FUEの間にあるのは、LoveのLとTendernessのT
東芝 TP-7354
ヤング・ヤング・フルート/フランシーヌの場合
発売: 1969年10月

A1 フランシーヌの場合 (新谷のり子) 🅽
A2 恋の花うらない (ビリー・バンバン) 🅶
A3 禁じられた恋 (森山良子) 🆈
A4 さすらい人の子守唄 (はしだのりひことシューベルツ) 🆀
A5 裸足のままで (麻里圭子とリオ・アルマ)☆
A6 フランス人のように (佐川満男)☆ 🅱
B1 美しい誤解 (トワ・エ・モワ) 🅳
B3 山羊にひかれて (カルメン・マキ) 🅺
B4 まごころ (森山良子) 🅻
B5 白いハイウェイ (ブレッド&バター)☆
B6 口笛吹いて (新藤恵美)☆
演奏: 衛藤幸雄/ゴールデン・サウンズ
編曲/作曲(☆): 筒美京平
定価: 1,500円
お待たせしました、口笛の翌日はフルートです!黄昏みゅうぢっくを始めて4年間、これを紹介できたら正に念願と思っていたアルバムがついに登場。あっさり手許に巡ってきましたが、某オークションでジャケットのない白レーベルプロモを落札することさえ叶わなかっただけに、ちょっとこれは奇跡でしたね。確かにこのジャケットがないってのは魅力全滅に近い。正にフルートの響きってこういう光景なんですよ。天然色に映える天然の美。タイトルの字体やカラーリングに至るまで、決まり過ぎ。そして「ヤング」というフレーズ。そこまで若者の理想だったんでしょうか、フルートの存在って。
ロックバンドに映えるというイメージが皆無だったにも関わらず、GSメンバーにフルートが吹ける人は珍しくなかったし。おぼっちゃま体質の現れという考え方を否定はできないけれど、ギターの醸し出す躍動感に加える彩として理想的だったのでしょうか。さらに、この年盛り上がった学生フォーク・ムーヴメントに於いても、音量的に歌の邪魔もしないし、注目が集まってもおかしくない。その気になればすぐに持ち出せる伝家の宝刀。それがいつの間にか、時の流れと共に「お嬢様の嗜み」みたいなイメージに固定されちゃってね。そのせいですよ、このジャケットにそんなイメージ抱いてしまったのも。確かに、タイス・ファン・レアとかイアン・アンダーソンとか、70年代になってロック・フルートを定着させた人たちが固定イメージになっちゃうと、たまったもんじゃないし(汗)。
まぁそんなわけで、ナウい楽器として注目を集めていたフルートの魅力を最大限に引き出したこのアルバムの主導役に選ばれたのは、これ以上の適役はないと思われる筒美京平先生。自作のどちらかというと通好みな選曲を各サイドの最後にさりげなく忍ばせつつ、他者の作によるヒット曲に絶妙の色を加えてみせる。その先頭に立つフルートの音色のヴィヴィッドさったら!やはり良質な演奏じゃないと伝わらない何かってありますね。オープニングの「フランシーヌの場合」からして、テーマの悲劇性を麗しい希望の色に変換するような演奏で、人類に最も必要なのは調和ということを思い知らせる。個人的にスリーパーな筒美作品の中でも最重要作と思っている、水沢美也「愛してそして」に通じるアレンジが聴かれるのが胸熱。通俗性が全く別のものにとって変わったかのような「禁じられた恋」や、サザエさんテイストが入り込んだ「さすらい人の子守唄」など、どの曲にも魔法がかけられてる。当然筒美作品4曲は「公式インスト」のようなものだけに、いずれも素晴らしい出来。ブレッド&バターのB面曲「白いハイウェイ」の選択は何が根拠かと勘繰ってしまうけど、見事にはまっている。最後は皮肉なもので「口笛吹いて」だけど、ロマンティックな瞬間にはいかなる笛も様になりますよね…
「裸足のままで」のリオ・アルマに参加していた横田年昭氏と並び、ガチなフルート奏者として随所で大活躍を見せていた衛藤幸雄氏が繰り出す音色には、なぜか乙女心が潜む。同性でさえキュンとなってしまう、そういう類の乙女心なんですよ。それを生かすも殺すも、周りを固める音次第。こんなアルバム、もう世の中には出てこないんでしょうね…そして、老若男女の皆様!平和のために、唇に笛を忘れずにね!