黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は大口ヒロシさん (ザ・テンプターズ)の誕生日なので

コロムビア ALS-4377

ゴールデン・ヒット・メロディ 第5集

発売: 1968年11月

ジャケット

A1 思案橋ブルース (中井昭・コロラティーノ) 🅴

A2 愛の香り (布施明) 🅴

A3 シー・シー・シー (ザ・タイガース)

A4 エメラルドの伝説 (ザ・テンプターズ) 🅲

A5 星を見ないで (伊東ゆかり) 🅷

A6 花と蝶 (森進一) 🅸

A7 星が降るまで (ヴィレッジ・シンガーズ)

A8 すてきなファーニー (佐良直美) 🅱

B1 愛のさざなみ (島倉千代子) 🅳

B2 小さなスナック (パープル・シャドウズ) 🅴

B3 恋のときめき (小川知子) 🅸

B4 太陽は泣いている (いしだあゆみ) 🅱

B5 花のヤング・タウン (ザ・ワイルド・ワンズ) 🅱

B6 草原の輝き (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)

B7 霧にむせぶ夜 (黒木憲) 🅴

B8 青い月夜 (奥村チヨ) 🅱

 

演奏: ゴールデン・スターズ

編曲: 大西修

定価: 1,500円

 

おお、ファンタジック・ガール…このサイケ感覚溢れるジャケ、メインストリームのタンジェリン・ズーの国内盤LPにも採用されていたあのタッチそのものじゃないか!で、帯をずらしてみたらクレジットが確認できた。このカヴァー・ガール、R. Asoって麻生レミ!? 裏の写真を見たら、もろそうだ。フラワーズのデビュー・シングル「ラスト・チャンス」が出たのはこれの2ヶ月後なので、ちょい早いステマか。しかし、流れてきた音にはサイケのサの字もない。いつもの通りのゴールデン・スターズのまったりとした響き。この場末感が、当時最先端のレジャーにぴったりはまっていたわけで。極度にサイケなことをするのは「危険分子」に限られていたわけなんですな。幸せな時代だったのか、不幸な時代だったのか。いずれにせよ、人を傷つけることはよくない。

ピースフルに68年のサウンドを展望できる1枚だけど、スタートは思案橋ブルース」で手堅く。この夜のスナック・ムードをそのままに、やっとレコード盤でライブラリーに仲間入りする(CDは持っていたが)「シー・シー・シー」へと突入するが、やはりもたつきが目立つなぁ。特にベースが。かっちりしたGSノリで奏でられないGS曲には煮え切らない印象しかないし、なんか特別な味付けを加えてくれないとね。「星が降るまで」は、新興のソニーに送り出されるヴィレッジへの挽歌のように聴こえる。B面は、「愛のさざなみ」というさらなる期待曲からスタートするけれど、これだけ気を抜かれると落ち着かないし、テディー坂口のヴァージョンの方に思い切りのよさという点で軍配をあげたい。で、「太陽は泣いている」の方は意外とこけていない、というかめちゃ出来がいいのでなおも不思議だ。チージーな響きでさえも一応雰囲気が出せてしまう楽曲の魔力を感じる。「花のヤング・タウン」もなかなかがんばっているし。「草原の輝き」も意外に初登場…アグネスの曲の方は14回も出てきているのにね。マリンバが大活躍する雄大なヴァージョンだ。ファンタジックな色をうまく出した「青い月夜」で円満にお開き。これも大ちゃん作品だ。

11月28日誕生日と言えばあの人でしょうがって…ええ、明日に温存しておきましたよ。