黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その58: 大学ノートの裏表紙に…

アトランティック L-6029A

華麗なる愛の魔術師たち ミシェル・ルグランバート・バカラックフランシス・レイ

発売: 1971年11月

ジャケット

A1 嵐が丘

A2 おもいでの夏 🅱

A3 美しき愛のかけら 

A4 恋よ、さようなら 🅱

A5 雨にぬれても 🅵

A6 幸せはパリで

A7 アルフィー 

A8 ハロー・グッドバイ 🅱

A9 雨の訪問者 🅳

A10 ある愛の詩 🅶

B1 シェルブールの雨傘 🅲

B2 風のささやき 🅱

B3 栄光のル・マン

B4 サンホセへの道 🅱

B5 恋の面影 🅱

B6 ディス・ガイ

B7 さらば夏の日 🅲

B8 マッドレー 🅱

B9 あの愛をふたたび

B10 流れ者 🅲

 

演奏: ブリリアント・ポップス77

編曲: 福井峻

定価: 1,800円

 

謡曲以外の演奏ものを取り上げる「歌謡フリー火曜日」も遂に1年分以上のネタを積み上げるところまで来ました。丁度「大衆音楽・秘境巡り」で母体がいかにムード音楽の洗礼を受けたかに触れたばかりなんですが、それらと歌謡曲を同時期に血肉として蓄えたからこそ、いろんな世界が知れたし、抵抗なく様々な演奏スタイルの長所を知ることができたのかもしれません。

丁度この企画が始まって2枚目に『シンセサイザーの魅力/ホーム・コンサートVol.4』を取り上げて、その盤に収録されているディープ・パープルの「BURN」があまりの破綻ぶりに、自分がDJの機会で最も多くかけたレコードの座に躍り出るところまで来たのですが、まさかその曲があんなことがきっかけでクローズアップされる時が来るなんて。余計あのレコードのネタ度が上がっちゃったではないですか。くれぐれも世界平和を破綻させるに及ばない統治を期待したいものです。そう、今世界に必要なのは愛だから。バート・バカラックも歌ってた通りです。

 

その曲こそ入っていないものの、バート・バカラック、加えて主にスクリーンに流暢な旋律を提供し、愛の伝道師と化したミシェル・ルグランフランシス・レイの代表曲を取り上げた100%ラブ・サウンドのアルバムがこちら。一連のワーナー・ビートニックス盤と同じコンセプトで編成されているけど、テーマ故にたたずまいが全然違う。徹底してエレガントなサウンドで終始展開。と言えども、ビートニックスのポリシー故それぞれの曲の演奏時間を徹底的に圧縮しているため、展開の早いラブ・ストーリーを見ているような錯覚に陥るのだ。とかく、今やバカラックのヒップな一面(それこそ「オースティン・パワーズ」的な)ばかりが生き残ってしまったような印象があるけれど、ヨーロッパ流の天然色ロマンスとも違和感なく繋がっているし、一部を除いてこけおどし的なアレンジに走っていない安心感もある(ビートニックスのレコードで、ここまでドラムが控えめな音を出してるのはないはず。特に「恋よ、さようなら」に露呈している)。そんな中、「栄光のル・マンはイケイケに盛り上げるアレンジで異彩を放っているし、エレキ・シタール(しかも妙なエフェクトを上乗せしている)をフィーチャーした「流れ者」の異色さも耳を捉える。ラブ・サウンドに一瞬転じるところさえサイケ的に聴こえる…。ジャジーに徹している「雨にぬれても」も悪くないし。この曲はクラウンの童謡盤に入っている天地総子の歌唱盤がなかなかの珍品です。70年代末期にして、今のJ-popを予見したような言葉の当てはめ方をしてるし。あのシリーズのピンク色の盤(「ビューティフル・ネーム」が入っている!)は未だ探しております…111円以上で買いたくはありませんが…(瀧汗)