黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

東京がラリり始める前の無邪気な駆け引き事情

ポリドール SLJM-1425

グループ・サウンズ・ヒット・メロディー

発売: 1968年7月

ジャケット

A1 銀河のロマンス (ザ・タイガース)Ⓐ 🅳

A2 花の首飾り (ザ・タイガース)Ⓐ 🅵

A3 亜麻色の髪の乙女 (ヴィレッジ・シンガーズ)Ⓒ 🅲

A4 こころの虹 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)Ⓐ 🅴

A5 愛するアニタ (ザ・ワイルド・ワンズ)Ⓑ

A6 いつまでもどこまでも (ザ・スパイダース)Ⓑ

A7 君だけに愛を (ザ・タイガース)Ⓑ 🅲

B1 ワールド (ビー・ジーズ)Ⓑ 🅲

B2 マサチューセッツ (ビー・ジーズ)Ⓑ 🅲

B3 デイドリーム・ビリーバー (ザ・モンキーズ)Ⓑ 🅳

B4 空飛ぶ心 (カウシルズ)Ⓑ

B5 雨に消えた初恋 (カウシルズ)Ⓑ

B6 今日を生きよう (グラス・ルーツ)Ⓑ 🅱

B7 ハロー・グッドバイ (ザ・ビートルズ)Ⓑ 🅳

 

演奏: ビート・スターズ/山口軍一とルアナ・ハワイアンズ・ウィズ・オールスターズ(Ⓒ)

編曲: 伊部晴美Ⓐ、早川博二Ⓑ、川上義彦Ⓒ

定価: 1,450円

 

怪しいカセット・ワールドから再び華のGS時代へ。タイガース人気でGSブームを牽引していたグラモフォンが送る歌のないGSヒット集。さすがパイオニアの意地と言うべきオリジナル画像を提供していますが、ここに起用されたGSは誰なのだ…よく見ると6人メンバーがいるし、該当しそうなバンドが当時のグラモフォンにいない…人数的にはキングスが該当するけど、ピーコックスじゃないかって気もするし、女性モデルは田村エミかと思ったらそうでもないし、いずれにせよ最先端のブティックだったジ・アップルから衣装の提供を受けており、なかなか気合入ったジャケットを作ってきています。

その割に半分洋楽にしたりしてるし、音の方はそこまで派手な感じになってないですね。全体で弾けてるドラムは原田寛治というのは容易にわかるけど、東芝やキングの盤に比べるとやっぱ、場末色が濃厚に出ちゃってる。必要以上にブラスを前面に出してるところとか。特に「花の首飾り」が野暮ったすぎ、所々メロディーがこけちゃってるし。で、続く亜麻色の髪の乙女だけ明らかに出所が違うとある。これは事情が即読めますよ。ライナーでは完璧に隠蔽されていますが、約2年前に青山ミチのグラモフォンでのラスト・シングルとして「風吹く丘で」を出した段階で、山口軍一をフィーチャーしたヴァージョンが既に作られてた、けど例の事情でお蔵入りさせた、そしてヴィレッジ盤がヒットしたおかげでそれを持ち出したのでは…、と推測して聴き進めたら、完全にヴィレッジ盤を基にしたアレンジで演ってるではありませんか。もしかしたら別の盤で初出されたものを引っ張ってきたのかもしれませんが、名義が別の割に全然違和感はなくて、盤全体の野暮ったい雰囲気に溶け込んでるのが不思議。「愛するアニタにも、ちょっとだけ幻のタイガース・ヴァージョンの面影があります(ドラムを叩いてる人が同じせいか…とか思っちゃダメですよね)。ここからはさすがに早川博二が喝を入れたおかげか、サウンド全体がアガり気味の展開になります。B面の洋楽サイドはリリカルな曲が中心になってるおかげで、そこまで野暮ったさが出ていず、僅かに「今日を生きよう」にA面の雰囲気が継承されている位。やはりテンプターズの曲だもの、そうなりますよね。ところで「雨に消えた初恋」は81年~82年にかけて2種類のカバー盤が出されて、いずれも歌い出しの1行がほぼ同じ歌詞という怪現象が起こっているのですが、歌無歌謡ブログとしてはこれも特筆事項としておきたいところです。