黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無ベスト10・第1位

最初の1年ノンストップ更新をキメた後も、427日に延長したり11月に突如復活したり、律儀にやってきた黄昏みゅうぢっくの令和4年も無事今日お開き。最後くらいはということで、実にお正月以来となる「書いたらすぐアップ」モードでお送りします。

 

458枚全てから算出したカウントダウンも、今日でお開き。中間発表では「風」の独走状態だった1位の座ですが、一瞬「瀬戸の花嫁」が追い抜いた時期を経て、昨年暮れの段階では20位だったこの曲が猛烈に追い上げ!作詞・作曲・歌唱者全てご存命(小谷さんは90年お亡くなりに)という、最早奇跡な曲に花を添えました。しかも山上氏はワンツーフィニッシュ!歌詞の聞こえない場所でも強さを発揮する結果に。が皮肉にも、オリジナル・ヴァージョンがサブスク配信されていません…参考音源として、作曲者自身の演出・共同歌唱によるリメイクが残されているので、まずはそれをお聴きください。

 

1位

或る日突然

歌: トワ・エ・モワ (山室英美子&芥川澄夫)

作曲: 村井邦彦

作詞: 山上路夫

編曲: 小谷充

69年5月14日発売/オリコン最高位4位

 

🅰山下三夫/阿部源三郎 (ギター)、テイチク・ニューサウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 21/4/2

構造はそのままに、さりげなく魔法を加えて一味違うイントロにしている山倉マジック。この曲の肝はイントロにあるので、重点的に耳が行きそう。涼川サウンドの極致的要素を所々に加え、聴きごたえ充分の出来。そんな中、力を抜き気味のリズムギターが意外に目立っている。

『魅惑のギター二重奏 雲にのりたい』

🅱ロス・ガートス (編曲: 甲斐靖文) 21/4/24

イントロを簡素化している割にせこく感じないのは、『ギターの秘密』を彩るオーラ故。「アンド・アイ・ラヴ・ハー」的タッチでまとめたシンプルなアレンジ。

🅲ゴールデン・ポップス・オーケストラ (編曲: 森岡賢一郎) 21/7/9

超ライバルのアレンジに一瞬刃向いたと思わせて、さりげないリスペクトも取り入れてのイントロ。ジェントルな音色使いで、決してチープなインストにしていない職人仕事。ここまで料理できてこそアレンジャーと呼びたい。

🅳いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/8/2

雰囲気はそのまま一気に場末化。このギターの音色があると気分的に落ち着く。プロポーズの邪魔をしないサウンド

🅴木村好夫 (ギター)、宮沢昭 (フルート)/レインボー・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 21/9/25

イントロを鉄琴でやっているので🅳の続きっぽいイメージ。なんかベースが気合入ってないという印象を、瑞々しいフルートが一蹴する。奏者の顔が見えているのに、めちゃ乙女像が浮かぶ…

🅵バロック・メイツ+スィンガーズ・スリー (編曲: 小川寛興) 21/10/3

最高傑作。イントロのコードが一部簡素化されているのも逆効果ではなく、エレガントなサウンドの魔法の犠牲になる。シンガーズ・スリーの歌声が入ってくると、空気は直ちに花園へ。2コーラスに入る寸前から伊集さんが舞い始め圧巻!さりげなく支えるフルートの響きと一体化。素晴らしすぎて、安いコーヒーじゃ不釣り合い。

『フォークの世界』

🅶ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/10/24

エレガントな響きを生かしつつ、イントロの仕上がりは多少せこい。ギターのチューニングもちょいずれてるけど、🅰にさえ多少感じたのだから甘く見よう。所々オカリナを入れたり、バスドラの響きがシャープだったりというのが75年録音らしい。

🅷コロムビア・オーケストラ (編曲: 河村利夫 or 山路進一) 21/11/7

何事か、「愛のさざなみ」が始まりそうなイントロが、山田書院らしい配慮の結果。多少せこいながらもエレガントさは生きている。恐らくサックスも河村氏の演奏で、山路アレンジという線はなさそう。2コーラスでは居心地の悪そうなピアノが目立つ。

🅸クイーン・ノート (編曲: ミッチー・シモン) 21/11/13、22/4/5

オルガン中心のサウンドで麗しさを軽減している上、テンポアップしていて、アルバムタイトルにするほどの力加減は感じられない。さりげない渦巻き音とエコーの使い方が、この曲のときめき感に色を添えている。

🅹クラウン・オーケストラ (編曲: 福山峯夫) 21/12/22

77年のフォークアンソロジー盤では顔を取り去られたクレジットになっているが、クラウン名物ながら単独盤は意外とレア化している飯吉馨のチェンバロ演奏盤よりの抜粋。クラウンらしい場末感充分のサウンドに、シャープなステレオ録音でチェンバロがトッピング。77年のマスタリングで余計目立つその響きだが、当時のプレス(しかも劣化した状態では余計)では果たして味わえたのだろうか…

🅺藤田都志 (第一琴)/久保茂、上参郷輝美枝 (第二琴)/山内喜美子 (京琴)/杵屋定之丞、杵屋定二 (三味線)/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 山田栄一) 22/1/18

美麗なヴァージョンを聴いた後だと余計異様に聴こえる純和風サウンド。イントロ各小節の1拍目の音を抜いているのもユニークだし、9小節目のコードを変えて一瞬「悲しくてやりきれない」に変わるのかと錯覚させたり、せこいアレンジがむしろ美麗化に転換している。京琴の乙女的響きを地味にサポートする三味線を憎むことができるか!これもまた曲本体の魔術。この響きで「Pretender」あたりを聴きたくなる…

🅻木村好夫とザ・ビィアーズ、堀口博雄 (ヴァイオリン)/トミー・モート・ストリングス・オーケストラ (編曲: 小谷充) 22/2/18

自ら考案したイントロを大胆に解体して再構築する小谷充美学。まさかのオープニングも、曲に入ると手堅くまとめる展開に。さりげなくも好夫タッチが生きまくるギターに、ヴァイブが色っぽく寄り添う。

🅼Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

恒例の69年フォークトライアングル(🅽🆀含めて)はこの曲でも揃い踏み。第1回国文社らしいせこさもこの曲を殺していないし、フルートの色彩感で余計心を踊らせる仕上がりに。2番の後半で転調するあたりにマジックが効いている。

🅽広瀬三喜男/(オーケストラ名記載無し) (編曲: 利根常昭) 22/3/21

カレッジフォーク色濃厚なアルバムの中ではちょっと異色、フルートアンサンブルや低音のクラリネットを加えて、文系女子学生の団欒的仕上がり。ちょっとだけジャズ的感触があるのはドラムのせいか。エンディングに工夫が伺える。

🅾有馬徹とノーチェ・クバーナ (編曲: 今泉俊昭) 22/3/26、22/11/27

攻めに攻めたアルバム『恋の奴隷』の中では比較的ポップ色が濃いアレンジ。ストリングスを加えて明朗さが際立つ。演奏の名人芸は聴いてて安心できる。音数が多い箇所ではドラムが居心地悪そうだが…

🅿︎吉岡錦正、吉岡錦英 (大正琴)/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 福島正二) 22/3/28

ギターコード一発から間髪入れずに大正琴が炸裂。押し込みまくりのテイチクサウンドの中を、我が道行かんと駆け抜けるその響きは、曲のイメージもお構いなし。所々炸裂するタムのフィルも、テイチクカラーをさらに助長する。

🆀ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

ほぼ完全にギターだけで演りきったイントロ(5小節目からフルートが入る)がむしろ新鮮。同好会的ムードが充満しそうでしないのも、曲の魔法故。ウッドベースの響きがむしろ目立つ。

🆁ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 22/4/17

このベスト10を通じて「普通」の代名詞となった感がある(!)ゴールデン・サウンズだが、むしろこのヴァージョンは普通っぽさが希薄。テンポを上げて簡素化を強めているのは🅸同様、自社の仕打ちっぽくないな。ギターの自己主張ぶりがカラーを決定づけている。好夫っぽいが多分違うだろう。

🆂ユニオン・ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/4

イントロが何故か「ブルー・ライト・ヨコハマ」っぽい。クラリネットの響きに萌えていると、賑やかなブラスが入ってきて一気にゴージャスに。ヴォーン的和声使いが純愛的要素よりさらに奥に踏み込む印象を与えている。

🆃グリニッチ・ストリングス (編曲: 石川皓也) 22/11/8

多少せこさはあるが、ストリングスの美麗な響きが最大限に生きたアレンジ。その上でドラムも目立たせているのが、この名義ならではのモダン感の産物。シンプルな演奏なのに存在感充分だ。

🆄テディ池谷クインテット (編曲: テディ池谷) 22/11/26

年の瀬にふさわしいゴージャスな演奏。高級レストランの閉店10分前というイメージが横切る。こんなサウンドにもちゃんと鉄琴が入っていて憎めない。

 

以上、21ヴァージョン (23枚収録)。それでは、多幸な2023年を祈りつつ、次なる復活の日まで…既に数枚ヤバい盤が列に加わっており、復活の日は必ず来ます。

貼るのは例によって、この曲ですが…あれっ?「ひとりの悲しみ」もあるよ!

 

紅白歌無ベスト10・第2位

上位7曲中、唯一69年でない曲が滑り込み!色々とミステリーが渦巻くヴァージョンが並び、ほんと歌無歌謡って奥深いと思い知らされる。そして、まさかのワンツーフィニッシュ(ネタバレ)!

 

2位

瀬戸の花嫁

歌: 小柳ルミ子

作曲: 平尾昌晃

作詞: 山上路夫

編曲: 森岡賢一郎

72年4月10日発売/オリコン最高位1位(4週)

 

🅰山下洋治とハワイアン・オールスターズ (編曲: 山下洋治) 21/4/17、22/11/5

南国ムードに違和感ないことは、後の「恋にゆれて」登場により立証されたことを予感させるヴァージョン。飾らないプレイで曲の良さが引き立つ。スチールで律儀にカモメ音を出し、ウクレレのさりげないリズムも魅力的。

🅱ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 21/4/19

ちょっとだけテンポアップ。奥行きの深い4chミックスが南国的爽やかさに誘う。高く舞うフルートが乙女心をアピールし、四方からブラスが押し寄せる。

🅲ミラクル・サウンズ・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/5/8 

フォーク色が加わった演奏に乗せ、鍵ハモが誘うミラクルサウンズの真髄。片隅でどっしり構えるコンガの存在感にも注目。

🅳ジャパン・シンフォニー・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/5/22

マイナーレーベルならではのせこいサウンドだが、歌無歌謡としてどの線を意識したかが明確になりなかなか興味深い。Bメロでドラムが無駄に走ったり、カウンターメロディを入れたりでなめられないが、手持ちの盤ノイズまみれで哀しい…

🅴市原明彦 (ドラムス)/ワーナー・ビートニックス (編曲: 原田良一) 21/5/28、10/18、22/3/31 

自社ネタながらさりげない実験心が生きた、ビートニックスの面目躍如なヴァージョン。ドラムは派手に自己主張するのを抑え、シャープな響きを押し出すことに専念。最後ブレイクビーツのみになり、フェイドアウト

🅵エマノンストリングス楽団 (編曲: ピーター・ギブス) 21/6/12

こちらもピーター・ギブスにしては抑え気味のアレンジで、曲の良さに飲み込まれていない。コンガは珍しくアタック音が効いている。Bメロで地味にベースが暴れる。

🅶金成良悟 (フォーク・ギター)、ビクター・オーケストラ (編曲: 舩木謙一) 21/6/13 

カントリー・ロード」(JTの方)的感触を活かしたフォーク・ムード。この洗練された70年代感は王道曲故の楽しみ。Bメロのフルートに『さわやかなヒット・メロディー』のリコーダーの予兆も。全体的にメロディを跳ね気味にしていて、一瞬薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべたくなる展開も(爆)。

🅷山内喜美子とオーケストラ・プラッツ (編曲: 竹田喬) 21/7/23

一気にせこい和風サウンドに超転換。左右で琴がフレーズを分け合い、中央で京琴が異様なタッチをもたらす。直感でこなしているような音選びに山内さんの意地が。さりげないパーカッションも聴き逃せない。このヴァージョンが「京のにわか雨」に影響をもたらしたのか?

🅸原田寛治(ドラムス) オールスターズ (編曲: 前田憲男) 21/8/18、22/4/10

大暴走するドラムを軸に激しくテンポアップ。タムのチューニングを下げまくり、音場をせわしく駆け回るドラムには純情をもてなす素振りもない。フルートも怯え気味。

🅹三笠輝彦 (テナー・サックス)/ブリリアント・ポップス77 (編曲: 小谷充) 21/8/22 

こちらは自社なりに慎重な扱いが伺えるが、イントロの3・4小節目が1・2小節目の繰り返しになっていてちょいしらけ。三笠輝彦とまぶち・ゆうじろうの中の人が同じというのは真相なのだろうか…ここではかえって奔放気味の演奏だ。

🅺奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ (編曲: 岩井直溥) 21/9/11

『今宵踊らん』らしく、跳ね回る予感のイントロながら、曲に入るとむしろオリジナルに忠実な解釈だ。ここで🅳に戻ってみると、このヴァージョンと🅹がアレンジに何となく影響を与えているという気もするが、これでは終わらないのである…ラストは例によって大敬礼モード。

🅻アート・ポップス・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/10/27

こちらもマイナーならではのせこさがあるが、🅳ほどではない。場末のビッグバンドという印象で、78年のカラオケ盤に入っているという感じが希薄。メロを奏でるギターの音量も通常。大団円の大敬礼モードが取ってつけたような感じだ。

『カラオケレコード 青春のうた』

🅼ブルーナイト・オールスターズ (編曲: 土持城夫) 21/12/1、22/3/14 

イントロのカモメ音は果たして何で出しているのだろう、ピッチに安定性がない…TNKを聴いて研究した素振りもない。こちらも🅳に影響を与えてそうな妙なオルガンなど、不思議と耳に残る要素が多いブルーナイト・サウンド

🅽MCAサウンド・オーケストラ (編曲: 無記名) 22/01/10

🅼よりガチなサウンドながら、アレンジの印象が酷似(妙なオルガンの音色設定も同じ)しているので、こちらも土持城夫アレンジと思われる(MCAの前作には彼のクレジットがある)。ストリングスの力の入れ方に、ビクタースタジオの意地が伺える。カモメ音はどうやらテープ逆回転で作っているようだ。TNKを聴いて研究した成果か?(爆

🅾マーキュリースタジオグランドオーケストラ (編曲: 無記名) 22/3/7 

🅻とオケが同じながら、メロを奏でるギターがオクターブ低く、こちらの方がせこくつまずき気味。Bメロがリコーダー的タッチのフルートなのも違う。オンタイムで世に出たのはこっちなので、オケだけのトラックに新たにメロを乗せたのが🅻と見ていいか。まさかマルチが6年も残ってるはずないし。マイナーレーベル界にはこういうミステリーが多く、めっちゃ悩まされそう。時にミノルフォン等メジャーも絡んでくるし。

🅿︎大野雄三 (ハーモニカ)/ワーナー・ビートニックス (編曲: 青木望) 22/3/19 

ワーナー3つ目のテイク(ツウィン・ギターズと口笛盤もあるので都合5種類! 早く集めなきゃ)。ハーモニカの美味しさを活かすため、控えめなアレンジでまとめているが、「嫁いで」のとこのコード変更にこける。マリンバがさわやかな印象をもたらしている。バス・ハーモニカが炸裂し始める2回目のBメロで唐突にフェイドアウトするのが惜しい。

🆀前田憲男とそのグループ (編曲: 前田憲男) 22/3/20

一気にお洒落感を増したアレンジで、大爆走する🅸と同じアレンジャー仕事なのが信じられないが、いずれにしても異色。ブレイクビーツ感に溢れるドラムや、メジャー7thの多用など、この曲のイメージを破壊するタッチながら嫌味になっていない。2番のBメロの料理法はさすがにヤバすぎだが、ダメ押しのように再転調してBメロをもう1回追加している。 

🆁山内喜美子 (琴)/キャニオン・オーケストラ (編曲: 小杉仁三) 22/4/19 

派手なテイクの後聴くと身に染みる山内サウンド。🅷の実験性がない分、曲の良さがストレートに伝わる。こちらは「京のにわか雨」が同じ盤に入っているので、ついでにサービスといった印象。

🆂稲垣次郎 (サックス、フルート)/コロムビア・ニュー・ビート (編曲: 荒川康男) 22/5/1 

こちらもウエスト・コースト・サウンドのニュアンスが持ち込まれた洗練されたアレンジ。ヴェンチュラ・ハイウェイに飛び出したくなる。次郎サックスは下世話さを持ち込んでいるというより、ジャズタッチを控え目に加えている感じだ。アルバムの他の荒川康男アレンジ曲の野性に囲まれると、清涼剤的な印象。

🆃吉岡錦正、錦英 (編曲: 竹村次郎) 22/5/20

最後は守りに入っての大正琴ヴァージョン。必要以上にIに戻りすぎるコードアレンジに違和感があるが、心が落ち着くサウンド

 

以上、20ヴァージョン (25枚収録)

おまけ: 🅳のイントロの気まぐれなギターの出所、この寺さんヴァージョンだった!抜け目ない。

 

紅白歌無ベスト10・第3位

いよいよ上位3曲。演奏者的には顔ぶれが固定してきたという感じですね。

 

3位

歌: はしだのりひことシューベルツ

作曲: 端田宣彦

作詞: 北山修

編曲: 青木望

69年1月10日発売/オリコン最高位2位

 

🅰ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 中山順一郎、河屋薫) 21/4/16

テイチク名物の「例のノイズ」をさりげなく配しつつ、オールディーズテイストで可憐に飾ったブラスポップ。2番のドラムはブレイクビーツに使えそう。

🅱ロス・ガートス (編曲: 甲斐靖文) 21/4/24

『ギターの秘密』らしいパーカッションの刻みが心うきうき。エコーに包まれながらシンプルに、深みに誘い込んで行く。

🅲いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/5/3

クラウンらしい場末サウンド。大体「時には母のない子のように」と顔ぶれがほぼ同じなので、聴き比べの印象も似るのは仕方ない。

🅳秋山実とニューサウンド・グループ (編曲: 竹村次郎) 21/6/2

フォーキーな若々しさを前面に出し、ミノルフォンカラーがそれほど感じられない演奏。12弦ギターを2回重ねて重厚に奏でる。さりげないマリンバの登場に耳が止まる。 

🅴ゴールデン・ポップス・オーケストラ (編曲: 森岡賢一郎) 21/7/9

多彩な音を積み上げて正統派歌謡イージーリスニングに。森岡賢一郎のガチな仕事は手加減しない。

🅵カンノ・トオル (スチール弦ギター)とフォークギター・グループ (編曲: 福島正二) 21/8/7

例のノイズが12秒も続いた後、小粋なフォークアンサンブルへ。ギターの本数も「禁じられた恋」ほど多く感じず、同好会テイスト。

🅶木村好夫 (ギター)、宮沢昭 (フルート)/レインボー・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 21/9/25

好夫の12弦エレキが聴けるのは貴重。スタンダードな演奏ながら快調に飛ばしていく。フルートは2回重ねているというより、他の人と同時に奏でている感じ。エンディング近くはPPPH仕様になっている(汗)。

🅷バロック・メイツ+スィンガーズ・スリー (編曲: 小川寛興) 21/10/3

ゆったりとしたムードに高貴なストリングスが加わり、さりげなくコーラスが盛り上げる。オルガンの妙な音色も効果的。2番では一転してシンプルに。シンガーズ・スリーの各メンバーの声質を効率よく聴かせている。

🅸猪俣猛オールスターズ (編曲: 小泉猛、八木正生) 21/10/16

2年経った後の解釈らしいフォークロックアレンジ。イントロでさりげなく、高音部で自己主張する寺川ベース。石川鷹彦印が炸裂するギターも聴きものだ。ドラムはニュービートと違って、脇役に徹する…と思ったら2番後半から爆走を開始。寺川ベースも暴れる。思いっきり派手に録っていないところは流石にビクター洋楽部らしい。

『恋人たちのフォーク・ロック』

🅹ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/10/24

こちらも75年以降の録音なので幾分違う印象。69年ではあり得ないフェイズギターを除くと、それほど斬新な味付けはしていないが、やはり録音技術が進んでいる。

🅺クイーン・ノート (編曲: ミッチー・シモン) 21/11/13

渦巻きオルガン一発で印象が一気に内省的に。目立たないけどイントロの右チャンネルのギターが幽玄に手招きしてくる。隠れていたダークサイドの蠢きを感じさせながら、エンディング近くで晴れる。

🅻黛はじめ(アルト・サックス)とスイング・オーケストラ (編曲: 川上義彦) 21/11/27

スタンダードなアレンジをゴージャスなブラスで上塗りされるだけで、ここまで印象が変わるとは。対象年齢が少し上がった感じ。

🅼クラウン・オーケストラ (編曲: 福山峯夫) 21/12/22

77年のフォークアンソロジー版では福山峯夫アレンジとなっているが、恐らく「あなたと夜とミュージック」からの転用ではないか。ゴージャスなピアノで夢幻の世界へ一直線。

🅽クリスタル・サウンズ (編曲: 無記名) 21/12/26

76年形アプローチで敢えてオリジナルに忠実に。クリスタル名義ではあまり味わえない、ジュン・ナンバラモードのギターが主導。タンゴ峠を越えると一気にポップに転ずる。

🅾横内章次 (ギター)/ブルー・ドリーマース (編曲: 横内章次) 22/1/7

オリジナルに敬意を表しての横内サウンド。霧のようなオルガンが独特のタッチを加える。

🅿︎Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

イントロに色彩を加えるフルートがユニーク。国文社も音源制作は東芝が行っていたので、全体的感触は🅺🅾によく似ている。

🆀広瀬三喜男/(オーケストラ名記載無し) (編曲: 林一) 22/3/21

一気にノリがシンプル化。テクニカルなギターを際立たせながら、静かな音の波に誘う。

🆁ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

こちらも同好会モード。Meyer盤、広瀬三喜男盤とのセットは69年フォーク曲の必然みたいなものなので、まぁしょうがないか。

🆂トミー・モート・ストリングス・オーケストラとザ・ビィアーズ (編曲: 小谷充) 22/4/20

大胆なイントロに始まり大改造を施しつつも、好夫ギターを効果的に聴かせる技もの。エンディングに被さってくる口笛が怖い。これはサイケかも。

🆃筒美京平とクール・サウンズ (編曲: 筒美京平) 22/11/11

あっと驚く筒美京平の技もの。これはもう、実際聴いて頂くしかないでしょう。自社ものなのにあーた…さーて、明日の黄昏みゅうぢっくは…

 

以上、20ヴァージョン (20枚収録)

紅白歌無ベスト10・第4位

この曲を19ヴァージョン続けて聴くと真に絶望の淵へ…と思われたが、そうでもないのがやっぱり歌無歌謡の魔法。歌い手本人に伝わりますか果たして…(瀧汗)

 

4位

時には母のない子のように

歌: カルメン・マキ

作曲: 田中未知

作詞: 寺山修司

編曲: 山屋清

69年2月21日発売/オリコン最高位2位

 

🅰いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/5/3、8/2、12/22

シンプルに、飾らずに、場末カラー。77年発売のフォークコンピにもこの音源が流用されていて、一瞬異次元の世界へ。

🅱秋山実とニューサウンド・グループ (編曲: 竹村次郎) 21/6/2

ちょっとだけ洗練された感じ。ミノルフォン故、浜恵子の「夏の終わり」に通じるテイストもなんとなく。

🅲テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 21/6/9

イントロから幻惑の世界に誘う山倉サウンド。ダウナーなテンポ感、ドラマティックな音配置で、尾花ミキ「文字のない手紙」に与えた影響を露呈する。

🅳ゴールデン・ポップス・オーケストラ (編曲: 森岡賢一郎) 21/7/9

森岡賢一郎らしいゴージャスなカラーを添えて、なかなかの聴き応え。ちょっと「砂漠のような東京へ」のテイストもある(笛は入っていないが)。レーベル故か。

🅴吉岡錦正、吉岡錦英 (大正琴)/クラウン・オーケストラ (編曲: 福山峯夫) 21/7/14

どダウナーなんだけど、曲のカラーのせいで「禁じられた恋」ほどの異常さはない。無表情な大正琴もストレンジな響きを感じさせない、曲の魔法。所々コードが合ってないのはむしろ幻想的だ。

🅵ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/8/1

フルートのアンサンブルがラブリーすぎて、この曲とは思えない華々しさを醸し出している異色ヴァージョン。めちゃ癖になりそう。バファ◯ンが効いてくる…(汗) 2番のアルトフルートが深刻な表情でむしろ妙だ。

『七色のしあわせ/シンギング・サウンド

🅶カンノ・トオル (スチール弦ギター)とフォークギター・グループ (編曲: 福島正二) 21/8/7

律儀に波の音をイントロに入れた、比較的忠実なヴァージョン。フォークを志すと安心して付き合えるな。

🅷木村好夫 (ギター)、宮沢昭 (フルート)/レインボー・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 21/9/25

イントロでコードチェンジしているのがむしろ安っぽい。好夫は地味な役回りで、フルートがメインで軽さを醸し出している。Bメロでグルーヴィになったり、2番で転調したりと、意表を突く展開。

🅸バロック・メイツ (編曲: 小川寛興) 21/10/3

『フォークの世界」らしい高貴なタッチ。チェンバロが入っているのがこの曲の絶望感を軽減している。コーラスを入れる余地はなかったのかも。

🅹クイーン・ノート (編曲: ミッチー・シモン) 21/11/13

テンポ的には最もダウナーなヴァージョンで、故に4分近い。イントロから例のオルガンが渦巻き、絶望の世界に誘う。ここまで落とすと「からっぽの世界」を幻聴しそう。エンディングがGSマナーのメジャー締めでびっくり。

🅺黛はじめ(アルト・サックス)とスイング・オーケストラ (編曲: 川上義彦) 21/11/27

柔らかいブラスアンサンブルが、逆説的に明るさをもたらすけれど(2番など賑やかな印象)、「今宵踊らん」のように踊れることはない。ポリドールでドラムが完全に聴こえない演奏は珍しい(入ってはいるけれど)。

🅻荒尾正伸 (トランペット)/オールスターズ・レオン (編曲: 小谷充) 21/12/18

トランペットが低い音で誘惑し、ちょっと他と違うロマンティックな雰囲気。Bメロをハーモニカに譲っているのも効果的。「話せない」のところでコードチェンジするのは不意打ち。2番では多重録音を駆使して盛り上げる。

🅼横内章次 (ギター)/ブルー・ドリーマース (編曲: 横内章次) 22/1/7、4/5

チェレスタに始まりシンプル化。クインノート印のオルガンも入り、フォークギター的要素を取り去っているのがユニーク。さりげない工夫が意表を突く展開をもたらす。

🅽鶴岡雅義 (レキント・ギター)/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 22/3/10、3/26

🅲ほど冒険していないものの、手加減しない山倉サウンド。🅲も鶴岡雅義の演奏に聴こえたが、さすがにこちらの方がガチ。例のノイズ入り。チージーなオルガンも効果的。

🅾Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

かなり落としてくる。リズムに捉われない気味のフルートが安堵の要素を持ち込んでいるが、マスターテープの回転を落としたように聴こえる演奏だ。

🅿︎木村好夫/(オーケストラ名記載無し) (編曲: 川口真) 22/3/21

シンプルな演奏ながら、重厚に包み込むストリングスはガチ仕事。2番の演奏に好夫カラーがよく出て、アルバムの他の曲と好コントラスト。アレンジャーのカラーはこの曲の聴き比べに楽しさを提供してくれる。

🆀ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

ハーモニカと鍵ハモが左右でやりとりするアレンジが面白い。12弦ギターのリードも含めて、フォーク同好会的なカラーが支配する演奏。工夫がないとむしろ安心して聴ける。

🆁尾田悟 (テナー・サックス)/ザ・サウンズ・エース (編曲: 池田孝) 22/4/24

イントロのギターは「花嫁」的テイスト。予期せぬ軽さとジャジーなサックスが調合してユニークな印象。2番の転調でより明るくなる。フルートのアドリブの音選びがさらなる不思議色に。

🆂ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/10

最後に池田孝2連発。リズムアレンジは🆁に似ているが、ビリー・ヴォーン印のブラスアンサンブルで余計明るさを醸し出す。イントロが完全にないのもユニークだ。

 

以上、19ヴァージョン (23枚収録)

紅白歌無ベスト10・第5位

森さん2曲目。面白いところを見つけにくい曲ではあるが、全ヴァージョンに共通しているのは「オリジナルより短い」ということだ(爆)。

 

5位

港町ブルース

歌: 森進一

作曲: 猪俣公章

作詞: 深津武志/なかにし礼

編曲: 森岡賢一郎

69年4月15日発売/オリコン最高位1位(5週)

 

🅰スターライト・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/4/28

ステレオセパレーションが明確にしすぎる「後年の録音」。このギターは好夫のようで好夫じゃないな…結構ぶっとい音を出しているし。

🅱ミラクル・サウンズ・オーケストラ (編曲: 池多孝春) 21/5/20

村岡さんと山内さんをフィーチャーしたアルバムに入っているが、両者とも登場せず、三味線がフィーチャーされている異色アレンジ。かなりの咽び泣きぶりだ。

🅲松浦ヤスノブ (テナー・サックス)/コロムビア・オーケストラ (編曲: 河村利夫) 21/5/29

77年発売の『KISSアルバム』に入っているので、マスタリング的に綺麗な音であるが、69年のオーセンティックな録音。むせび泣くヤスノブ印のテナーに続いて、完璧に好夫モードのギター。ノークレジットでも明白な音だ。

『軽音楽による昭和の流行歌 その五/高校三年生~北の宿から』

🅳テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 21/6/9、22/3/26

これもノークレジットながら、松浦ヤスノブをフィーチャー。イントロの不安定なベースにかえって山倉テイストを感じ、スリリングな出来だ。繰り返される転調の中、あてもなくフリーフォームにメロディについて行くサックス。職人芸。

🅴ゴールデン・ポップス・オーケストラ (編曲: 森岡賢一郎) 21/7/9

セルフリアレンジなのでそこまで音律をいじっていないが、なかなか良質な録音で69年を感じさせない。こちらをKISSアルバムに入れてもよかったかも。

🅵吉岡錦正、吉岡錦英 (大正琴)/クラウン・オーケストラ (編曲: 福山峯夫) 21/7/14

「禁じられた恋」のように大胆に崩していない分、安心して聴ける。チージーなオルガンと大正琴のアンバランスさに刺激を感じる。

🅶ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/8/1

シンギングヴァージョンが2つあるが、こちらはフルートを前面に出してファンシーに誘惑する異色ヴァージョン。天然色の雨傘をさす乙女が目に浮かぶこの曲はちょっと想像できない。間奏と3番にちょっとだけエディ・P印のギターが。

🅷いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/8/2

大正琴ヴァージョンと明白な棲み分けがないのも不思議なクラウン本道ヴァージョン。律儀な3連ピアノに耳が向かう。

🅸荒尾正伸 (トランペット)/オールスターズ・レオン (編曲: 小谷充) 21/12/18

3連を排除したところがちょっと新鮮な小谷アレンジ。そのため、普通にブルース色が出ている。中央チャンネルに入っているギターが地味に健闘。キハーダで「禁じられた恋」テイストも少々(爆)。

🅹松浦ヤスノブ (テナー・サックス)/コロムビア・オーケストラ (編曲: 無記名) 22/2/14

🅲とは別録音。山田書院ヴァージョン故まったりしたテイスト。ちょっとコーラスかかり気味の鍵ハモ(クラビオーラか?)が気怠くリード、低音から高音まで大胆に駆け抜ける。松浦ヤスノブはイントロにしかいないっぽい(しかもアルトサックス)。

🅺鶴岡雅義 (レキント・ギター)/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 福島正二) 22/3/10

名人がヒットアーティストとしてのライバルに挑む。山倉アレンジだったらなと思う瞬間もあるが、やはり味のあるプレイだ。

🅻ジョージ・ヤング (テナー・サックス) (編曲: 無記名) 22/4/3

イントロからテナー、フルート、ソプラノと巧みに吹き分けるジョージの力技。サウンド全体がシンプルな分、マルチ録音の技をフルに生かした印象。スコット・ウォーカーの意地が息子経由で伝わったようだ。

🅼アート・ポップス・オーケストラ (編曲: 柳田六合雄) 22/4/5

実質的にファイブ・サンズの録音。エレキ時代の名門もここではシンプルな演奏でムード作りに徹している。

🅽ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 22/4/17

やっぱりゴールデン・サウンズが一番「普通」なんだな。鍵ハモで快活に奏でられ、付き合いやすいのは確か。シャープな録音で鍵盤のタッチもクリアに聴こえてくる。エンディングがちょっとお洒落。

🅾尾田悟 (テナー・サックス)/ザ・サウンズ・エース (編曲: 池田孝) 22/4/24

普通すぎるんだけど、ジャケットの風情に見合った音。絶えず鳴らされるライドシンバルの音が霧に似た印象を持ち込んでいる。随所にお洒落感覚が顔を出す。

『魅惑のテナー・ヒット歌謡を歌う=2 港町ブルース

🅿︎ジョージ高野とパーフェクト・サウンド・グループ (編曲: 福山峯夫) 22/5/17

クラウンとアプローチを変えてきている福山峯夫アレンジに、ジョージ・ヤング盤と対照的に手堅さに徹するジョージのプレイ。レーベルカラーの妙味が確かにある。

🆀松本英彦と彼のグループ・ウィズ・ストリングス (編曲: 無記名) 22/5/18

マイナーテープレーベル向けの録音。イントロが簡素化されているのが珍しい。この1曲で様々なテナーの名人が聴き比べできるのはなかなか勉強になる。

🆁羽鳥幸次 (トランペット)/ニュー・サン・ポップス・オーケストラ (編曲: M.Misaki) 22/5/27

76年の懐古録音。あのヤバすぎる「おもいで岬」の後に入っているので地味な印象だったが、こうしてこの曲だけ並べた中で聴くとなかなかの新鮮さだ。

🆂ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/10

冒頭で何が起こったのかと思惑させるが、すぐにスタンダードな本編に突入。ビリー・ヴォーン・タッチはそれほど浮いてはいない。

 

以上、19ヴァージョン (20枚収録)

おまけ: 謎のオーセンティック歌無ヴァージョン。こういうのが配信されたりしてるので油断できません。

 

紅白歌無ベスト10・第6位 (その2)

ヒットした当時オリコンベスト10入りしてなかったとは意外。70年代以降作られたヴァージョン(8つある)で相当追い上げました。

 

 

6位(タイ)

白いブランコ

歌: ビリー・バンバン

作曲: 菅原進

作詞: 小平なほみ

編曲: ありたあきら

69年1月15日発売/オリコン最高位15位

 

(注: こちらは「また君に恋してる」の頃録音されたセルフカバー・ヴァージョン)

 

🅰ロス・ガートス (編曲: 甲斐靖文) 21/4/24

超名盤『ギターの秘密』より。アルバムの中では手堅い解釈かつ、持ち味を解りやすく要約していて聴きやすいヴァージョン。強力なエコーでロマンチシズムが倍増。

『ギターの秘密』

🅱秋山実とニューサウンド・グループ (編曲: 竹村次郎) 21/6/2

12弦ギターをフィーチャーしての素朴なヴァージョン。2回重ねて24弦のゴージャスな響き!イントロと2番のフルートの甘美な響きはアレンジャー故「DuBiDuBi東京」直系。

🅲Dovecot Sounds (編曲: 柳刀太) 21/6/26

77年制作のイトーヨーカドーのカラオケ盤より、時代故にかなりの洗練された響き。ガイドメロディーはクラリネットであまり小さくない音量。普通に聴きもできる。

🅳カンノ・トオル (スチール弦ギター)とフォークギター・グループ (編曲: 福島正二) 21/8/7

「禁じられた恋」よりは軽めに奏でられるギターアンサンブル。キハーダが入るとまるでその曲の続きのように聴こえる(笑)。

🅴HARVEST ORCHESTRA (編曲: 無記名) 21/8/30

こちらも75年制作ヴァージョン。🅱を流用するとコンセプト的に違和感あったかも。Bメロは70年代中期歌無歌謡仕様のリコーダーで奏でられる(このベスト10内では「旅の宿」のはちの巣盤とこの曲だけの登場)。イノセンスが溢れた音色。

🅵バロック・メイツ+スィンガーズ・スリー (編曲: 小川寛興) 21/10/3

重厚なオルガンのイントロで何事かと思わせておいて、甘美な本編へ。率直なコーラスワークにうっとりしてしまうが、自社の仕打ちらしくないコードの簡素化(Iに戻りすぎ)に違和感も。伊集さんがサイドに回っているのはなかなかの妙味。

🅶猪俣猛オールスターズ (編曲: 小泉猛、八木正生) 21/10/16

ゴスペルっぽいピアノのイントロでこちらも重厚なイメージ作り。Bメロ以降なかなかのスウィング感が出てきていい演奏だと思わせ、2コーラス目で走り始める大胆なアレンジ。抑え気味ながら個性丸出しの寺川ベースも聴きもの。

🅷ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 無記名) 21/10/24

これも75年以降の録音だが、ノスタルジアに浸りすぎていてあまり面白くない。けたたましいホーン隊が「ブランコー」とやってるとことかは別として。

🅸黛はじめ(アルト・サックス)とスイング・オーケストラ (編曲: 川上義彦) 21/11/27

手堅い演奏なんだけど、サックスが色気を持ち込んでいてちょい異色。2コーラス目で転調してからは「今宵踊らん」的なスウィング感が出る。

🅹クリスタル・サウンズ (編曲: 無記名) 21/12/26

またも76年の新録音。録音自体がスムーズになった以外あまり取り柄がない。もしかしたら🅴とアレンジャー同じかも(Bメロはフルートだが)。

🅺横内章次 (ギター)/ブルー・ドリーマース (編曲: 横内章次) 22/1/7

夢見心地な横内サウンドなのにイントロのサックスが場末風味。2コーラス3小節目のサックスがこけているのは意図的なのか?クインノート名物の渦巻オルガンが地味に支える。やはりオーセンティックなヴァージョンの方がいいな。

🅻江川マスミ (編曲: 土持城夫) 22/1/8

79年モデルのエレクトーンで一気にモダンな世界へ。このシタール的な音は70年代前半までのオルガンではあり得ない(爆)。結婚式で奏でられるのにうってつけのアレンジ。

🅼Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

第1期国文社ならではのせこさが絶妙な味を持ち込む。こちらでもキハーダが唸りを上げているが、ビブラスラップよりははるかに効果的だな。口笛が入ってサベージテイストも。

🅽広瀬三喜男/(オーケストラ名記載無し) (編曲: 一) 22/3/21

構造は変えていないものの、大胆にアレンジを変えてきて地味にユニークな仕上がり。このシンプルさは69年にしては異色かも。

🅾ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

こちらは基本に沿っていてあまり面白くない。まぁギターが味のある演奏をしているのが取り柄か。

🅿︎トミー・モート・ストリングス・オーケストラとザ・ビィアーズ (編曲: 小谷充) 22/4/20

華麗なヴァイオリンを生かしてカラフルな味付けに、好夫モードのギターが炸裂。ものすごく余韻が長いクロテール(?)の音が地味に耳を捉える。2コーラスの自己主張ぶりも聴きもの。ラストでロマンチシズム爆発する。必殺転調に溢れるアルバムの中では安堵の場所か。

🆀ユニオン・シンギング・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/10

ビリー・ヴォーン印のブラスサウンドで一気に軽いタッチに。律儀なリズムギターとピアノがかえって耳に新鮮に響く。

🆁筒美京平とクール・サウンズ (編曲: 筒美京平) 22/11/11

筒美京平の手にかかるとこの曲も幻想の世界へ。このコードチェンジはむしろ前衛の方向に向いていて、凄いとしか言えない。くれないホテルの前庭にあるブランコ。

🆂レオン・ポップス (編曲: 石川皓也) 22/11/21

イントロでは気づきにくいけど、3連符を生かしながら8ビートに再構築している技もの。こういうさりげない工夫は歌無歌謡の醍醐味。

 

以上、19ヴァージョン(19枚収録)

おまけ: 今月まさかのリリースとなった5枚組BOXセットより。まぶちサウンドの真髄が楽しめまくる!そういえば、我がライブラリーのこの曲に珍しくクラウン盤がない(汗)

紅白歌無ベスト10・第6位 (その1)

さて、ここから先はなんと1曲を除いて全てに共通項が…この段階で予想された数多の名曲が脱落と発覚するわけです…

 

6位 (タイ)

禁じられた恋

歌: 森山良子

作曲: 三木たかし

作詞: 山上路夫

編曲: 高見弘

69年3月25日発売/オリコン最高位1位(8週)

 

🅰山下三夫/阿部源三郎 (ギター)、テイチク・ニューサウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 21/4/2

「こんなにこんなに愛してる」直系のサウンド、とはいえこの曲にぴったり合致してるとは思えず、ただ絹のようなストリングスはやはり絶品の山倉印。

🅱ゴールデン・ポップス・オーケストラ (編曲: 森岡賢一郎) 21/7/9

原曲の良さを生かしつつさらに奥に踏み込んだサウンド。しかし、このキハーダの音…せこい…最後にしつこく一発かますも逆効果。

🅲吉岡錦正、吉岡錦英 (大正琴)/クラウン・オーケストラ (編曲: 福山峯夫) 21/7/14

慣れると癖になりそうな異様なノリ。大正琴のメロディーこなしに譲歩したダウナーなテンポ感、そしてキハーダをクラッシュシンバルで代用。間奏のギターの音も妙だ。

港町ブルース 大正琴は歌う』

🅳いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/8/2

同じ福山峯夫編曲ながら🅲に比べると明朗なお嬢さん感が強く出過ぎ。安心して聴けるサウンド。こちらもクラッシュシンバルを執拗に強調。

🅴カンノ・トオル (スチール弦ギター)とフォークギター・グループ (編曲: 福島正二) 21/8/7

ちゃんとフォークの曲として解釈しているところが逆に異端を感じさせる。アコギを恐らく5本は使用、あとはフルート、ハーモニカとBメロの妙なパーカッションのみ。異例の4分越え。

🅵木村好夫 (ギター)、宮沢昭 (フルート)/レインボー・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 21/9/25

ジャングルサウンドを放棄したかなり軽めの解釈。フルートと好夫ギターが爽やかにリード。キハーダは律儀に使用している。

🅶コロムビア・オーケストラ (編曲: 河村利夫 or 山路進一) 21/11/7

ジャングル感が強いが、ストリングスで美麗なる感触を生み出している。Bメロが一転して相当軽い。エンディングはキュートにまとめ、それでもキハーダ一発。

🅷木村好夫とザ・ビアーズ・ウィズ・ストリングス (編曲: 無記名) 22/1/9

こちらはマイナーレーベル向けの好夫サウンド。キハーダの代わりにギターでキューンとやっているところがなかなかの可愛さで、Bメロはグルーヴィに飛ばす。

🅸藤田都志 (第一琴)/久保茂、上参郷輝美枝 (第二琴)/山内喜美子 (京琴)/杵屋定之丞、杵屋定二 (三味線)/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 山田栄一) 22/1/18

重厚に積み上げた純和風サウンドリズムセクションの響きは山倉ヴァージョンと変わらないが、ここまで味付けが変わるとは。最後にダメ押しのキハーダ一発。

🅹Joseph Meyer & Midnight Sun Pops (編曲: Y. Maki) 22/3/16

イントロのフルートのオブリがなんともキュートな感触。低い音まじりでなかなかの純情ぶり。キハーダに加え、リムショットと思しき音がベースラインの代役を務めたり、Bメロが弾んでいたりでなかなかのユニーク・ヴァージョン。

🅺カンノ・トオル (ギター)/テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 福島正二) 22/3/26

🅴とメイン演奏者、アレンジャーが同じながら、しっかり棲み分けているのが見事。モヤがかかったようなサウンドに山倉印の影が。

🅻吉岡錦正、吉岡錦英 (大正琴)/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 福島正二) 22/3/28

福島正二3つ目、テイチク5つ目!ここまで自社内競争させるとは。クラウンの吉岡父子ヴァージョンに比べると遥かに軽く、お洒落感さえあるが、音の押し込まれ加減がいかにもテイチク。エンディングフレーズまで大正琴で演っている。

🅼ザ・フォークセレナーダス・プラス・ストリングス (編曲: 近藤進) 22/3/30

オリジナルの配給元ビクターらしく慎重に。フォークのイメージを打ち出しつつも手堅い歌無歌謡のノリ。キハーダなしで、控えめにギターのコードが入る。

🅽ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 22/4/17

この流れで聴くと大抵ゴールデン・サウンズが一番普通に聴こえる。鉄琴で奏でられるメロディーが一部こけているのが惜しい。Bメロの軽さも一種独特。

🅾ジョージ高野とパーフェクト・サウンド・グループ (編曲: 福山峯夫) 22/5/17

ミノルフォンにも福山峯夫アレンジが。シタール的なギターの響き、オクターブお構いなしのジョージのメロディーこなしなど、結構いっちゃってる演奏だ。

🅿︎ユニオン・ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/4

リズムアレンジ的にはオリジナルを大幅に逸脱。華麗なブラスサウンドの影に隠れて、重要な要素を幾分剥ぎ取っているのが惜しい。キハーダ部分など小節丸ごと端折られているし。残念な印象のイントロを最後にもう一回繰り返さなくてもいいのに。

🆀稲垣次郎 (テナー・サックス、フルート)/木村好夫 (ギター)/コロムビア・ストリングス (編曲: 河村利夫) 22/11/12

3つ目の好夫ヴァージョン。ストリングスを華麗に配しつつ、比較的保守寄りの仕上がり。ピアノが地味にがんばっている。🅶との共通項は希薄なので、あちらは山路アレンジだろう。

🆁テディ池谷クインテット (編曲: テディ池谷) 22/11/26

ピアノを中心にラウンジムードながら、オリジナルの雰囲気も忠実に再現。かなり危険な逢い引きの様子を連想させる。

🆂有馬徹とノーチェ・クバーナ (編曲: 小泉宏 or 今泉俊昭) 22/11/27

オリジナルに近いと思わせといて、実は最も過激な印象のヴァージョン。淡々としたリズムアレンジに、クラリネット中心のブラスが異様なオーラを振りかけ、リードをとる謎のサックス(?)、まさかの電子音的響きがゆらゆら。山倉たかしを生んだ名門の意地が炸裂。ジャズファンクの名演が連発されるアルバムの中で聴くと、余計異様に聴こえる。

 

以上、19ヴァージョン(19枚収録)

おまけ: ポニー録音となっているが、ヴァージョン🅵と完全に同じテイク。この辺の原盤事情はどうなってるのだろうか…