黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

カルメン・マキさんの誕生日は5月18日

ユニオン UPS-5215

みんな夢の中

発売: 1969年6月

ジャケット

A1 みんな夢の中 (高田恭子) 🅹

A2 時には母のない子のように (カルメン・マキ) 🆂

A3 夜明けのスキャット (由紀さおり) 🅿︎

A4 白いブランコ (ビリー・バンバン) 🆀

A5 美しき愛の掟 (ザ・タイガース) 🅲

A6 うしろ姿 (矢吹健)

B1 涙の中を歩いてる (いしだあゆみ) 🅺

B2 粋なうわさ (ヒデとロザンナ) 🅹

B3 港町ブルース (森進一) 🆂

B4 三百六十五歩のマーチ (水前寺清子)

B5 七色のしあわせ (ピンキーとキラーズ) 🅺

B6 気まぐれブルース (青江三奈) 🅴

 

演奏: ユニオン・シンギング・オーケストラ

編曲: 池田孝

定価: 1,700円

 

なかなかトリビュートするのに勇気がいる(汗)誕生日ネタを強引に設定して紹介するのは、ユニオン名物、シンギング・サウンド・シリーズの第3弾。それこそこのシリーズは69~70年にかけて毎月のように出ていて、末期にはドラムやピアノにまで「歌わせ」ていた始末。美麗な、それでいてエロくなりすぎないジャケットもブースト要素になったのでしょうか。珍しく帯付きのものが手に入ったので、売られていた状態ではどんな感じだったか、これで解ります。当時のレコ屋の歌無歌謡コーナーにワープしたい…物凄い量が並んでいたのだろうな…

初期の盤ではアレンジャークレジットがなかったが、ここで初めて池田孝氏の名前が登場した模様。過去のも、改めて聴いてみればそんな感じで、クレジットしなかったのには大人の事情もあったのだろうか…ここでは、前2作を踏襲してのビリー・ヴォーンサウンドを意識したもので、アルト・サックスを中心に和声感覚がもろそのタッチ。それでいて、ビート感も生きているという69年仕様。例によってお馴染みのナンバーが揃っているが、共に19回目の登場となる「時には母のない子のように」港町ブルースに対して、知名度の割に今まで1度も登場していなかったのが不思議な三百六十五歩のマーチが目を引く。ポジティヴすぎて、歌無歌謡に向いてない曲と判断されがちだったのだろうか…特に、内省的な内容の曲が多い盤だと完璧に浮いてしまうし。このアルバムに組み入れられると、まるで「セントルイス・ブルース・マーチ」のようで、その軽さが緩衝材的な役割を果たしている。「夜明けのスキャットのイントロがもろ「こんなにこんなに愛してる」に聞こえるのはご愛敬(汗)。テイチク系の録音では、ミュージシャンがある程度共通するのもあり得るからな。コード使いは簡素化しているとはいえ、それを補うかのように鮮やかな転調をしているのが聴きもの。「美しき愛の掟」は骨抜きしたと思わせといて、さりげないロック色が生きた演奏。この曲を始め計9曲が、同じく池田氏が手掛けた大映盤『港町ブルース』(今年4月24日)と重なっているが、リズムアレンジは共有しているものの、微妙に色付けを変えていて、特にこの曲を聴き比べると解りやすい。藤本スタンダード「うしろ姿」もこの盤で初登場で、軽量化した夜のいかがわしさを漂わせる。なお、次作『七色のしあわせ』(昨年8月1日)と被っている7曲はいずれも別演奏で、そちらの方ではフルートが前面に出ているが、池田氏の芸風ではない感じだ。

曲が被ると言えば、明日紹介する盤がこのアルバムと6曲重なってますが、いよいよ真打ちが登場しますよ…やっぱり本家の解釈が一番正しいではないですか。特にB面の最初の2曲は(モロヒント出しすぎ!)