というわけで、真の千秋楽がやってまいりました。予告した通り、昨年カウントダウンした上位10曲のラインナップに変動はありませんでしたが、7位以上がドラマティックに入れ替わっています。微々たる数のヴァージョン追加であろうがこの結果とは。というわけで今日は、6月と11月の一時的復活で追加されたヴァージョンを総まとめしてみます。
10位 (⇅10位)
旅の宿 [吉田拓郎] (72/#1) 18ヴァージョン/21枚
🆁石川鷹彦とそのグループ (編曲: 青木望) 23/6/16
ギターのストロークペースが通常の1/2になっている、まったりヴァージョン。小室等とのコラボアルバムが第二版を迎えた時に追加された曲の一つだが、彼の存在感はあまりなく、バックのスライドプレイも石川氏だろう。またしてもフルートがフィーチャーされており、気怠いプレイ。「フォークにっぽん」のクレジットは確認できていないが、木田高介氏の可能性も。ヴァイブは違う人だろう。ちなみにそのアルバムでは「からっぽの世界」も演っています…
8位 (タイ) (⇅8位)
襟裳岬 [森進一] (74/#6) 19ヴァージョン/22枚
🆂コロムビア・フォーク・アンサンブル (編曲: 小杉仁三) 23/11/25
一瞬ジブリの某曲かと思わせるイントロで始まる、清純フォークヴァージョン。さすがにフォークのアルバムで森進一のアレンジは使えないだろう(ビクター盤では使ったが)。ミスター昔の名前こと小杉さんのアレンジは手堅いが、やはり強烈にメロトロンを恋しくなる曲だ。
8位 (タイ) (⇅8位)
京のにわか雨 [小柳ルミ子] (72/#1) 19ヴァージョン/22枚
🆂松浦ヤスノブ/オーケストラ・プラッツ (編曲: 竹田喬) 23/11/15
竹田アレンジなので山内さん大活躍と期待したら、まさかの意表を突くオープニング。オリジナルとテイストの違うイントロも、バックの演奏も忠実にこなす職人ぶり(断定できないけどする!)。ハーモニカとか入って不思議なサウンド作りだが、所々コードが変わっているところに不安定感も。
7位 (↓4位)
時には母のない子のように [カルメン・マキ] (69/#2) 19ヴァージョン/23枚
ベスト10中、唯一新規ヴァージョンがなく、派手にダウンしました…せめて、ジャケットだけでも。(ヴァージョン🅰収録)
6位 (⇅6位)
白いブランコ [ビリー・バンバン] (69/#15) 20ヴァージョン/20枚
🆃石川鷹彦/ニュー・ミュージック・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 23/11/20
前年度19ヴァージョン中8つが非リアルタイムでしたが、これもそう。75年録音で清らかなオーケストラサウンド。石川氏のプレイも職人に徹している。ポール・モーリア以降ではないとできないアレンジだな。フルートは誰だろう(木田氏では絶対ない)。
5位 (↓3位)
風 [はしだのりひことシューベルツ] (69/#2) 21ヴァージョン/21枚
🆄石川鷹彦とそのグループ (編曲: 青木望) 23/6/16
71年の革新的アルバム収録ヴァージョンにしては、スタンダードなアレンジ。当然、原曲をやった人だものしょうがない。同好会の人もこんな風に、ストリングスを従えて演れたら…という憧れを感じさせるアレンジだ。但し、終盤でタンゴに行っていない。
4位 (↓2位)
瀬戸の花嫁 [小柳ルミ子] (72/#1) 21ヴァージョン/26枚
🆄ザ・ゴールデン・ブラス (編曲: 鈴木邦彦) 23/6/25
一瞬、黒い炎が上がりそうと思わせといて、メロウに進行するブラスサウンド。故郷に取り残された幼い弟のメランコリーが静かに炸裂していく…
3位 (↑5位)
港町ブルース [森進一] (69/#1) 22ヴァージョン/23枚
🆃カンノ・トオルとブルー・クインテット/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 福島正二) 23/6/12
ここからが急上昇パート、69年のアルバムが大挙追加された効果が出ています。🅺の鶴岡雅義盤と同じようなアレンジながら、奏者の個性がくっきり判別。どっちも同じようなプレイ、と片付けちゃいけないのですよ。タッチに個性が出ているので。こっちの方が若干水商売色あるかな。「伊勢佐木町ブルース」と同じアルバムに入っているし。
🆄ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29
ハワイアン・サウンドで奏でられるとやはり異国の港という感じがするが、場末色は濃い。軽いメロディこなしだけど、中の人がオッパチさんという説にちょい疑問も。
🆅ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: 無記名) 23/11/30
ミックが叫び出しそうなイントロから、意表を突くラテン・ビートへ。さわやかに冴えまくるフルートは、下世話なブルース色を一掃している。やはり沢村和子なのだろうか…
2位 (↑6位)
禁じられた恋 [森山良子] (69/#1) 23ヴァージョン/23枚
🆃木村好夫とフォーク・サンズ (編曲: 木村好夫) 23/6/18
上位2曲は奇しくも、同じラインナップの4ヴァージョンが追加。しかも、山上路夫ワンツーフィニッシュに変わりがありません。これは凄い。彼の生命力共々称えたいです。これはサブスクにもあるレインボー・オーケストラのヴァージョン🅵によく似ている(レーベルも同じ)が微妙に違い、好夫の12弦プレイを堪能できる。フルートも小気味よく絡み、全体的に軽めのサウンド。キハーダも使用。
🆄松浦ヤスノブ、テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 23/11/13
ヘヴィな山倉サウンドが地獄へと誘う、と思いきやキハーダの代わりにハープが入り、ヘヴンリーなムードも。執拗なテナーの向こう側に清らかな涼川先生の歌声を夢想するのだ…テナーを引っ込めた2番もマジカルに誘惑する。この人にはほんと脱帽です。
🆅ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29
せこい楽園サウンドは執念のかけらも感じさせず、ありふれた風景へと連れ戻してくれる。キハーダの箇所に何も(ブレイクさえ)入れてないのは珍しいし、このプレイはオッパチさん色が濃厚。フルートはまさか沢村さんじゃないですよね…
🆆ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: ?) 23/11/30
こちらはオリジナルのジャングル色をさりげなく強調。2小節毎に律儀にキハーダが入っているし(Bメロを除く)、フルートのメロも若干飾りあり。ベースまでジャングルビートに徹しているのも面白い。と思ったら、2コーラスで正統派ラテンサウンドへ。「ふっ!」とか言ってくれたら、ピーターパン特定しちゃうよ(汗)。でもほんと、この清らかなフルート、ラテン野郎というより沢村さん色を妄想できる(瀧汗)。
ちなみにこの曲は21年末の段階では7ヴァージョンしか集まっていなかったので、物凄い勢いで追い上げたことになります。あの時は「心もよう」が11位だった…(現54位)
そして、やはりこの曲が不動の1位です…しかもヴァージョン大幅追加で独走体制。未踏の🆉は目前に迫っている…
1位 (⇅1位)
或る日突然 [トワ・エ・モワ] (69/#4) 25ヴァージョン/27枚
🆅木村好夫とフォーク・サンズ (編曲: 木村好夫) 23/6/18
純粋なアコースティック・フォーク・ヴァージョン。ギターは3本入っているが、両サイドのプレイは好夫ではないだろう。他にさりげないベース、ちょっとしたシェイカー(卵形ではないだろう)のみ、ここまで潔いヴァージョンは珍しい。ドラムの不在に気付かない程。
🆆松浦ヤスノブ、テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 23/11/13
ハープの一撃で一気にゴージャスな世界へ。ビートを効かせつつ山倉マジックを全開させ、『天使のスキャット』のジャケットのイメージそのもののサウンドを展開。涼川先生の曲だと「あなたのとりこ」に近いイメージだ。そこまで下世話ではないけれど。テナーもファンキーな響き。
🆇ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29
イントロもしっかり演っているけれど、どうしてもせこい楽園色が…なんか萎縮してるようなスチールのプレイが、うつむき気味な乙女の面影。これはオッパチさんだろう。頬を赤らめたようなフルートの音が優しく寄り添う。ほんとアンパンだと思う…
🆈ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: ?) 23/11/30
軽めのイントロから、歌い出しの1音に1オクターブ下の音が見え隠れし、激萌え…これ、ガチフルートプレイヤーにとってはまじで忌み嫌われるやつだけど、自分もフルートやってるのでよく解ります。歌無盤のような急造要素が強い商品においては、これがあるとかえって安堵に襲われる。そして2コーラスでノリノリの世界に。フルートもギアが入ってきて、フレッシュなプレイだ。以上も踏まえて、やはり沢村和子だと思う…
というわけで「ホセ・ルイス=沢村和子」説を陰謀論のように唱える回になってしまいましたが(瀧汗)、これで本年度の黄昏みゅうぢっくはお開きです。ぼちぼち、びっくり新ネタも集まり始めているし(示唆した通り8トラックも!)、次なる復活は案外早いかもしれません。それでは、よいお年を…