黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

「つぶやき」がXに変わるのであればYとは何なのだ

コロムビア JPS-5213

ポピュラー・ビッグ・ヒッツ

発売: 1970年10月

ジャケット

A1 私生活 (辺見マリ) 🅼

A2 X+Y=LOVE (ちあきなおみ) 🅹

A3 愛は傷つきやすく (ヒデとロザンナ) 🅺

A4 昨日のおんな (いしだあゆみ) 🅼

A5 わたしだけのもの (伊東ゆかり) 🅹

A6 ロダンの肖像 (弘田三枝子) 🅹

B1 希望 (岸洋子) 🅾

B2 つぶやき (森山良子) 🅱

B3 そっとおやすみ (布施明) 🅴

B4 お嫁に行きたい (森山加代子) 🅴

B5 娘は花をまとっていた (ベッツイ&クリス)

B6 泣きながら恋をして (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅵

 

演奏: 見砂直照と東京キューバン・ボーイズ

編曲: 前田憲男

定価: 1,500円

 

昨日紹介した川原パーカッション・ブラザースのアルバムと6曲も被っている、発売もほぼ同時というこのアルバムですが、さすが名門キューバン・ボーイズは一味違うというか、のっけから飛ばしてくれている快作。と言っても、後身のスーパースター’75のアルバムが多少がっかり気味だったのもあり、あまり期待してなかったのだけど。というか、ノーチェ・クバーナ贔屓としては、どうしてもあっち優勢に考えてしまうのがいけないな…パーカッション・ブラザースの未消化に思えた部分を一気に吹っ飛ばしてくれるのはさすがというか、「私生活」の解釈一つとっても、こちらの年季の入り方というか、自信の凄さが伝わってくる。どっちかというと爆走気味のリズムに、豪快に食い込むブラス。ノーチェの「恋の奴隷」のようなヤバさはないが、やっぱこれだと頷くしかないのだ。以下、3/4が自社曲で、さすがの層の厚さ。クラウンの後退り感を前にすると、これこそが王者感なのだと思える爽快な演奏が続く。「愛は傷つきやすく」も一聴して地味だけど、緻密な和声の積み重ねにセンスの良さを感じるしかない。と思えば、「わたしだけのもの」は相当イケイケな解釈。移籍第1弾にしてここまで派手に迎えていいのだろうか?パーカッションも暴れまくり。ジャズ・ロックに大変身した「希望」、奇しくもパーカッション・ブラザース盤同様爽快に解体してみせる「そっとおやすみ」、ぶっ飛びのジャズファンク「お嫁に行きたい」等、後半も飛ばしまくり。「泣きながら恋をして」で極限まで暴走して大団円。前田憲男先生がこちらも同時期に手掛けた原田忠幸のアルバムとも4曲重なってるけど、完全にカラーを使い分けていて凄い。曲のアレンジってのは、こういう風にするものだと派手に主張する1枚。