四本の弦を辿って明日の音楽界へ綱渡り
ポリドール MR-3122
ベース! ベース! ベース! ふりむいてみても
発売: 1970年7月

A1 ふりむいてみても (森山加代子) 🅸
A2 トラベリン・バンド (クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)
A3 あなたならどうする (いしだあゆみ) 🅺
A4 レット・イット・ビー (ザ・ビートルズ) 🅷
A5 経験 (辺見マリ) 🅹
A6 マルタ島の砂 (ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス) 🅱
A7 悲しきトレイン北国行き (永田英二)
B1 くやしいけれど幸せよ (奥村チヨ) 🅺
B2 明日に向う道 (ショッキング・ブルー) 🅱
B3 燃える手 (弘田三枝子) 🅸
B4 ヴィーナス (ショッキング・ブルー) 🅱
B5 四つのお願い (ちあきなおみ) 🅺
B7 明日に架ける橋 (サイモン&ガーファンクル) 🅲
演奏: 江藤勲とケニー・ウッド楽団
編曲: 川口真
定価: 1,700円
遂に出ました!ベースカテゴリー最後の砦、江藤勲先生のレコード!ポリドールからの『ベース!ベース!ベース!』シリーズは70年から71年にかけて、計6枚リリースされており、リーズナブルな価格で出現することはまずない。とにかく、このベースラインが流れ出るだけで心躍る人は確実に多くいそう。かっこいいドラムブレイクでフロアを沸かせるという、レア・グルーヴ派の「使える盤」の定義と比較すると、より前頭葉に働きかける躍動感をこれらのレコードは秘めていると言えそうで、なるほど高くなるのもしょうがないなと。そして、やはりジャケットがやばいのが多いと。だからこそ、サブスクでより多くの層に届けるにもリスクが高い。個人的には、逆説的に顔をぼかしてしまっている次作『何があなたをそうさせた』のジャケットが構図的に一番好きなのだけど(汗)。この盤はそれに比べると遙かに健康的ですが、やっぱ帯の位置を顔を隠さない程度に動かすことは避けられませんでした(瀧汗)。
まぁそんなわけで、これがシリーズ第1弾。原田寛治『黄金のドラム』シリーズの成功に味をしめて、「次はベースだ」となったのはクラウンと同じ動きになったけど、やはり人選的にはこちらの勝ちかなと感じさせます。ブンブンうなるベースラインを決して曲の中心に押し出すことはせず、それでも目立たせるべきところにはしっかり持ってくるという、アレンジとミキシングの妙味が味わえる。しかもドラム盤のように、予期せぬところに罠を仕掛けることもしてないし、それでも人によってはベース以外全く聴こえなくなる状態になるんだろうから、正に魔法そのものですね。やはり1チャンネル完全にベースに割いて録ってるのでしょうか。「悲しきトレイン北国行き」のイントロではパンまでしていますし。「くやしいけれど幸せよ」は寺川ヴァージョンに比べると小粋にまとまっているけど、底辺で蠢く響きに油断は禁物。終盤畳みかけた末、「明日に架ける橋」で敬虔に締め括っているけれど、そこは手堅さを優先したというところだろう。ポリドールには珍しく、全体的にドラムの響きを抑え気味にしたところもかえって成功じゃないかなと。