黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1978年、今日の1位は「カナダからの手紙」

Dovecot DL-1004

ニューヒット・スタジオ・ベスト12

発売: 1978年

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ジャケット

A1 迷い道 (渡辺真知子) 🅳

A2 カナダからの手紙 (平尾昌晃・畑中葉子) 🅲

A3 あんたのバラード (世良公則&ツイスト) 🅱

A4 冬が来る前に (紙ふうせん) 🅱

A5 コスモス街道 (狩人) 🅴

A6 わかれうた (中島みゆき) 🅳

B1 愛のメモリー (松崎しげる) 🅴

B2 冬の稲妻 (アリス) 🅱

B3 思い出は美しすぎて (八神純子) 🅱

B4 勝手にしやがれ (沢田研二) 🅷

B5 時のいたずら (松山千春)

B6 帰らざる日々 (アリス) 🅱

 

演奏: Dovecot Sounds

編曲: 柳刀太

備考: カラーレコード (橙)

定価: 1,480円

 

イトーヨーカドーDovecotレーベル、カラオケシリーズもこれで全7枚、無事に紹介完了です。カラオケは対象外とか言っといて、ここまで孤高の存在感を示すものはなんとか全制覇。たった7枚でよかったです…その内5枚は100円箱からのサルベージだったし。同じく両手の指全てを使わずしてリリース枚数がカウントできるワーナーのファッションディスクシリーズなんかより、遥かにミッションは楽ですよ…(汗)。

第1弾『ヤングアイドル・ベスト12』よりは若干年上の層を狙った内容ですが、リアルタイマーとしては同じように親しんでいたし、ノスタルジアで涙ちょちょ切れ。このテーマの続編がガイドメロディーをかすかにというより、フルート演奏を相当大きい音量でフィーチャーしていたのに比べると、こちらは遥かにカラオケとして真っ当な内容だ。オープニングの「迷い道」のイントロからして、相当力が入りまくり、歌う側としては気合の入れどころ。歌うもんかと思っていても、ガイドメロディーの薄さのあまりついつい「現在・過去・未来…」と口をついて出てくるのだ。やはり、歌い出しに勝負ポイントを持ってきた楽曲の強さ故でしょう。演歌以外認めなかった我が父も、渡辺真知子がこの曲で出てきた時はめちゃ褒めてたっけ…「カナダからの手紙」も同じくガチな演奏で、当時同じクラスだったM代ちゃんと放課後デュエットしたことを思い出しました(汗)。女子に優しい冒頭2曲に続いて「あんたのバラード」だけど、これはキーが全然違うし、女子が歌うにしても苦しそう…大友裕子みたいな声の人じゃないと使えなさそう。単体ではキートランスポーズできないレコードメディアの弱点を露呈してしまったわけだけど、デジタルによるカラオケ革命なんて、当時からすればまだまだ見果てぬ未来の話。それはさておき、当時仲よかった女子は総じて世良さんファンでしたね…今彼女らはどう思うやら。愛のメモリーも若干キー高め。ものすごく力まないと歌えなさそう。オケはかなり力入っているけど。乙女向きの曲じゃないしね。「冬の稲妻」は逆に低めで、ガイドメロディーは堀内パートのみ入っている。「思い出は美しすぎて」の選曲は鋭い。「帰らざる日々」は曲のニュアンスに反して、かなり弾むような演奏だ。この曲はリアルタイムというより、2年以上過ぎてからのカバーが目立つ印象。

同窓会で集まってこのレコードをかけると、自然と歌声が弾みそうだけど、それ以前に時のいたずら(not曲名)にたまらない絶望感を感じそうな、そんな時代になりました。イトーヨーカドーはまだあるけど、ダイエーやニチイは最早別のものに転じてしまった…これこそMy G.Generation…(汗)