ミノルフォン KC-5007~8
最新ヒット歌謡ベスト30
発売: 1976年7月
A4 赤いハイヒール (太田裕美) 🅲→8/23
A5 夏にご用心 (桜田淳子) 🅲→8/23
A6 翳りゆく部屋 (荒井由実) 🅵
A7 明日に向って走れ (吉田拓郎) 🅱
A8 Good Good-bye (井上陽水) 🅰→8/23
B1 きらめき (野口五郎) 🅱→8/23
B2 夕笛の丘 (森昌子)
B3 夏が来た! (キャンディーズ) 🅱
B4 北の宿から (都はるみ) 🅵→8/23
B6 愛に走って (山口百恵) 🅲→8/23
C1 ふたりづれ (八代亜紀) 🅴
C2 弟よ (内藤やす子) 🅱→8/23
C3 わかって下さい (因幡晃) 🅳→8/23
C4 めまい (小椋佳) 🅲→1/13
C6 君よ抱かれて熱くなれ (西城秀樹) 🅲
C7 愛の始発 (五木ひろし) 🅴
C8 おばさん (森昌子)
D1 未来 (岩崎宏美) 🅴
D2 恋のシーソー・ゲーム (アグネス・チャン) 🅲
D3 気がむけば電話して (南沙織)
D4 白い約束 (山口百恵) 🅱
D5 あの人の船行っちゃった (森昌子) 🅰→1/13
D6 霧雨の朝突然に (バンバン)
D7 二日酔い (梓みちよ)
演奏: ブルーナイト・オールスターズ&ストリングス
編曲: 無記名
定価: 2,000円
都はるみさんと言えども、「歌無歌謡黄金期」に限れば「北の宿から」以外ヒット曲がほぼ無で、特にそれを挟んだ8年間でチャートに入ったのは他に2曲しかない。68年9月の「好きになった人」には、確かに大ヒットしたイメージはあるが、GS全盛期にポップス色の濃いヒット曲の隙間にその泥臭い曲を入れる勇気があった歌無アルバムは、手元には1枚もないし、「専属作家時代」の名残もあるため他社がタッチし辛かったのはあるかもしれない。故に、今日語るべきアルバムは「北の宿から」を収録したものに必然的に限られる。昨日までで既に10ヴァージョン登場しており、ダブりも含めてもう少し手元にあるのだが、当初語ろうと準備していたアルバムのヴァージョンチェックをしていたところ、収録された36曲中35曲が、既に取り上げたアルバムと重複ヴァージョンであることに気づいた。さすがにそれはないだろうということで、残り少なくなった候補盤の中から急遽これを繰り上げ、そちらの盤は却下することにした。ご察しの通り、クラウンの2枚組である(爆)が、ダブりのなかった1曲というのが、驚くべきことに「君といつまでも」なのだ。その事実があまりにも滑稽すぎるし、なかなかの好ヴァージョンなので、完全没にしたくないところなのだが。
「ついでの話」が長くなったが、今日の盤は昨年8月23日取り上げた「もしかしたらピアノ弾いてるかもしれない小梅ちゃん盤」の前作にあたるもので、5ヶ月の開きはあるが実に9曲がそちらのアルバムにも引き継がれている。と同時に、2月出た1枚もの「エアブラシギャル盤」からも2曲流用され、長いスパンでの76年ヒットの軌跡が味わえる。この盤はさしずめ「鳩を抱く小梅ちゃん盤」と言ったところか(林静一的タッチとはどこか違うという感もあるが)。森昌子が3曲あるところが、いかにも自社の至宝を大事にしている感じだけど、この時期になると20位台に入るのがやっとというヒットぶりで、他社にはあまり取り上げられなくなっている。
個人的には、ビートルズの国旗帯再発盤が出たあたりで、改めて彼らに傾倒し始めた時期の発売盤ではあるけれど、改めて聴き返すと親しみを感じる曲が多い。「明日に向って走れ」なんて、小学校の行事でキャンプ宿泊をした夜に繰り返し流されていたのを思い出す。瑞々しいフルートの響きで、余計甘酸っぱい想い出が蘇った。ヒット曲には、いいものであれば記憶が必ずついて回るもんです。嫌な思い出は、その曲と共に忘れりゃいいのだから…歌無歌謡時代に限れば、そんなもんなんてないけれど。「木綿のハンカチーフ」は、決してだれることない演奏をハーモニカがさわやかに導く。ブルーナイトらしい軽妙なノリは相変わらずだが、全体的に彩りを加えるフルートの響きが印象的で(「鳩」はそれのイメージか)、随所にぶっ壊れ寸前なディストーション・ギターの音がさりげない刺激をもたらす。最後に、五木ひろしと森昌子の曲は、やはりオリジナルのオケが使用されており、2枚組シリーズではこの盤からこの傾向が始まったようである。『箏が唄う遠藤実傑作集』は、自社オケ使用傾向の先駆者的試みと言ってよかったのか?
最後になりましたが…クラウンの歌無歌謡盤でも新曲が出る度、熱いプッシュを受けていた西郷輝彦さんのご冥福をお祈りします。残念ながら、今後語る予定の盤に選曲されることはないのですが…誕生日のエントリでも述べた通り、コロナ禍で中止になったライヴに行けなかったことがほんと悔やまれます。今後も情熱を持って、昭和歌謡最良の時代を語り継ぎたいと思います。