黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無ベスト10・第6位 (その2)

ヒットした当時オリコンベスト10入りしてなかったとは意外。70年代以降作られたヴァージョン(8つある)で相当追い上げました。

 

 

6位(タイ)

白いブランコ

歌: ビリー・バンバン

作曲: 菅原進

作詞: 小平なほみ

編曲: ありたあきら

69年1月15日発売/オリコン最高位15位

 

🅰ロス・ガートス (編曲: 甲斐靖文) 21/4/24

超名盤『ギターの秘密』より。アルバムの中では手堅い解釈かつ、持ち味を解りやすく要約していて聴きやすいヴァージョン。強力なエコーでロマンチシズムが倍増。

『ギターの秘密』

🅱秋山実とニューサウンド・グループ (編曲: 竹村次郎) 21/6/2

12弦ギターをフィーチャーしての素朴なヴァージョン。2回重ねて24弦のゴージャスな響き!イントロと2番のフルートの甘美な響きはアレンジャー故「DuBiDuBi東京」直系。

🅲Dovecot Sounds (編曲: 柳刀太) 21/6/26

77年制作のイトーヨーカドーのカラオケ盤より、時代故にかなりの洗練された響き。ガイドメロディーはクラリネットであまり小さくない音量。普通に聴きもできる。

🅳カンノ・トオル (スチール弦ギター)とフォークギター・グループ (編曲: 福島正二) 21/8/7

「禁じられた恋」よりは軽めに奏でられるギターアンサンブル。キハーダが入るとまるでその曲の続きのように聴こえる(笑)。

🅴HARVEST ORCHESTRA (編曲: 無記名) 21/8/30

こちらも75年制作ヴァージョン。🅱を流用するとコンセプト的に違和感あったかも。Bメロは70年代中期歌無歌謡仕様のリコーダーで奏でられる(このベスト10内では「旅の宿」のはちの巣盤とこの曲だけの登場)。イノセンスが溢れた音色。

🅵バロック・メイツ+スィンガーズ・スリー (編曲: 小川寛興) 21/10/3

重厚なオルガンのイントロで何事かと思わせておいて、甘美な本編へ。率直なコーラスワークにうっとりしてしまうが、自社の仕打ちらしくないコードの簡素化(Iに戻りすぎ)に違和感も。伊集さんがサイドに回っているのはなかなかの妙味。

🅶猪俣猛オールスターズ (編曲: 小泉猛、八木正生) 21/10/16

ゴスペルっぽいピアノのイントロでこちらも重厚なイメージ作り。Bメロ以降なかなかのスウィング感が出てきていい演奏だと思わせ、2コーラス目で走り始める大胆なアレンジ。抑え気味ながら個性丸出しの寺川ベースも聴きもの。

🅷ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/10/24

これも75年以降の録音だが、ノスタルジアに浸りすぎていてあまり面白くない。けたたましいホーン隊が「ブランコー」とやってるとことかは別として。

🅸黛はじめ(アルト・サックス)とスイング・オーケストラ (編曲: 川上義彦) 21/11/27

手堅い演奏なんだけど、サックスが色気を持ち込んでいてちょい異色。2コーラス目で転調してからは「今宵踊らん」的なスウィング感が出る。

🅹クリスタル・サウンズ (編曲: 無記名) 21/12/26

またも76年の新録音。録音自体がスムーズになった以外あまり取り柄がない。もしかしたら🅴とアレンジャー同じかも(Bメロはフルートだが)。

🅺横内章次 (ギター)/ブルー・ドリーマース (編曲: 横内章次) 22/1/7

夢見心地な横内サウンドなのにイントロのサックスが場末風味。2コーラス3小節目のサックスがこけているのは意図的なのか?クインノート名物の渦巻オルガンが地味に支える。やはりオーセンティックなヴァージョンの方がいいな。

🅻江川マスミ (編曲: 土持城夫) 22/1/8

79年モデルのエレクトーンで一気にモダンな世界へ。このシタール的な音は70年代前半までのオルガンではあり得ない(爆)。結婚式で奏でられるのにうってつけのアレンジ。

🅼Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

第1期国文社ならではのせこさが絶妙な味を持ち込む。こちらでもキハーダが唸りを上げているが、ビブラスラップよりははるかに効果的だな。口笛が入ってサベージテイストも。

🅽広瀬三喜男/(オーケストラ名記載無し) (編曲: 一) 22/3/21

構造は変えていないものの、大胆にアレンジを変えてきて地味にユニークな仕上がり。このシンプルさは69年にしては異色かも。

🅾ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

こちらは基本に沿っていてあまり面白くない。まぁギターが味のある演奏をしているのが取り柄か。

🅿︎トミー・モート・ストリングス・オーケストラとザ・ビィアーズ (編曲: 小谷充) 22/4/20

華麗なヴァイオリンを生かしてカラフルな味付けに、好夫モードのギターが炸裂。ものすごく余韻が長いクロテール(?)の音が地味に耳を捉える。2コーラスの自己主張ぶりも聴きもの。ラストでロマンチシズム爆発する。必殺転調に溢れるアルバムの中では安堵の場所か。

🆀ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/10

ビリー・ヴォーン印のブラスサウンドで一気に軽いタッチに。律儀なリズムギターとピアノがかえって耳に新鮮に響く。

🆁筒美京平とクール・サウンズ (編曲: 筒美京平) 22/11/11

筒美京平の手にかかるとこの曲も幻想の世界へ。このコードチェンジはむしろ前衛の方向に向いていて、凄いとしか言えない。くれないホテルの前庭にあるブランコ。

🆂レオン・ポップス (編曲: 石川皓也) 22/11/21

イントロでは気づきにくいけど、3連符を生かしながら8ビートに再構築している技もの。こういうさりげない工夫は歌無歌謡の醍醐味。

 

以上、19ヴァージョン(19枚収録)

おまけ: 今月まさかのリリースとなった5枚組BOXセットより。まぶちサウンドの真髄が楽しめまくる!そういえば、我がライブラリーのこの曲に珍しくクラウン盤がない(汗)