黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

やめろと言われても特定の楽器を幻聴

コロムビア KW-7032~3

‘74ヒット曲要覧~後半編~

発売: 1974年11月

ジャケット(隠蔽済)

A1 追憶 (沢田研二)Ⓐ 🅸

A2 恋のアメリカン・フットボール (フィンガー5)Ⓐ 🅶

A3 激しい恋 (西城秀樹)Ⓐ 🅵

A4 君は特別 (郷ひろみ)Ⓐ 🅶

A5 ひと夏の経験 (山口百恵)Ⓐ 🅸

A6 傷だらけのローラ (西城秀樹)Ⓑ 🅶

B1 さらば友よ (森進一)Ⓒ 🅸

B2 うすなさけ (中条きよし)Ⓑ 🅹

B3 夫婦鏡 (殿さまキングス)Ⓒ 🅻

B4 北航路 (森進一)Ⓑ 🅸

B5 うそ (中条きよし)Ⓒ 🅺

B6 別れの鐘の音 (五木ひろし)Ⓒ 🅸

C1 ふれあい (中村雅俊)Ⓐ 🅻

C2 渚のささやき (チェリッシュ)Ⓐ 🅵

C3 ミドリ色の屋根 (ルネ)Ⓐ 🅵

C4 私は泣いています (りりィ)Ⓐ 🅹

C5 妹 (かぐや姫)Ⓑ 🅳

C6 闇夜の国から (井上陽水)Ⓐ 🅳

D1 ひとり囃子 (小柳ルミ子)Ⓑ 🅵

D2 美しい朝がきます (アグネス・チャン)Ⓑ 🅵

D3 夏の感情 (南沙織)Ⓐ 🅴

D4 ちっぽけな感傷 (山口百恵)Ⓑ 🅷

D5 ポケットいっぱいの秘密 (アグネス・チャン)Ⓑ 🅵

D6 恋の大予言 (フィンガー5)Ⓑ 🅱

 

演奏: 稲垣次郎松浦ヤスノブⒸ、木村好夫Ⓒ/ゴールデン・ポップス

編曲: 河村利夫Ⓐ、永作幸男Ⓑ、佐伯亮

定価: 3,000円

 

レコード番号順に語る計画を進めると、必然的にコロムビアが最後の方に集結してしまう…というわけで、最終日前までコロムビア祭りです。「ヒット曲要覧」シリーズ、72年のが名盤すぎたり、74年前半編でメロトロンまみれになったりで、決してなめられないのだけど、この74年後半編になるとどうしても保守的カラーが全面的に出てきて、例えば同時期のクリスタルやミラクル盤ほどのときめきがやってこないのだよね。「ゴールデン歌謡スキャット」で意表を突きすぎたのの反動なのか。A面にずらっと並ぶ躍動感の高い曲を聴いても、なんか違うというか、「追憶」だけでもなんか萎える…1番の2小節目と4小節目で、ハイハット以外の音が止まってしまうところとか、ドラマティック性を消し去ってる感がある。水谷公生&トライブ版なんかに比べると、曲のコンテンポラリー性に取り逃がされたというか、心躍らないんだよね。「君は特別」なんかも、次郎さんらしさが出ていてファンキーな演奏ではあるけど、荒川康男氏ならここをこうぶっ壊すだろうとか、やっぱり恋しくなってしまうんだよね、72年盤の感触が。それだけ、通常の歌謡界が急激に大胆さを増したということだろうか。「ひと夏の経験」はその分猥雑さがなくて、安心して聴けるが、間奏で興醒め。「傷だらけのローラ」のフルートはクレジットがないが、次郎さんではないだろう。B面で好夫ギターが安定の境地に誘ってくれても、結局は「前半編」の「くちなしの花」や「なみだの操」のメロトロンを恋しくなってしまうし。わずかに救いなのは、他社盤より多くリコーダーをフィーチャーしてくれている「美しい朝がきます」と、正統派デキシーランドな演奏に次郎サックスが冴える「ポケットいっぱいの秘密」くらい。両方アグネスの曲やんか…「恋の大予言」もちょっとだけアヴァンギャルドな感触が出ていていいのだけど。ともあれ、しばらくコロムビアで番号が進むわけですが、結構吃驚の方向に向かいますよ…