳格に従うことを心がけていますが…来月16日あたりにこっそりばらしますね…(汗)

というわけでクラウン3種盛り故に前菜をめちゃ盛ってしまいました…この頃のは1枚ものが主流だし、効果的に凝縮されているので聴きやすく、さらにジャンク市場に出まくってるので近寄りやすい…この盤はジャケットが印象的なこともありよく見かけるし、現に手元に2枚ある(うっかりして2枚目を買った、わけではありません)。ダークな色調に人物像をまとめ、真ん中に文字を入れたセンスは抜群だし、裏も明るくまとめたらガイドライン接触レベルだ。前作『川の流れのように』からは、ニュービートの印象的な2曲が引き継がれており、両方持ってると「17才」を2枚がけできる(ダイエー盤「ローズ・ガーデン」を持ってると余計楽しめる)。

サウンド的には安定のいつもの調子(「お祭りの夜」でのコルネット・ヴァイオリン使用はちょっと異色だが)ですが、12番目のヴァージョン登場となるよこはま・たそがれの1分22秒という短さに着目。1曲あたりの目方を軽くするため、1コーラス省略とかは歌無歌謡では必須作業ではあるけれど、いくらなんでもここまで短くしなくても…1コーラスのみの演奏でしかもドラムを執拗に聴かせるアレンジ。原田寛治ならドラムソロだけで終わってしまう(爆)。逆にこのやり方なら、全曲1分台にしてLP1枚に40曲ぶち込み、レジデンツ『コマーシャル・アルバム』の方法論を逆説的に実践した歌無盤が作れるではないですか…多少スピードを速くしようが、演奏だけなら許されるし。試験的に作ってみようかな…喫茶店音楽としては、慌ただしくて使いづらそうだけど。あと著作権的にもややこしくなりそうだし。

いずれにせよ、紅茶とトーストとゆで卵が揃った場末の喫茶店の朝には、こんな音楽がしっくりきます。クリームソーダとか飲みたくなったら、ビクターやソニーの盤を流したいですね。