フィリップス FS-5025
ゆうべの秘密 ギター歌謡ムード・ベスト14
発売: 1968年
A1 命かれても (森進一)Ⓐ 🅴
A2 恋のときめき (小川知子)Ⓐ 🅵
A4 盛り場ブルース (森進一)Ⓒ 🅳
A5 涙のかわくまで (西田佐知子)Ⓓ 🅴
A7 女の波止場 (森進一)Ⓒ
B1 ゆうべの秘密 (小川知子)Ⓐ 🅵
B3 湯の町の女 (森進一)Ⓑ
B4 札幌ブルース (青江三奈)Ⓑ 🅲
B5 愛の園 (布施明)Ⓐ 🅴
B6 涙いろの恋 (奥村チヨ)Ⓓ
B7 加茂川ブルース (フランク永井)Ⓑ
演奏: おがわたかしとブルー・ギターズ
編曲: 利根常昭Ⓐ、林一Ⓑ、五十嵐謙二Ⓒ、村井邦彦Ⓓ
定価: 1,500円
なおもギター祭りが続きますが、まったり聴けるという意味ではこれ以上のものはないかも。GSで世の中を震撼させる真っ只中のフィリップスが、こんな盤をも残していたとは意外ですが。小川隆のブルー・サウンドが、まさかの方向へと導いてくれる68年のヒット集。1曲目「命かれても」では、真ん中と右にギター1本ずつ、真ん中にさらにベース(もちろん生の)が配されるという極めてシンプルなサウンドに、左チャンネルに大正琴が加わる。アンプラグドそのもののサウンドが、洗練感皆無の場所に漂う空気を体現してみせるのだ。ドラムもねぇ、オーケストラもねぇ。恋の語らいを吸い込むなんて、全く考えられない音世界だ。「恋のときめき」も全く同じサウンドで、「恋のしずく」になるとラテン・リズムが加わり、多少は賑やかな響きになるが、ギターは鄙びた音のままだ。「盛り場ブルース」では地味にトレモロがかかったエレキギターとオルガン、さらにエレキベースという、一応エレキサウンドに転換しているものの、醸し出す雰囲気は変わりなく、以上の3種類のサウンドがそれぞれ違うアレンジャーにより演出されている。それで、続く「涙のかわくまで」になると、編曲が…村井邦彦先生ではないか!流石にここで、ちょっと場末ムードから脱出するが、ノリそのものはオリジナルから大幅にかけ離れている。「伊勢佐木町ブルース」であのイントロを排除し、ラテン的ノリに転換してるあたりが彼のセンスそのものというべきか。左側で鳴っているのは、恐らく電気アコーディオンだろう。ちょっとフェイズがかかった気味の音色だ。他にも、フルートが「女の波止場」に、サックスが「コモエスタ赤坂」に色を加えたりするものの、基本的には3~4の音の絡みで展開していく。「愛の園」のギターとか、「加茂川ブルース」のオルガンで地味に音色の変化をつけているのに、ついつい耳が反応してしまうけど。これこそが68年版「レイド・バック」と言ってしまっていいのだろうか。ピュアすぎて、思いきり感覚が鈍くなりそうな1枚。