黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

仲雅美さんの誕生日は11月9日

クラウン GW-5204

火の女/お祭りの夜 哀愁のギター・ムード

発売: 1971年10月

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ジャケット

A1 さすらいのギター (小山ルミ) 🅴→2/21

A2 火の女 (森進一) 🅲→2/21

A3 長崎から船に乗って (五木ひろし) 🅸

A4 川の流れのように (奥村チヨ) 🅳

A5 純子 (小林旭) 🅲

A6 昨日・今日・明日 (井上順) 🅱→2/21

A7 涙の誓い (和田アキ子) 🅲→2/21

A8 君とふたり (石橋正次)

B1 雨の日のブルース (渚ゆう子) 🅷

B2 お祭りの夜 (小柳ルミ子) 🅶→2/21

B3 さよならをもう一度 (尾崎紀世彦) 🅵→8/16

B4 港の別れ唄 (内山田洋とクール・ファイブ) 🅴

B5 ポーリュシカ・ポーレ (仲雅美) 🅴

B6 おもいでの長崎 (いしだあゆみ) 🅶

B7 お嫁に行くなら (安倍律子) 🅰→2/21

B8 恋人になってあげよう (発地伸夫) 🅱

 

演奏: いとう敏郎と’68オールスターズ

編曲: 福山峯夫

定価: 1,500円

 

最近、何かの間違いでちょっと近い別の国発祥のファッション通販サイトの広告に導かれる事態が多発しているのだけど(瀧汗)、そのモデル写真の自然体なリアリティに、歌無歌謡ジャケからの反動を感じずにいられなくて、それこそ今その手のジャケを作るとしたら参考にしそうな気がする。こうやって当時のジャケ写に戻ってくると、例えばこれなんかは殿方の妄想心を誘惑するのが見え見えなのに、どこがどう危ないかを指摘しづらい。スミの塗りどころが見つけにくいというやつである。まぁ、自分でさえこの仕草が魅力的だなって思わずにいられないけれど、今になれば東欧系のむすめさんに素直な眼差しを向けにくいってのが最大の問題なわけで(汗)。

あまりジャケのことに左右されないブログにすると決めたのに、そうなっちゃったのは、やはりクラウンの安定パターンアルバムだからです(爆)。耳あたりの良いギターで聴かせるヒット16選。しかもすでに登場した曲が7曲もあるし、メリットを見つけるのが難しい。71年の喫茶店モードに誘う1枚、としか言えないですが、のっけからもう何度も「今は素直に聴けない」と繰り返してる「さすらいのギター」ですしね。こうやってギター・インストで聴くと、本来の姿に近いものを味わえるからいいんですけど。共通言語ですから、エレキ・インストは。A面中盤は同名異曲の方が有名な曲のオンパレードで、珍しくコルネット・ヴァイオリンが川の流れのように」「お祭りの夜」にフィーチャーされている。「純子」は3/4拍子で3小節単位で改行する曲作りがさすが遠藤実、という楽曲だけど、小節の頭にコンガを撫でる音を入れるアレンジが特殊。「君とふたり」は次作「夜明けの停車場」でブレイクする石橋正次の初シングルをいち早く歌無化したもので、クラウンの推しぶりを露呈。こうして聴くと「君といつまでも」をめちゃ意識した曲だけど、こんな曲にもコルネット・ヴァイオリンを導入。ポーリュシカ・ポーレも入っているけど、よくあるヴァージョンと感触がかなり違う。5番目の音が半音シャープしているのと、終始2つのコードがリピートしているためか。「お嫁にゆくなら」は面白アレンジにちょっと傾いている。ラストのレア曲「恋人になってあげよう」は、ワーナーの自社推し盤もあったけれど、ちょっと目配せした選曲か。この辺の「他社の新人にも期待」な選曲は、クラウン・オーケストラ時代になると殆どなくなりましたね。

「雨の日のブルース」「おもいでの長崎」も淡々と流れて行く、この安心な展開がくせになる人も当時はいたんでしょうね。歌無界激震の日も、ほぼ目の前。