ポールの誕生日なので微妙にビートルズネタを入れました
デノン CD-4008
フォーク・ヒット・ヒット・ヒット
発売: 1969年12月
A1 悲しみは駆け足でやって来る (アン真理子) 🅾
A2 まごころ (森山良子) 🅺
A3 いいじゃないの幸せならば (佐良直美) 🅺
A4 私もあなたと泣いていい? (兼田みえ子) 🅱
A5 何故に二人はここに (Kとブルンネン)☆ 🅴
A6 或る日突然 (トワ・エ・モワ) 🆅
A7 イムジン河のほとりで (グリーン・フィールズ)☆☆
B1 さよならの総括 (新谷のり子)☆ 🅲
B2 あなたの心に (中山千夏) 🅷
B3 昭和ブルース (ザ・ブルーベル・シンガーズ)☆ 🅳
B4 禁じられた恋 (森山良子) 🆃
B5 フランシーヌの場合 (新谷のり子) 🅼
B6 海は恋してる (ザ・リガニーズ) 🅴
B7 白い色は恋人の色 (ベッツイ&クリス)☆☆☆ 🅹
演奏: 木村好夫とフォーク・サンズ
編曲: 木村好夫/葵まさひこ(☆)/ありたあきら(☆☆)/若月明人(☆☆☆)
定価: 1,500円
コロムビアのデノン・レーベルが醸し出す得体の知れないオーラは、シングルのコンプリート・コレクターを生み出す程魅力的だったにも関わらず、アルバムまで手を出してたらきりがない。確かに、初期のアルバムで見られた実験性をいくつかのシングル盤にも刻印していたところが、その手のコレクターの探究心をくすぐったのだろうな…
CD-4000盤台で出た初期の作品には、「和もの」文脈でとんでもないレア盤に祭り上げられてしまったエル&ギムギン『ビート&ヒット』や、「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」を取り上げたことだけでとんでもないカルト性が付加されることになった稲垣次郎の『ビートルズ・ヒット!ヒット!』(これは持ってるのでいつか「歌謡フリー火曜日」で取り上げたいところだけど、ビートルズネタを既に3枚もやっちゃってるので後回しにされがち…)などヤバい作品もあるので、コンプリートへの道は厳しい。そんな中、こっそり咲いた路傍の花のような1枚。69年の象徴のように沢山出たフォーク・ヒットのインスト総括盤みたいなもので、木村好夫先生がちょちょっと挑んだ余裕仕事。といっても、ここでは14曲中10曲が自らのアレンジになっており、いずれもこじんまりした、かつフォーク同好会色が希薄なコンボ演奏。フォーク・サンズ名義と言えども、実際はザ・ビィアーズ名義のレコードと演奏面子はあまり変わらないと思われる。珍しく12弦ギターでの演奏も交え、おなじみの曲を手堅く聞かせ、69年の色を適切にまとめている。ビクターやテイチクの盤に比べるとシャープなサウンドで、かつ優しく耳に入る。自レーベル推し曲「イムジン河のほとりで」の選曲が珍しいが、フォークル周りで起こった騒ぎを冷静に眺めつつ、絶妙にインスパイヤ元を匂わせたこの曲、今の視点から見ればコンプライアンス的にどうなんだろう…具体的には言えないけれど(このアルバムのライナーでも、絶妙にぼかしてます)。
で、当時の好夫仕事を追いかけてる者にとってややこしいのは、コロムビア内部にさえ同じ曲の別ヴァージョンがやたらあることである。同じ月にALS品番で『悲しみは駆け足でやってくる/いいじゃないの幸せならば』(ALS-4460)が出ていて、このアルバムと6曲重なっているが、当然別録音だし、このアルバムの3番後に出た『ギター/フルート歌謡ベスト20曲』と重なっている7曲も別ヴァージョンで、レーベル内でまでややこしいことになっているのだ。HS品番で出たエディ・ハートのアルバムにも、恐らく別ヴァージョンがあるはずだし。ただ、『ギター/フルート~』に収められている「禁じられた恋」のヴァージョンが、今ポニーキャニオン扱いでサブスク配信されているものと全く同じであり、そちらは原盤を借りたか何かでデノンで出る運びになったのだろうか。余計ややこしい。この曲のヴァージョン比較ミステリーに関しては、昨年12月25日のエントリに詳しくまとめてあります。この盤が加わり、手許に20ヴァージョン揃った…内4ヴァージョンが好夫盤である…