CBSソニー 25KH-723 (カセット)
最新ヒット歌謡ベスト22
発売: 1980年3月
A1 謝肉祭 (山口百恵)
A3 涙のアベニュー (サザンオールスターズ)
A5 セクシー・ユー (郷ひろみ)/モンロー・ウォーク (南佳孝)
A6 WAKE UP (財津和夫)
A7 さよなら (オフコース)
A9 秋止符 (アリス)
A10 恋 (松山千春)
A11 悲しき友情 (西城秀樹)
B1 おまえとふたり (五木ひろし) 🅲
B2 とまり木 (小林幸子)
B3 酒場舟 (森進一)
B4 新宿慕情 (増位山大志郎)
B5 夫婦きどり (牧村三枝子)
B6 おやじの心 (村木賢吉)
B7 大都会 (クリスタルキング)
B10 あなたに生きる (大川栄策)
B11 抱擁 (箱崎晋一郎) 🅱
演奏: クリスタル・サウンズ
編曲: 無記名
定価: 2,500円
今年は何故かクリスタル・サウンズ周辺の盤の新規入手に恵まれまくり、既に次回復活に向けはじき出された盤まであるのですが…それでもなお、全貌が解明されるに至ってません。しかも、カセットリリースの方が奥が深いことまで解ってしまったので余計ムズムズする(当時のソニーにとっては、ウォークマン発売開始という歴史的転換期にあたりましたね)。このテープは20AH-962という品番でリリースされた「最新ヒット歌謡ベスト18」に例によって4曲足したもの。ただ、レコードに関する情報がほぼ皆無のため、でかいこと言えないんですよね。判明しているのは、このリリースがクリスタル・サウンズとしては最後にあたるものであるということ。その次にリリースされた「最新ヒット歌謡ベスト18」(20AH-990)から、クリスタル・サウンズ・オーケストラ名義になっています。痛烈な古巣リベンジと思われる「This is A Song For Coca-Cola」が収録されているので、気になる1枚ではありますが。
と言えども、80年のリリースに75年までのクリスタル作品に感じたときめきを期待しても、しょうがないわけで。トップの「謝肉祭」はなんと、オリジナルのシングルと同日リリースという早技で、さすが百恵を「使える」立場の強さを発揮。長らく封印された時期もある曲ですが、勿体なかったですよね。以下クリスタルらしい、若々しく手堅いサウンドでポップスを綴る。さすが、カラオケまずありきな時代に突入していただけあり、音の完成度は以前の比ではありません。ただ、やっぱその分スリリングさが激減というか、「湖の決心」を聴いた時のような感動がないんですよね。殆どの曲で主旋律を奏でるサックスも、場末感より洗練感の方が前に出てるし。「モンロー・ウォーク」なんかに於いては特性出まくってますが。「WAKE UP」から先の数曲はほんと、当時愛唱しまくってましたね。フライング・リザーズにいくら衝撃を受けようが、失えなかったニューミュージック魂。そんなこと思い出し、うるっときます。あの「鉛筆の子」に出会う半年ほど前の話…(涙) 「秋止符」を歌無しで聴くと、それこそ雪の華が降り注ぐ…って、その逆パターンならあり得るのですが(瀧汗)。
B面に行くと一気に演歌モードに転じるのですが、「おまえとふたり」や「酒場舟」で聴けるフルートが何故か初々しく、それこそ音大生バイトのお姉ちゃんという線が濃厚。ど演歌なのにと頬を赤らめながら吹いている様子が想像でき、特に音の上下が慌ただしい後者は萌え度が高いです。作曲者の蘭世とは何者なのだ?前者の無表情なサックスも、前半と一転して歌無歌謡では珍しい感触。「とまり木」などで聴ける当時にしてはチージー度が異常に高いオルガンや、「新宿慕情」の飲み屋のねーちゃんコーラス、妙に気合いが入った「おやじの心」の間奏など、ただごとではいられない展開を経て、唐突にニューミュージック3大ヒットへ。さすがに「異邦人」は自社大ヒットだけあり完成度高く、フルートの人も自信持ってこなしてそうです。5年ほど前、練習風景をツイキャスしてる際にこの曲を演奏し始めキュンキュンさせてくれた、当時音大予備軍だったリコーダー娘のY.M.さん、お元気でしょうか気になります…(瀧汗) ラストは息長いヒットになった「抱擁」で一気に非80年代モードへ。終わってみれば結構ときめきました。
この盤が発売された11日後、CBSソニーというレコード会社の運命が大きく変わるのだ。それを考えると、墓碑銘とさえ思える1本。