黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は平浩二さんの誕生日なので

CBSソニー SOLH-8

歌謡ワイドスペシャル 若葉のささやき/春のおとずれ

発売: 1973年5月

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ジャケット

A1 若葉のささやき (天地真理) 🅲→7/16

A2 狙いうち (山本リンダ) 🅱→7/16

A3 夜の走り雨 (森進一) 🅴

A4 早春の港 (南沙織) 🅲

A5 怨み節 (梶芽衣子) 🅱→7/16

A6 ふたりの日曜日 (天地真理) 🅳

A7 劇場 (ちあきなおみ) 🅴

A8 赤い風船 (浅田美代子) 🅳→7/16

A9 女のねがい (宮史郎とぴんからトリオ) 🅵

A10 夜明け前 (平浩二)

B1 春のおとずれ (小柳ルミ子) 🅱→7/16

B2 愛への出発 (郷ひろみ) 🅱→7/16

B3 円山・花町・母の町 (三善英史) 🅱→7/16

B4 男泣き (内山田洋とクール・ファイブ) 🅳

B5 喝采 (ちあきなおみ) 🅵

B6 漁火恋唄 (小柳ルミ子) 🅷

B7 太陽のくちづけ (栗田ひろみ) 🅱

B8 しのび逢い (尾崎紀世彦) 🅲

B9 中学三年生 (森昌子) 🅰→7/16

B10 同棲時代 (大信田礼子) 🅰→7/16

 

演奏: クリスタル・サウンズ

編曲: 土持城夫

定価: 1,500円

 

クリスタル・サウンズ栄光の歴史はこのアルバムで始まった…『映画音楽/ムード音楽ワイド・スペシャル』6作でスタートしたSOLH品番シリーズが、満を持して送り込んだ久々の歌謡インスト作品集で、以降約9年間に渡りこの制作スタンスを維持。カラオケに主流が傾くに従い、音作りの傾向は変化するわけだけど、特に初期の頃の軽さ・ポップさに主軸を置いたスタイルは、従来の歌無歌謡の場末性と一線を画したもので、ジャケットの作りもその内容を反映したものになっている。ワーナー・ビートニックスの「洗練感」に比べると、あくまでもお洒落感を全面に出しているイメージ。この作品で取り上げられている歌手名を並べてみても、歌謡最前線にあるファッショナブル性が重視されているというか、当時のソニーの社風と見事に合致しているではないか。なお、活動初期には、洋楽のカヴァー盤もいくつか、この名義で発表されていたのだ。

初期リリースの凝縮盤として出された2枚組『歌謡ワイドワイドスペシャル』に9曲が流用されているが、それ以外の11曲にも注目曲が目白押し。ただ、後に出されたSOLH-37や38に比べると、アレンジ面でのカラフルさは希薄。安定した音作りで気軽に付き合えるし、演奏時間もフル演奏ではあるものの、後の作品ほど無茶しているイメージはない。既に歌無盤で実績を残しまくっている土持氏の軽技が、全体の雰囲気を統一している。他の盤ではこけまくり感を露呈する場になりがちな「早春の港」も、簡素化された音作りながら爽やかさは保たれているし、見せ場であるフルートソロにははりきりの跡がはっきり刻印されている。「赤い風船」もピッコロで高音を重ねて足取り軽く。この「軽さ」こそが、73年当時においては清涼感の素だったわけで。思わず、律子さんになった気分でストライク連発といきたくなる。

黄昏みゅうぢっくを開始した段階では、「最初に◯◯のはこの人になるのかも…」とついつい心配させる報も伝わった平浩二さんだったが、今なおお元気そうで安心。ここで取り上げられた「夜明け前」は「バス・ストップ」に続く新曲ながら、55位止まりと惜しい結果に。複数のオールディーズ曲を掛け合わせたようなAメロが、思いっきりニヤリとさせる隠れた名曲だ。「円山・花町・母の町」も、恐らく山内さんと思われる琴と京琴をフィーチャーしつつ、あっさりと軽量化した仕上がり。ラストの「同棲時代」は自社強力推しの立場上か、明らかに気合の入れ方が違うサウンドで、綺麗な幕引きだ。あと、オーボエがここまで多用された歌無盤は他にないのでは?しばらく経つと、リコーダーがその役を奪ったということでよろしいのかな。

今日は皆川おさむさんの誕生日なので

クラウン GW-5134

みずいろのポエム ストリングス・ストリングス・ストリングス

発売: 1970年4月

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ジャケット

A1 恋人 (森山良子) 🅷

A2 白い蝶のサンバ (森山加代子) 🅵

A3 みずいろのポエム (ちいさなオルフェ)

A4 私が死んだら (弘田三枝子) 🅳

A5 帰りたい帰れない (加藤登紀子) 🅱

A6 恋狂い (奥村チヨ) 🅳

A7 花のように (ベッツイ&クリス) 🅴

B1 喧嘩のあとでくちづけを (いしだあゆみ) 🅳

B2 愛の美学 (ピーター) 🅳

B3 黒ネコのタンゴ (皆川おさむ) 🅳

B4 逢わずに愛して (内山田洋とクール・ファイブ) 🅳

B5 土曜の夜何かが起きる (黛ジュン) 🅴

B6 恋ひとすじ (森進一) 🅶

B7 白い鳥にのって (はしだのりひことシューベルツ) 🅲

 

演奏: ストリングス’69

編曲: 小杉仁三

定価: 1,500円

 

「ドラム・ドラム・ドラム」はまだ解る(楽器名としては「ドラムス」が本来の姿だし、「ドラム」を動詞として捉えればそれで良いのだ)。「ベース・ベース・ベース」は苦し紛れだけどしゃあない。「ストリングス・ストリングス・ストリングス」は…流石に無理がある。歌無歌謡を生んだ一つの時代を表す「記号」みたいなものでしょう。

ポール・モーリア楽団の「恋はみずいろ」が全米チャート1位にまで達したのは、68年2月のこと。エレガントなオーケストレーションを前面に出しつつ、今日的なビート感を強調したムード音楽が一躍「演奏もの」の主流になり、世界各国の楽団の演奏がこぞって市場に紹介された。こじんまりとしたコンボ演奏で最小限の洗練感を出し、何とか歌謡曲との接点を保ってきた日本の「洋風演奏もの」にも、この波は当然影響を及ぼしたと考えたいが、歌ものレコードではいくらど演歌だろうが、当たり前のように力の入ったオーケストレーションがもたらされていたわけだから、演奏ものが豪勢になるのも当然の成り行き。ただ単に、大勢の楽団員をコントロールせねばならなくなり、制作費もかさむのが面倒だっただけだけど、やはり日本の演奏家のミュージシャンシップが強靭な分、対応能力はちゃんと備わっていたわけだ。場末感濃厚なレコードを多数市場に送っていたクラウンが、この波に乗るのも納得。それでこのタイトルだもんな。

アルバムの主題曲として採用されたのは、男性二人組・ちいさなオルフェが歌う「みずいろのポエム」。70年に正式発足し、東芝のエキスプレス・レーベルの好敵手として、プロ意識に囚われないフォークの旗手を一斉に送り出したパナム・レーベルの最初期の1曲。このレーベルを一気にブレイクさせたかぐや姫南こうせつも、そんな最初期にソロ歌手としてデビューした一人だ。このデュオからは、後にビクターでソロ活動を始め、今もなお健在の金森幸介が巣立っている。ストリングスのスウィートな響きをアピールするにはうってつけの楽曲で、内ジャケットに本人たちの姿をフィーチャーして相乗効果を狙ったものの、いまいちな結果に終わってしまった。この調子で、ガール・グループのサウンド・オブ・コケコッコーやレ・シャットゥ・ドゥ・マルディも推して欲しかったところであるが。

いまいち地味なテーマ曲を配したものの、先立つ2曲のメジャー曲でもエレガントな響きが強烈に打ち出されており、急造な歌無歌謡のイメージはない。まさに、ちょっと早い「ラブ・サウンズ」そのもの。その後も、ど演歌の「恋ひとすじ」やら、他のヴァージョンに負けじとねっとりしたグルーヴを放ってみせる「土曜の夜何かが起きる」のような異色の展開を交えつつ、ひたすら流暢に迫ってみせる。やはり「花のように」「白い鳥にのって」といったフォーク曲が、最もバランスが取れている感じだ。この傾向は、流石にクラウンのメイン歌無歌謡路線に溶け込めず、早々と打ち止めとなるのだが、小杉仁三氏の功績は数多の通常歌謡でいくらでも語れますからね…歌無的には、やっぱ「昔の名前で出ています」の人になってしまう(汗)。

今日は田中ユミさん(シモンズ)の誕生日なので

テイチク ST-289~90

歌謡ポップス・ベスト・リクエス

発売: 1971年

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ジャケット

A1 ともだち (南沙織)Ⓐ 🅵

A2 悪魔がにくい (平田隆夫とセルスターズ)Ⓑ 🅶

A3 雨の御堂筋 (欧陽菲菲)Ⓒ 🅴

A4 ちいさな恋 (天地真理)Ⓐ 🅶

A5 長崎慕情 (渚ゆう子)Ⓓ 🅲

A6 雨のエアポート (欧陽菲菲)Ⓐ 🅶

A7 水色の恋 (天地真理)Ⓑ 🅵

A8 雨のバラード (湯原昌幸)Ⓔ 🅳

B1 さすらいの天使 (いしだあゆみ)Ⓐ 🅳

B2 お祭りの夜 (小柳ルミ子)Ⓒ 🅵

B3 望郷子守唄 (高倉健)Ⓐ 🅲

B4 長崎から船に乗って (五木ひろし)Ⓕ 🅵

B5 なのにあなたは京都へ行くの (チェリッシュ)Ⓑ 🅱

B6 雪あかりの町 (小柳ルミ子)Ⓐ 🅴

B7 涙から明日へ (堺正章)Ⓑ 🅱

C1 誰も知らない (伊東ゆかり)Ⓑ 🅶

C2 かもめ町 みなと町 (五木ひろし)Ⓐ 🅵

C3 流れのブルース (森進一)Ⓑ 🅲

C4 遠くはなれて子守唄 (白川奈美)Ⓔ 🅲

C5 愛する人はひとり (尾崎紀世彦)Ⓑ 🅴

C6 おもいでの長崎 (いしだあゆみ)Ⓒ 🅴

C7 ちょっと待って下さい (サム・カプー)Ⓑ 🅱

C8 わたしの城下町 (小柳ルミ子)Ⓔ 🅸

D1 また逢う日まで (尾崎紀世彦)Ⓖ 🅰→5/17

D2 虹と雪のバラード (トワ・エ・モワ)Ⓒ 🅱

D3 雨の日のブルース (渚ゆう子)Ⓔ 🅴

D4 さよならをもう一度 (尾崎紀世彦)Ⓗ 🅹

D5 よこはま たそがれ (五木ひろし)Ⓔ 🅹→11/8

D6 恋人もいないのに (シモンズ) 🅱

D7 さすらいのギター (小山ルミ)Ⓔ 🅳

 

演奏: 小泉幸雄 (エレクトーン)とクインテット

山内喜美子 (京琴・琴)、松島香代子、吉川富子 (琴)/テイチク・ニューサウンズ・オーケストラⒷ

石川晶 (ドラムス)、鈴木宏昌 (エレキ・ピアノ)とクイーンズ・ベストⒸ

テイチク・オールスターズ・オーケストラⒹⒻⒽ

カンノ・トオル (ギター&レキント)とオーケストラⒺ

松浦ヤスノブ (テナー・サックス)/テイチク・ニューサウンズ・オーケストラⒼ

編曲: 小泉幸雄Ⓐ、山田栄一Ⓑ、高見弘Ⓒ、竹田喬Ⓓ、福島正二Ⓔ、大野弘也Ⓕ、北野ひろしⒼ、土橋啓二Ⓗ

定価: 2,400円

 

衝撃の「太陽がくれた季節」から始まる72年盤の前作にあたる「LOVE & JOY」シリーズの1作で、例によってバラで出たアルバムからのよりぬきセレクション。当ブログではすっかり「チージーなオルガンサウンド」の人となってしまった小泉幸雄クインテット「ともだち」から始まるが、鄙びた感じが意外にこの曲の魅力を殺していない。絶妙なボリュームコントロールで聴かせるオルガンが、まさに「押して引いての美学」そのもの。聴きながら「琴のささやき」ヴァージョンに想いを馳せていたら始まるのが「悪魔がにくい」で、2台の琴を京琴が揺さぶる和風ヴァージョン。3日前紹介の『おんな』の演奏に比べると、より軽量化したタッチで、パーカッションの派手な音が次の年の大胆な音作りの予感を匂わせる。「太陽がくれた季節」などでは確かに、全ての琴の演奏を山内さん一人で賄っていたから、ここで聴ける演奏より実験的になるのもしょうがないといったところ。彼女の演奏にはコロムビア盤にも凄いものがあるので、徐々に解明して行きたいと思います(昨年のある時期に「和楽器もの」がまとめて巡ってきたので。既に「3ヶ月ルール」はクリアしていますし…)。まったりした純情和風ものに消化された「水色の恋」、「何をそこまで京都ディスらんでもええやないですか」と無言で主張する「なのにあなたは京都へ行くの」もいいけど、真打はやっぱり「ちょっと待って下さい」でしょう。和風美人がレイをぶら下げおもてなし。和風ソフトロックとはこれか。ちなみに当時競作されまくったこの曲、テイチク代表は蟇目良でした。

今作での「モダン」担当はコルゲン氏が率いる「クイーンズ・ベスト」で、5曲にフィーチャーされている。石川晶の叩き出す安定したビートに支えられ、洗練されたエレピでのコードプレイで曲に新鮮な魅力を与えている。先鋭的ジャズロックの合間にちょちょいといった演奏だけど、かえってこの流れにはテンションを与えているのだ。「長崎慕情」の演奏者クレジットは曖昧になっているが、山内さんの京琴と村岡実氏の尺八は確かに入っているし、それら以上に目立つのがはっきりした発声による女性スキャット。といっても「うー」「あー」と言っているのみだが、特に4ヶ所で歌われるポルタメントの効いた「うーう」が綺麗な笛の音みたいでめちゃ素晴らしい。名前位クレジットしてもいいでしょうに…ちょっと山倉っぽいこの竹田アレンジ布陣で選ばれたのが1曲だけとは寂しすぎ。もっと聴きたい。「望郷子守唄」ではまったりとしたオルガンの調べに食い込むディストーション音が、意外にも任侠風味をあぶり出す。また逢う日までは「BEST & BEST」からの抜粋だけど、このヴァージョン実は凄い好きです。場末感が強調されることで、また新しい魅力が引き出される、そんな印象。「さよならをもう一度」のオルガンは、この盤の小泉氏のどの演奏よりもチージーですな。

このカラフルなコレクション、唯一欠けている要素はそう、「山倉たかし」…もっとも、歌無歌謡における神通力は、71年あたりからフェイドアウトすることになるのですが。翌年の盤を聴くと、それが解ってしまうわけで。

今日は太田裕美さんの誕生日なので

クラウン GW-3109~10

ビッグ・ヒット歌謡ベスト36 落葉が雪に・どうぞこのまま

発売: 1976年

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ジャケット

A1 恋は紅いバラ (殿さまキングス)Ⓐ 🅰→10/4

A2 最後の一葉 (太田裕美)🅱

A3 想い出ぼろぼろ (内藤やす子)Ⓒ 🅱→10/4

A4 あなただけを (あおい輝彦)Ⓑ 🅲→10/4

A5 横須賀ストーリー (山口百恵)Ⓓ 🅱→6/15

A6 赤いハイヒール (太田裕美) 🅱→6/15

A7 女の河 (内山田洋とクール・ファイブ) 🅰→10/4

A8 コバルトの季節の中で (沢田研二)Ⓑ 🅱

A9 淋しい天使 (内藤やす子)Ⓒ 🅰→6/15

B1 落葉が雪に (布施明)Ⓐ 🅱→10/4

B2 北の宿から (都はるみ)Ⓑ 🅲→6/15

B3 恋人願書 (松本ちえこ)Ⓒ

B4 さくらの唄 (美空ひばり)Ⓑ 🅱→12/3

B5 四季の歌 (いぬいゆみ)Ⓒ 🅰→10/4

B6 昔の名前で出ています (小林旭)Ⓔ 🅰→4/3

B7 東京砂漠 (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓑ 🅰→6/15

B8 ねえ! 気がついてよ (桜田淳子)Ⓒ 🅳

B9 北酒場 (五木ひろし)Ⓓ 🅱→6/15

C1 どうぞこのまま (丸山圭子)Ⓐ 🅲→10/4

C2 揺れるまなざし (小椋佳)Ⓑ 🅱→10/4

C3 哀しい妖精 (南沙織)Ⓒ

C4 落陽 (吉田拓郎)Ⓑ

C5 涙ぐらし (角川博)Ⓓ 🅰→6/15

C6 春うらら (田山雅充)Ⓒ 🅰→6/15

C7 ビューティフル・サンデー (ダニエル・ブーン)Ⓐ 🅰→6/15

C8 LA-LA-LA (研ナオコ)Ⓓ 🅰→6/15

C9 わかって下さい (因幡晃)Ⓑ 🅲→6/15

D1 どこへ帰る (五木ひろし)Ⓐ 🅱→10/4

D2 ささやかなこの人生 (風)Ⓑ 🅰→6/15

D3 夢をください (アグネス・チャン)Ⓒ 🅱

D4 もう一度逢いたい (八代亜紀)Ⓑ 🅲→10/4

D5 霧のめぐり逢い (岩崎宏美)Ⓓ 🅱→6/15

D6 あばよ (研ナオコ)Ⓐ 🅲→10/4

D7 ハート泥棒 (キャンディーズ)Ⓒ 🅱

D8 恋人試験 (松本ちえこ)Ⓓ 🅰→6/15

D9 およげ! たいやきくん (子門真人)Ⓑ 🅰→12/3

 

演奏: クラウン・オーケストラ

編曲: 神山純Ⓐ、安形和巳Ⓑ、久冨ひろむⒸ、井上忠也Ⓓ、小杉仁三Ⓔ

定価: 3,000円

 

クラウンの歌無盤に被りは付き物とは言え、初登場曲が8曲しかないとなるとさすがに萎える…14曲は先立つリリースである『霧のめぐり逢い・愛の渚』(昨年6月15日)からキャリーオーバーされているし、同盤で飛ばされたさくらの唄」「およげ!たいやきくんが復活している。逆に13曲が翌年のリリース『カルメン’77・フィーリング』で再登場しているし…あれ、計算合わないやないですか。確かに横須賀ストーリー「北の宿から」は、これらの盤にずっと入っているし。魑魅魍魎すぎるので、あまり細かくは付け入らないことにしますが。確かに初期のジャンクハンティング段階では、何も考えずにクラウン盤が100円で出てくる度買っていたので(さすがにある時期を超えたら、1枚欠けている盤や中身違いの盤は避けるようになりましたけど)、責任は取りますとも。

今回初登場となるのは主にアイドルの新曲。レギュラー・サイクルに従えば、3ヶ月後には次の曲にとって変わられる運命になるから、そうなるのも仕方ないけど、この頃になるともっとマイナーなアイドルに配慮する欲もなくなったんでしょうかね。録音費はケチっても、マスターテープ代をケチるわけにはいかないし、その辺を考えて欲しかったかなと。音楽出版社の政治力なんて、芸能プロダクションのそれに比べたら微々たるものでしょうに…あれ、ここは文句を言う場所ではないはずなのに。でも、当時3,000円を払ってこれらを買ってた人の身にもなりたいものですね、時には。

景気付けとしては「恋は紅いバラ」をトップに持ってくるのは効果的だな、というわけで、A面には今日の主役・太田裕美さんの曲が2曲。クラウン盤の「木綿のハンカチーフ」に逆説的快感を覚える身としては、特にこの「最後の一葉」は物足りないかな。ジュリーの「コバルトの季節の中で」は、気合入った自作曲で歌無解釈も爽やかだけど、不運なことに例の「イモジュリー事件」とパッティングしてしまい、あまり取り上げられなかった。次曲の「さよならを言う気もない」はさらにレアで、これの入った歌無盤は80年までのジュリーのソロシングル中、唯一未だ回収できていない。笛の入った爽快なヴァージョンの存在を知っている故に悔しくてね。前某オクに某社の盤が出た時、3時間ほど自動延長を繰り返した末競り負け、たかが◯リ◯◯◯・◯ウ◯◯相手にとめちゃ悔しくなって、別のアルバムに本気でビッドした挙句、その盤を既に持っていたことに気付いていじけたことがあります(瀧汗)。勢い余って秘話をぶちまけてしまった、ごめん。内容の乏しい盤の時は、ついつい感情的になりがちなので。

そんな気分も「恋人願書」のリコーダーで晴れる。一瞬スティーヴィー・ワンダーの「悪夢」かと思わせるクラヴィネットの音も爽快。「願書は出しません」の「は」の音で指がもつれ気味になるのにめちゃ萌え!これぞ乙女サウンド。2番でベース思いっきり間違えてますけど、萌えた結果でしょうかね。ラブリーに走りがちになる「ねえ!気がついてよ」はここでは、トロンボーンディストーションの絡みで慎重に。「落陽」はレアな選曲だが、当時山田パンダが取り上げていたので、「自社推し枠」になる。「夢をください」にはなんと、チップマンクス・コーラスが登場。余程のアングラ志向の盤でない限り登場しなかったギミックを、当時の歌無盤でやられると爽快。

そして最後に今月強化期間のキャンディーズ。裕美さんとも関係が深いだけに、いいタイミングで選曲されたな。それにしても、彼女たちの曲も続く「哀愁のシンフォニー」(名曲!)が未だ我が歌無ライブラリーに欠けていて、77年初頭は鬼門だったのかなぁ。それだけ、流行の移り変わりが激しい時期だったんでしょうかね。でも、昔の名前で出ていますはこれで6回目の登場だ。初出はどうやらこの盤だったようですけど。ヒットし始めるまで時間がかかったんですよね。

今日は荒井由実さんの誕生日なので

RCA JRS-9512

シクラメンのかほり/フォーク・バイオリンの調べ

発売: 1976年

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ジャケット

A1 シクラメンのかほり (布施明) 🅺

A2 めまい (小椋佳) 🅳

A3 傾いた道しるべ (布施明) 🅳

A4 想い出まくら (小坂恭子) 🅴

A5 無縁坂 (グレープ) 🅱

A6 精霊流し (グレープ) 🅶

B1 「いちご白書」をもう一度 (バンバン) 🅶

B2 あの日にかえりたい (荒井由実) 🅶

B3 かりそめのスウィング (甲斐バンド)

B4 22才の別れ (風) 🅵

B5 神田川 (かぐや姫) 🅺

B6 心もよう (井上陽水) 🅺

 

演奏: 志賀清 (ヴァイオリン)とストリングス・ロマン

編曲: 松井忠重

定価: 1,800円

 

ユーミンの誕生日には、本来その曲だけを取り上げたアルバムをキャスティングしていたのですが、力作ではあるものの、その手のニューミュージック系単独アーティスト・カヴァーアルバムとなると、どうしてもこのブログの行きたいのと別の方向を指し示されるようで、なんか気が引けるのですよね。

というわけで、その代わりに持ってきたのが、当ブログ初登場、主役がヴァイオリンというこの異色アルバム。どうしても、高貴なイメージがあり、単独で演奏すると歌無歌謡のイメージと不釣り合いになるけれど、それとは逆に「コルネット・ヴァイオリン」という、日本の歌謡界で独特の発展を遂げた変種楽器があり、それをフィーチャーした演奏盤もそれこそ古くから多数作られている。例えば、いとう敏郎盤の神田川など、演歌からかけ離れた歌無レコードにも使用例があって、傍流として避けて通れない。もちろん、ストリングス・セクションの主役楽器としても欠かせないし、その色彩感溢れるサウンドは、昨今のJ-popの作り手の皆さんに堂々と突き付けたい位である。

ソロ楽器としてのヴァイオリンは、この頃になるとフォーク界にも個性を覗かせ始めており、特にグレープでのさだまさしの使用例は有名だし、この盤が出た76年には、ヴァイオリン奏者を擁する米国のプログレ・ハードロック・バンド、カンサスのレコードが日本で初紹介されたりもして、新たなファン層を切り開きつつあったのだ。そんなタイミングで、この盤が作られたのも納得としか言えない。さすがに百恵や淳子の曲をこういう演奏でなんて、奏者そのものがアイドルじゃない限り有り得ないし(汗)、その音色がしっくりくるのはやっぱり、フォークなのかなと。

のっけから小椋佳のリリカル曲3連発で挨拶代り。1曲異なるとは言え、同じRCAの横内章次の盤のラスト3曲に呼応した形になる。今では演歌にカテゴライズされそうな「想い出まくら」もフルートと絡みつつ、詩的にこなしているし、A面の締めのグレープ曲はまさに本領発揮。さだプレイより、当然育ちのいい印象(爆)。精霊流しはここではレズリー使用のピアノも入り、キングやユピテル盤程ではないがミステリアスな仕上がりだ。B面トップのユーミン曲2連発はお嬢様度半端なく、ファッショナブル面から捉えると落ち着かない。その次の「かりそめのスウィング」は異色すぎる選曲だが、不思議と様になっている。ブルーナイト・オールスターズ盤「裏切りの街角」も主旋律はヴァイオリンだったし、意外とそういうイメージだったんでしょうかね。ラスト3曲の王道3連発は、もう余裕という感じで聴かせる。後2曲はテンポ落としすぎだけど、回顧的側面を押し出した結果だろうか。

ジャケットは音そのもののおしとやか性に比べると遥かにライトなイメージで、楽器が登場していないのが残念だけれど、これは帯を完全に取るしか術がありませんでしたね…(瀧汗)。

今日は森山良子さんの誕生日なので

テイチク SL-1289

琴と三味線による おんな

発売: 1969年9月

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ジャケット

A1 おんな (森進一) 🅲

A2 或る日突然 (トワ・エ・モワ) 🅺

A3 大空の彼方 (加山雄三) 🅳

A4 さすらい人の子守唄 (はしだのりひことシューベルツ) 🅵

A5 雲にのりたい (黛ジュン) 🅵

A6 夜の柳ヶ瀬 (カサノヴァ7) 🅱

B1 禁じられた恋 (森山良子) 🅸

B2 港町シャンソン (ザ・キャラクターズ) 🅳

B3 青空にとび出せ (ピンキーとキラーズ)

B4 恋のなごり (小川知子) 🅴

B5 恋の奴隷 (奥村チヨ) 🅲

B6 愛して愛して (伊東ゆかり) 🅵

 

演奏: 藤田都志 (第一琴)/久保茂、上参郷輝美枝 (第二琴)/山内喜美子 (京琴)/杵屋定之丞、杵屋定二 (三味線)/テイチク・レコーディング・オーケストラ

編曲: 山田栄一

定価: 1,500円

 

テイチクの歌無歌謡暴発期たる69年は、様々なディレクターとアレンジャーがその独自性を競いながら、市場に物を投げまくっていた幸せな時代で、故に全貌を解明するにはめちゃ勇気が要る。とにかく、見つけたものを掴んでいくしかない。この盤は見ての通り、琴奏者だけで3人がフィーチャーされている上に、別途京琴担当で女帝・山内喜美子さんが君臨しており、三味線奏者も二人いるという、豪華絢爛ジャパネスク大盤振る舞いなアルバム。ジャケットのモデルは、奇盤『クレイジー・パーカッション』と同じ人だろうか。涼川真里さんでは絶対にないけど(汗)、モダンさと伝統的着飾りが妙に調和していて、中の音を端的に物語っている。当時の段階でも超ベテラン、山田栄一氏の仕切りによるサウンド作りは熟練の域に達し、当時のモダン意識に違った角度から光を当ててみせる。

主題曲「おんな」は、自分内では木村好夫先生のシグネチャー曲と化した感があるが、豪華料亭の雰囲気を押し込んだようなサウンドで聴くのも乙なものだ。左側の奥で聴こえるフルートも、別の楽器のようなトーンに化けているし、ギターやオルガンも淡々とした演奏でいい味を出している。そのままのノリで「或る日突然」のイントロが始まるからたまらない。いつものフレーズに茶々を入れるような三味線の音が、まるで芸者の合いの手の声のよう。コードの処理がお洒落度を欠いているなんて言いたくない。これは「別世界」だ。A面はこんな感じで、フォーク系歌無アルバムの常連曲が続くが、あまりの潔さに快感がもたらされる。テイチクならではの密度いっぱいのサウンドで余計お腹いっぱい。かえって「夜の柳ヶ瀬」では歯切れの悪さが目立ち、そこもB級歌謡好きにはたまらないものになっている。フルートも「ヤング・ヤング」なんてニュアンス皆無の音で、うまく調和しているし。3番でのカラーの変え方も意表を突き、オリジナルと一味違う。フルートがんばりすぎやで。

B面もその調子だが、「禁じられた恋」はサイケの領域に食い込んだ演奏で、ドラムの音が見事に逝っちゃった感を出している。この辺で過剰に和風ニュアンスを出した方が、海外のマニアは喜ぶんでしょうかね。TV主題歌として変則リリースされた「青空にとび出せ」の選曲は珍しい。これは「進めジャガーズの唄」を改作したもの、と言っていいのでしょうかね。ラブリーなフルートを従えて、和風な音が舞いまくる絶妙の出来だ。ラスト3曲は乙女ポップを和風舞曲へと変容。「恋の奴隷」の三味線によるリードが、まさに曲の主題をあぶり出すようで素敵だ。同じメロを琴が演ると、おしとやかにしか聞こえないのが不思議だけど。「愛して愛して」の不思議な音の融合が妙な余韻を残しながら、アルバムに幕をおろす。最後に1台取り残された琴の響きが、たまらなくラブリーだ。山内さんの音ではないけどね。

今日は山口百恵さんの誕生日なので

キング SKM-1397

パールカラーにゆれて~ねえ気がついてよ

発売: 1977年

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ジャケット

A1 パールカラーにゆれて (山口百恵) 🅱

A2 ちっぽけな感傷 (山口百恵) 🅱

A3 青い果実 (山口百恵) 🅱

A4 春風のいたずら (山口百恵) 🅲

A5 ひと夏の経験 (山口百恵) 🅳

A6 横須賀ストーリー (山口百恵) 🅶

B1 ねえ気がついてよ (桜田淳子)Ⓑ 🅲

B2 十七の夏 (桜田淳子)Ⓐ 🅳

B3 花占い (桜田淳子)Ⓑ

B4 はじめての出来事 (桜田淳子)Ⓑ 🅱

B5 わたしの青い鳥 (桜田淳子)Ⓐ 🅲

B6 夏にご用心 (桜田淳子)Ⓐ 🅵

 

演奏: ニュー・サウンド・オーケストラ

編曲: 栗田俊夫Ⓐ、坂下晃Ⓑ

定価: 1,500円

 

百恵淳子、当時のトップアイドル二人の曲に特化したインストアルバム。カラオケならまだしも、需要あったんでしょうかね。ジャケットは全然ガーリーじゃないし、帯の主役達の名前も黄色地に白と、めちゃ遠慮がちに記されている程度。ただ、乙女達の歌声を何の音で置き換えているかというのには興味津々。なんてったって、『さわやかなヒット・メロディー』という超模範盤がありますしね。あのアルバムはあくまでも、自社歌手贔屓でしたけど。こちらを出していた当時のキングは、今からは想像できないけどアイドル不在期…黒木真由美が辛うじて、その領域に入っていたかという頃でしたから。何とかして乗りたかったんでしょうな。

楽曲的には、当時の最新曲と初期曲に重きを置いた選曲で、「冬の色」や「湖の決心」「ひとり歩き」あたりが抜け落ちているのが残念。但し、従来の歌無盤に入っていたのと同じ演奏を使っていないのは好感が持てる。少なくとも、横須賀ストーリー「夏にご用心」は、従来取り上げたキング盤とヴァージョンを変えていて、後者などテンポが落ちすぎて悪酔しそうな『総集!ヒット歌謡ベスト24』のヴァージョンじゃなくてよかった。アレンジャー同じなんですけど。この辺の配慮は、クラウンやソニーには出来ない芸当ですよね。

肝心の演奏は、殆どの主旋律がギターかサックスで演奏されており、特に「春風のいたずら」あたりではテナー・サックスが吠えまくり、原曲の乙女の恥じらいは何処へやらという印象。怖くなるのは聴いている方である。「花占い」のイントロで、やっとリコーダーが出てきてホッとさせるが、ソリーナの存在にやっぱり76年の音なんだなと。「はじめての出来事」のイントロも、低音部はテナー・リコーダーでオクターブ下を重ねているようだけど、多分フルート奏者の持ち替えという気がする。この曲の歌無盤を聴くと、やはり「呼び込み君No.4」にこの曲が与えた影響は大きいと思い知らされますね(爆)。「わたしの青い鳥」のイントロは、クライネソプラニーノだろうか、超高音だ。気づいてみれば、やはりリコーダーの活躍に気を取られますね(汗)。この曲は前述の「夏にご用心」のヴァージョンとは逆に、テンポ上げすぎ。主役なき乙女サウンドの演出という点では、参考にも反面教師にもなる、見逃せない1枚だ。