黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無ベスト10・第3位

いよいよ上位3曲。演奏者的には顔ぶれが固定してきたという感じですね。

 

3位

歌: はしだのりひことシューベルツ

作曲: 端田宣彦

作詞: 北山修

編曲: 青木望

69年1月10日発売/オリコン最高位2位

 

🅰ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 中山順一郎、河屋薫) 21/4/16

テイチク名物の「例のノイズ」をさりげなく配しつつ、オールディーズテイストで可憐に飾ったブラスポップ。2番のドラムはブレイクビーツに使えそう。

🅱ロス・ガートス (編曲: 甲斐靖文) 21/4/24

『ギターの秘密』らしいパーカッションの刻みが心うきうき。エコーに包まれながらシンプルに、深みに誘い込んで行く。

🅲いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/5/3

クラウンらしい場末サウンド。大体「時には母のない子のように」と顔ぶれがほぼ同じなので、聴き比べの印象も似るのは仕方ない。

🅳秋山実とニューサウンド・グループ (編曲: 竹村次郎) 21/6/2

フォーキーな若々しさを前面に出し、ミノルフォンカラーがそれほど感じられない演奏。12弦ギターを2回重ねて重厚に奏でる。さりげないマリンバの登場に耳が止まる。 

🅴ゴールデン・ポップス・オーケストラ (編曲: 森岡賢一郎) 21/7/9

多彩な音を積み上げて正統派歌謡イージーリスニングに。森岡賢一郎のガチな仕事は手加減しない。

🅵カンノ・トオル (スチール弦ギター)とフォークギター・グループ (編曲: 福島正二) 21/8/7

例のノイズが12秒も続いた後、小粋なフォークアンサンブルへ。ギターの本数も「禁じられた恋」ほど多く感じず、同好会テイスト。

🅶木村好夫 (ギター)、宮沢昭 (フルート)/レインボー・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 21/9/25

好夫の12弦エレキが聴けるのは貴重。スタンダードな演奏ながら快調に飛ばしていく。フルートは2回重ねているというより、他の人と同時に奏でている感じ。エンディング近くはPPPH仕様になっている(汗)。

🅷バロック・メイツ+スィンガーズ・スリー (編曲: 小川寛興) 21/10/3

ゆったりとしたムードに高貴なストリングスが加わり、さりげなくコーラスが盛り上げる。オルガンの妙な音色も効果的。2番では一転してシンプルに。シンガーズ・スリーの各メンバーの声質を効率よく聴かせている。

🅸猪俣猛オールスターズ (編曲: 小泉猛、八木正生) 21/10/16

2年経った後の解釈らしいフォークロックアレンジ。イントロでさりげなく、高音部で自己主張する寺川ベース。石川鷹彦印が炸裂するギターも聴きものだ。ドラムはニュービートと違って、脇役に徹する…と思ったら2番後半から爆走を開始。寺川ベースも暴れる。思いっきり派手に録っていないところは流石にビクター洋楽部らしい。

『恋人たちのフォーク・ロック』

🅹ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/10/24

こちらも75年以降の録音なので幾分違う印象。69年ではあり得ないフェイズギターを除くと、それほど斬新な味付けはしていないが、やはり録音技術が進んでいる。

🅺クイーン・ノート (編曲: ミッチー・シモン) 21/11/13

渦巻きオルガン一発で印象が一気に内省的に。目立たないけどイントロの右チャンネルのギターが幽玄に手招きしてくる。隠れていたダークサイドの蠢きを感じさせながら、エンディング近くで晴れる。

🅻黛はじめ(アルト・サックス)とスイング・オーケストラ (編曲: 川上義彦) 21/11/27

スタンダードなアレンジをゴージャスなブラスで上塗りされるだけで、ここまで印象が変わるとは。対象年齢が少し上がった感じ。

🅼クラウン・オーケストラ (編曲: 福山峯夫) 21/12/22

77年のフォークアンソロジー版では福山峯夫アレンジとなっているが、恐らく「あなたと夜とミュージック」からの転用ではないか。ゴージャスなピアノで夢幻の世界へ一直線。

🅽クリスタル・サウンズ (編曲: 無記名) 21/12/26

76年形アプローチで敢えてオリジナルに忠実に。クリスタル名義ではあまり味わえない、ジュン・ナンバラモードのギターが主導。タンゴ峠を越えると一気にポップに転ずる。

🅾横内章次 (ギター)/ブルー・ドリーマース (編曲: 横内章次) 22/1/7

オリジナルに敬意を表しての横内サウンド。霧のようなオルガンが独特のタッチを加える。

🅿︎Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

イントロに色彩を加えるフルートがユニーク。国文社も音源制作は東芝が行っていたので、全体的感触は🅺🅾によく似ている。

🆀広瀬三喜男/(オーケストラ名記載無し) (編曲: 林一) 22/3/21

一気にノリがシンプル化。テクニカルなギターを際立たせながら、静かな音の波に誘う。

🆁ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

こちらも同好会モード。Meyer盤、広瀬三喜男盤とのセットは69年フォーク曲の必然みたいなものなので、まぁしょうがないか。

🆂トミー・モート・ストリングス・オーケストラとザ・ビィアーズ (編曲: 小谷充) 22/4/20

大胆なイントロに始まり大改造を施しつつも、好夫ギターを効果的に聴かせる技もの。エンディングに被さってくる口笛が怖い。これはサイケかも。

🆃筒美京平とクール・サウンズ (編曲: 筒美京平) 22/11/11

あっと驚く筒美京平の技もの。これはもう、実際聴いて頂くしかないでしょう。自社ものなのにあーた…さーて、明日の黄昏みゅうぢっくは…

 

以上、20ヴァージョン (20枚収録)