黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

99年以来失っていたスピリットを取り戻し復活します

大映 DAL-17 

魅惑のテナー 恋の奴隷

発売: 1969年

ジャケット

A1 恋の奴隷 (奥村チヨ) 🅾

A2 或る日突然 (トワ・エ・モワ) 🆉

A3 どしゃ降りの雨の中で (和田アキ子) 🅳

A4 さすらい人の子守唄 (はしだのりひことシューベルツ) 🅿︎

A5 港町シャンソン (ザ・キャラクターズ) 🅻

A6 星空のひとよ (鶴岡雅義と東京ロマンチカ) 🅳

B1 雲にのりたい (黛ジュン) 🅽

B2 禁じられた恋 (森山良子) 🆇

B3 夜の柳ヶ瀬 (カサノヴァ7) 🅴

B4 大空の彼方 (加山雄三) 🅸

B5 心の裏窓 (浅丘ルリ子) 🅱

B6 愛して愛して (伊東ゆかり) 🅾

 

演奏: 尾田悟/ザ・サウンズ・エース

編曲: 池田孝

定価: 1,500円

 

お待たせしました!全く前触れもなく突然復活する黄昏みゅうぢっく。実は虎視淡々と時期を狙っていたのですが、母体の方が創作活動に於ける地獄と称していた30年間の流行歌シーンを客観的に振り返るというテーマで週一更新していた「Missing Years」に熱中しすぎ、なかなか歌無歌謡モードに戻れずというのが真相で、その間にも着々とレコードが増えていました。しかもその殆どが店舗購入!ということで、いわば今年の収穫集大成みたいなカラーがあります(「歌謡フリー歌謡日」に語る数枚は例外として)。

そして、今回復活ではとっておきの新企画、ゲストコメンテーターとして、母体が全力を注いだ「フニルネッサンスProject」に登場する1978年デビューの妄想歌姫5名を招き、当時のパースペクティヴから歌無歌謡を語っていただきます。週一回、どの曜日に登場するかは秘密!今回もレコード番号順に盤を並べているので、相応しい盤が登場するタイミングは成り行き次第。と言えども、個人的には60年代末期の盤が多めということで、そちらを語れる方にわくわくしています。

さて今回トップを飾るのは、大映レコードに残された69年トップヒット集。何せこの時期の歌無歌謡乱発は凄まじく、「或る日突然」のヴァージョンカウントは遂に26番目、「Z」に達してしまいました。今後ヴァージョンが増えた場合、どうすればいいのだろうか…他にも「恋の奴隷」「愛して愛して」など、ここではスタンダードと化した常連曲がいっぱい。それらを安定した演奏と、大映レコードらしい奥行きの深い、かつ実験色もほんのり効いたサウンドで綴っていきます。特に耳を捉えるのが、木村好夫っぽいフレージングでありつつ、所々に変化球を交えて強力なアクセントを与えるギター。「どしゃぶりの雨の中で」のファンキーな、ドライブの効いたサウンドに映えるのは言うまでもなく、「禁じられた恋」ディストーションを強烈にかましバスクラのパートを熱演、そのままソロになだれ込むという、数あるヴァージョンの中でもサイケ度の高い解釈を盛り立てています。これはまさか、ザ・トーイズのメンバーがプレイしているのでは?何となく「じょんがらゴーゴー」っぽい響きでもあるし。ラウンジ色濃い「港町シャンソン「夜の柳ヶ瀬」にもほんのり、ファンキーな味が。やはり強烈な個性でリードしていく尾田悟のプレイに心が奪われてしまいます。ノーチェ・クバーナの危険な駆け引き盤にも負けていない、派手な夜のムードが充満する1枚。