黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は伊勢正三さんの誕生日なので

クラウン GW-3053~4

ヒット歌謡ベスト36 22才の別れ/初めてのひと

発売: 1975年1月

ジャケット

A1 22才の別れ (風)🅷→22/11/2

A2 冬の色 (山口百恵)Ⓑ☆ 🅲→22/11/2

A3 木枯らしの舗道 (天地真理)Ⓐ 🅱

A4 理由 (中条きよし)Ⓒ☆☆ 🅶→22/11/2

A5 旅愁 (西崎みどり)Ⓐ 🅵→22/11/2

A6 白い寫眞館 (中村雅俊)Ⓑ☆

A7 おんなの運命 (殿さまキングス)Ⓒ☆☆ 🅸

A8 南十字星 (欧陽菲菲)Ⓐ

A9 みれん (五木ひろし)Ⓒ☆☆ 🅶

B1 初めてのひと (西川峰子)Ⓐ 🅲→22/11/2

B2 追伸 (グレープ)Ⓒ☆☆☆

B3 北航路 (森進一)Ⓓ☆ 🅳→1/29

B4 哀愁のレイン・レイン (チェリッシュ)Ⓐ 🅴

B5 家族日誌 (ダ・カーポ)Ⓑ☆

B6 あじさいの雨 (渡哲也)Ⓑ☆ 🅶→22/11/2

B7 淋しがりや (梓みちよ)Ⓔ☆☆☆☆ 🅱→1/29

B8 落葉の舗道 (山本コータローとウイークエンド)Ⓑ☆

B9 愛の執念 (八代亜紀)Ⓒ☆☆ 🅴

C1 わたし祈ってます (敏いとうとハッピー&ブルー)Ⓕ☆☆☆☆☆ 🅷

C2 涙と友情 (西城秀樹)Ⓑ☆ 🅱

C3 美しい朝がきます (アグネス・チャン)Ⓒ☆☆☆ 🅲

C4 恋の大予言 (フィンガー5)Ⓔ☆☆☆☆  🅰→1/29

C5 ふれあい (中村雅俊)Ⓓ☆ 🅸

C6 くちなしの花 (渡哲也)Ⓖ☆☆☆☆☆☆ 🅾

C7 愛の終末 (チェリッシュ)Ⓔ☆☆☆☆ 🅰→1/29

C8 あの頃のぼくは (イルカ)Ⓒ☆☆☆

C9 愛の逃亡者 (沢田研二)Ⓑ☆ 🅲

D1 雪の中の二人 (麻丘めぐみ)Ⓐ

D2 うすなさけ (中条きよし)Ⓖ☆☆☆☆☆☆ 🅶

D3 想い出のセレナーデ (天地真理)Ⓔ☆☆☆☆ 🅰→1/29

D4 別れの夜明け (石原裕次郎八代亜紀)Ⓒ☆☆ 🅳

D5 美しき誤解 (和田アキ子)Ⓔ☆☆☆☆  🅰→1/29

D6 精霊流し (グレープ)Ⓒ☆☆☆ 🅵→12/22

D7 夫婦鏡 (殿さまキングス)Ⓑ☆ 🅺→22/11/2

D8 愛の詩を今あなたに (布施明)Ⓔ☆☆☆☆ 🅰→1/29

D9 冬の駅 (小柳ルミ子)Ⓐ 🅴→22/11/2

 

演奏: クラウン・オーケストラ

まぶち・ゆうじろう’74オールスターズ☆

水谷公生&トライブ+いとう敏郎☆☆

水谷公生&トライブ☆☆☆

岡山かずよしとセブンビート☆☆☆☆

サム・テイラー☆☆☆☆☆

フローラル・ポップス’74☆☆☆☆☆☆

編曲: 小杉仁三Ⓐ、若草恵Ⓑ、原田良一Ⓒ、新井英治Ⓓ、青木望Ⓔ、横内章次Ⓕ、伊藤辰雄Ⓖ

定価: 3,000円

 

正やんの誕生日当日ということで、本当はかぐや姫ソングス・フォー』(GW-7076)を出してきた方がよかったのかもしれないですね…ただ、ニューミュージック系のアーティスト単独作品集が、全体から見ると黄昏の芸風にそぐわない感が拭いきれず、やっぱり保留。次のアンコール月間のチャンスがあれば、他のその手の盤数枚と共に取り上げたいところ。盤そのものはそこまでレアでもないし。そこで聴ける22才の別れと「なごり雪」が一体となった組曲仕立てのドラマティックな演奏に、今日の日付に個人的に絡むハートブレイク気分が思い起こされて、胸がキュンとなります。「22才」ではベースフルート(bflと略称されると、一瞬「ブロックフレーテ」かと思いときめくのだが…汗)と通常のフルートが別々のトラックで演奏されていると、ライナーにあるマルチトラック割表に書かれているのですが、後半になって暴れ始める後者の演奏が柴田美知子さんでしょうか。なかなかのジャジーさで、その中から浮かび上がってくる「なごり雪」のメロディーに胸を締め付けられていると、いつの間にかその曲本体に迷い込んでいます。最終曲「僕の胸でおやすみ」のリコーダーはもろクラウンの歌無歌謡の音で、故に確実に旭孝氏の演奏のはず…

かぐや姫ソングス・フォー」

おっと、通常モードに戻らなければ。こちらはジャンクヤードから救済された普段通りのクラウン2枚組。3ヶ月前のリリース(だが、前作では確実にない)『北航路/愛の終末』から8曲(精霊流しを含む)を引き継ぎ、2ヶ月先の『白い部屋/湖の決心』に8曲をたらい回ししている、過渡期のアルバムだ。例によって、クラウン・オーケストラ名義の新しめの録音と、74年までのクラウン歌無歌謡王道名義のものが混在しているが、やはり違和感なく、統一された場末イメージで流されていく(ついでですが、「淋しがりや」はここではクレジット通り、岡山かずよしとセブンビート版で収録されている)。

選曲的にハッとさせるのはやはり、「白い寫眞館」「家族日誌」「落葉の舗道」といった、見過ごされがちな「メガヒットの次の曲」だ。特に、クニ河内の手による「白い寫眞館」、「ふれあい」の次にこんな大胆な曲を持ってくるとはと、ほぼ忘れていただけに新鮮に聴けたし、歌無しだとなんか異次元な風景が見えてくる感じがする。まぶち・ゆうじろうの最後の意地が炸裂した3曲と言えそうだ。「追伸」はイントロからメロトロンが炸裂(但し音響処理的にソリーナに近い響きになっている)し、安定のギターワーク共々、水谷公生&トライブの本領発揮。上出来の「喫茶ロック」に仕上がっている。「わたし祈ってます」は、なぜかピンポイントでサム・テイラー版を起用。歌詞を歌わない女性コーラスに意地を見た。『白い部屋~』の市原宏祐版とナイスバトルさせてみたい(が、誰も喜ばないか)。オリジナルの呪術的なタッチを剥ぎ取った「恋の大予言」も面白い。「くちなしの花」はやたらリピートされるヴァージョンではない、ストリングスがメインのエレガントなサウンドで異彩を放っている。ソロデビュー早々に自社推しを得たイルカの「あの頃のぼくは」も貴重。やはり「夫婦鏡」もトライブ版で入れて欲しかったし、「想い出のセレナーデ」もまぶち版で入ってた方がよかったという気がする(7月15日参照)けど、なかなか聴き応えあるセットだ。