黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その57: 追悼…ロバータ・フラック

DENON SX-7010

Love Sound Fusion グラミー・ウィナーズ

発売: 1979年7月

ジャケット

A1 コパカバーナ (バリー・マニロウ) 🅱

A2 素顔のままで (ビリー・ジョエル)

A3 ホテル・カリフォルニア (イーグルス) 🅲

A4 やさしく歌って (ロバータ・フラック) 🅲

A5 愛の告白 (オリビア・ニュートン=ジョン)

B1 マスカレード (ジョージ・ベンソン)

B2 恋するデビー (デビー・ブーン) 🅱

B3 愛ある限り (キャプテン&テニール)

B4 愛は面影の中に (ロバータ・フラック)

B5 きみの友達 (キャロル ・キング) 🅱

 

演奏: 横内章次クアルテット/Symphonic Fusion

編曲: 横内章次

定価: 2,500円

 

今回も火曜日は歌謡抜きモードで突進します。2枚ともラブ・サウンド全開…重鎮であるロジャー・ニコルズを失った痛手はでかいですけど、キングのサブスク解禁(それこそ「カー・ペインターズ」まで!)もタイミング抜群ですし、ロマンティックモード全開で行きますよ、火曜日だけは。

79年出たこの盤、「PCM録音」が売りとなっていますが、それこそ70年代初期からフルデジタル録音を探究してきたDENONコロムビアの強み。クラシック、ジャズでの実験を経て、マルチ録音の特性も活かせるポップスの分野にいよいよ進出してきた頃。それこそいい再生環境を得れば、それなりに素晴らしい音で鳴ってくれそうです(当時は磁気テープを経ないでラッカー盤にカッティングする、ダイレクト・カッティング録音も大いにもてはやされてましたね)。横内章次氏のミュージシャン魂が炸裂するこの盤も恐らく、4リズム+オーケストラでダビング作業をほとんど行わず仕上げられたと思われます。マスタリングの段階で補正が加えられているのは確実ですけど。

歌無歌謡でブイブイ言わせていた頃のレコードに比べると、遥かに落ち着いた演奏ではあるけれど、ミュージシャンの引率にはさすがにシビアに臨んでたはずで、メロウでありつつも引き締まったサウンド。70年代ポピュラーを彩った王道のスタンダードに取り組んでいます。意外にもクラシカルなオープニングに改変しているホテル・カリフォルニアが流れ出すと、ついつい「セザンヌの絵のように」が…(爆)。コロムビア故に仕方ないところですが、エンディングを省略しつつもきっちり消化したアレンジで安心して聴けます。「マスカレード」には、こんな使い方していいのかというクィーカの音が…でも、ちゃんとはまっているし、トリッキーなエンディングも横内氏らしい。何せ安心して聴ける名曲ばかり。鮮やかな音像で綴られたラブ・サウンド