ミノルフォン KC-7007S
ヒット歌謡ベスト30
発売: 1972年11月
A1 虹をわたって (天地真理)☆ 🅸
A2 夜汽車の女 (五木ひろし)☆ 🅶
A3 ひまわりの小径 (チェリッシュ)☆ 🅵
A4 さよならをするために (ビリー・バンバン)☆ 🅸
A5 京のにわか雨 (小柳ルミ子)☆ 🅼
A6 雨 (三善英史)☆ 🅳
A7 哀愁のページ (南沙織)☆ 🅹
B2 待っている女 (五木ひろし) 🅳→12/1
B3 許されない愛 (沢田研二)☆ 🅵→12/1
B4 この愛に生きて (内山田洋とクール・ファイブ) 🅱→12/1
B5 北国行きで (朱里エイコ) 🅳→12/1
B6 恋の追跡 (欧陽菲菲)☆ 🅸→12/1
B7 波止場町 (森進一) 🅶
C1 せんせい (森昌子)☆ 🅳
C2 どうにもとまらない (山本リンダ)☆ 🅳
C3 夜汽車 (欧陽菲菲)☆ 🅻
C4 芽ばえ (麻丘めぐみ)☆ 🅷
C5 BABY (平田隆夫とセルスターズ)☆ 🅴
C6 あなただけでいい (沢田研二)☆ 🅴
C8 旅の宿 (吉田拓郎)☆ 🅽
D1 ハチのムサシは死んだのさ (平田隆夫とセルスターズ) 🅶
D2 雨のエアポート (欧陽菲菲) 🅹
D4 終着駅 (奥村チヨ) 🅸
D5 夜が明けて (坂本スミ子) 🅱
D6 ちいさな恋 (天地真理) 🅸
D7 雪あかりの町 (小柳ルミ子) 🅶
D8 かもめ町 みなと町 (五木ひろし) 🅷
演奏: ブルーナイト・オールスターズ
編曲: 福井利雄、土持城夫(☆)
定価: 1,800円
五木さんを讃えるなら、当然ブルーナイト・オールスターズの出番!ということで写真ジャケ時代の盤。恐らく2枚組としてはこれが初のリリースのはずで、既発売の「四季シリーズ」からの抜粋に最新曲いくつかを追加したもの。1枚ものでリリースされていないと思われる「72・WINTER」編に代わる年末対応盤という位置づけで、300円上乗せしただけで1枚サービスというのは美味しい。これで味をしめたのか、翌年からはむしろ2枚組の方がメイン商品となった感が。
早々と「原曲の雰囲気が楽しめる」を売りにしていたものの、昨日紹介した78年の盤なんかに比べると、遥かに軽量なのは否めなく、そこにたまらない愛着を感じてしまう。のっけの「虹をわたって」も、うきうきした雰囲気の影にちょっと憂いを潜めたようなサウンドで、ジャケットの文学少女的イメージに合致した音だ。続く「夜汽車の女」だが、当然当時はオリジナルのオケの流用はしておらず、自社曲故に慎重にアレンジを行いながら、毒々しい雰囲気を引っ込めて喫茶店対応サウンドへと転化している。とは言え、ベースが唸りまくっているし、ある程度は共通のミュージシャンの参加はあったのかも。「ひまわりの小径」は、72年にして早々とリコーダー使用で、たまらなく愛しい。場末感の強いバンドサウンドに滑り込むと、またとない清涼感が醸し出される。「哀愁のページ」も決してこけず、ラブリーにこなされているし、「波止場町」で聴かれる飲み屋のねーちゃん1年生という装いのコーラスもたまらない。いや、バスガイド3人程召集して歌わせたという感じかな?フェーダー絞り逃してちょっとスタジオトーク残っちゃった、みたいなのを期待するのは異常か(うっかりスタジオノイズ残しちゃったみたいなミックスは、結構歌無盤あるあるなので)。
2枚目では今後のミノルフォンを背負って立つ存在の森昌子をデビュー早々よいしょする「せんせい」を、うちから離れた途端ブレイクしやがってと痛烈にリベンジする「どうにもとまらない」が追う。この猛烈にディストーションが効いたギターからは、悪意しか感じられない…2コーラス目の一部でちょっと指がもつれてるの、聞き逃しませんでしたよ…物凄くテンポを上げた「芽ばえ」など、勢いに任せた演奏の連続が爽快。「旅の宿」は、『フォークの旅』ではわざわざリメイクされていたが、やはりこちらは「歌謡曲時代の音」色が濃かった故か。D面でも、「雨のエアポート」や「愛する人はひとり」がかなりのテンポアップ率で、筒美京平への醒めた仕打ちだったのだろうか。この時期というか75年まで、ミノルフォンでの筒美仕事って「かもめ町みなと町」とリンダのラスト2枚しかありませんでしたからね。福井利雄アレンジの割に、ミラクル・サウンズ色はほとんどなく、控えめな女性コーラスのあしらい方はむしろポリドール盤っぽい。ここからミラクル・サウンズ、クリスタル・サウンズへと、地道に末広がりが発生していくのですね…