アトランティック L-6053A
華麗なる口笛・ベスト・ヒット20 瀬戸の花嫁
発売: 1972年5月
A2 恋の追跡 (欧陽菲菲)☆ 🅿︎
A3 別離の讃美歌 (奥村チヨ) 🅷
A4 初恋の頃 (淡路まさみ) 🅲
A5 若い涙はみな熱い (森田健作) 🅲
A6 サルビアの花 (川奈真弓) 🅶
A8 今日からひとり (渚ゆう子)☆ 🅻
A9 北国行きで (朱里エイコ) 🅷
A10 美しき五月のパリ (加藤登紀子) 🅱
B1 ふたりは若かった (尾崎紀世彦) 🅾
B2 さようならの紅いバラ (ペドロ&カプリシャス) 🅵
B3 あの鐘を鳴らすのはあなた (和田アキ子)☆ 🅴
B4 新しい冒険 (フォーリーブス) 🅴
B5 彼 (伊東ゆかり)
B6 お嫁に行くんだね (水原弘) 🅱
B7 波止場町 (森進一) 🅺
B9 お別れしましょう (朝丘雪路) 🅶
B10 男がつぶやく子守唄 (白川奈美) 🅲
演奏: こだまたかし/ワーナー・ビートニックス
編曲: 小谷充、青木望☆
定価: 1,800円
宗内の母体の個人的な話になりますが、つい5日前出演する予定になっていた野外ライブがシビアな天候に勝てずに中止になって、やりきれないのでどっかに潜入してセッションでもしようかという話が勃発して、急遽場所を見つけ30分だけ時間を確保。何をやるかも全く決めてない状態で(当然そのライブのセットリストも同様…そういうケースになると強いんですよ)、スタジオに入るや否や相方がマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」をピアノで奏で始めた。当然自分は何も準備してないし、フルートを組み立てる間にその曲を…口笛で吹き始めるしか術がありませんでした(汗)。
そういう時に効力を発揮するんですよ、口笛を吹けることが。当然幼い頃は、ろくに吹けませんでしたが。ただ、フルートを習い始めてから、自然にできるようになってきて。表現する者の基礎本能なんでしょうかね。勿論、歌のない歌謡曲のレコードを集め始めてからは、聴きながら一緒に歌うことのみならず、歌詞が思い出せない場合は適当に歌う以上に、口笛で合わせるということもよくやっていました。そんなこんなの間に、一昨年11月16日紹介したこだまたかし氏の第1作が巡ってきて。アルバム一枚通してこれを演り続けることの驚異を思い知らされました。聴く側としても体力が要るなぁと。
それに続く第2作がこちら。何と前作から2ヶ月後というハイペースで畳みかけてきました。イージー・リスニング盤というより、こちらも聴く側の対応能力を試される1枚。当時の大ヒット歌謡20曲に対して、ただ譜面を読んでそれに対応するだけでなく、それらを咀嚼し、プレイヤーとしての色をいかに加えるか。それが実践できる人は稀ですよ、しかも楽器の力を借りずに。当然聴きながら自分が口笛を吹くなんて展開は考えられません、勝ち目はないのですから。例によって競合ヴァージョンが多い名曲が並んでいますが、それだけ聴き応えあるし、他のヴァージョンとの比較も楽しそう。楽器では容易にできない感情移入をどの曲にも滲ませているし、決して真似しようがない。「恋の追跡」のBメロでメインをギターに譲り、強烈なオブリガートに回るところとか憎めませんね。「サルビアの花」はワーナーらしく、川奈真弓ヴァージョンに基づいたアレンジになっていて、女性スキャットとの絡みがロマンティックさを醸し出す。かえって女声に笛っぽい響きを感じたりするんですよね。
さてと、考えようによっては口笛以上にテクニカルな領域に踏み込んでいる「フジツボ演奏」をフィーチャーした映像をお届けして、ちょい遅れたクリスマスの乾杯といきましょう。奇しくもこの曲ですが…今後も相方にはお世話になります…